【これだけでも大丈夫】要穴の特徴と治療効果のまとめ

要穴の詳細 選穴・配穴

今回は、【要穴(ようけつ)の特徴】についてまとめていきます。

私たちの体には、14の経絡に所属する経穴(ツボ)が361個あります。さらに経絡に所属せず、特定の疾患に用いる奇穴(きけつ)をあわせると、実に多くのツボがあります。

鍼灸治療において、これら300個余りのツボを全ては使いません。この中から、治療効果の高いツボや、特異的に経絡に働きかけるツボを用いて、様々な症状と向き合います。

その時に使われるのが、【要穴】です。そうした要穴の特徴や、各経絡にどんな要穴があるのかをまとめていきます。

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まず、要穴(ようけつ)とは?

ツボには固有の名前があります。有名なところでは、「足三里(あしさんり)」や「合谷(ごうこく)」など、聞いたことがあると思います。

要穴には、その他に経絡を通した働きや効果を表す二つ名のようなものもあります。

少しややこしい仕組みですが、こうした二つ名を把握しておくと、より効果的に治療を行うことができます。

  • 一般的な名称:足三里
  • 経絡を通した名称:胃経の合土穴
  • 治療効果を含めた名称:胃の下合穴、四総穴

例えば、私が鍼灸の師匠に教わる時、「胃の土穴に鍼うっておいて」と言われたことがあります。これは、「足三里に鍼をうて」ということです。

要穴にはそれぞれが得意とする症状があります。そうした意味でも、要穴を覚えておけば、ある程度の治療・セルフケアはできるということになります。

 

原穴・絡穴・郄穴について

  • 原穴(げんけつ)
  • 絡穴(らっけつ)
  • 郄穴(げきけつ)

まずはこれら3つの特性についてご紹介します。

それぞれ、五臓六腑の十二正経に1つずつあります。絡穴はさらに任脈・督脈・脾の大絡があります(詳細は当該項目にて)。

十二正経:肝・心・脾・肺・腎・心包、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・三焦

原穴(げんけつ)について

「原穴」は所属する経絡の原気(元気)が多く集まるところです。その経絡の原気の状態が現れるツボと捉えることもできます。

リンクのあるものは、ツボについての詳細ページを別記事にまとめてあります。

絡穴(らっけつ)について

所属する経脈と他の経脈が連絡しあうツボの特性を「絡穴」と言います。表裏(臓腑)を同時に治療でき、慢性的な疾患の反応点・診断点であり、治療点にもなる特徴を持ちます。

リンクのあるものは、ツボについての詳細ページを別記事にまとめてあります。
  • 肝経:蠡溝(れいこう)
  • 心経:通里(つうり)
  • 脾経:公孫(こうそん)
  • 肺経:列欠(れっけつ)
  • 腎経:大鍾(だいしょう)
  • 心包経:内関(ないかん)
  • 胆経:光明(こうみょう)
  • 小腸経:支正(しせい)
  • 胃経:豊隆(ほうりゅう)
  • 大腸経:偏歴(へんれき)
  • 膀胱経:飛揚(ひよう)
  • 三焦経:外関(がいかん)
  • 任脈:鳩尾(きゅうび)
  • 督脈:長強(ちょうきょう)
  • 脾の大絡:大包(だいほう)

郄穴(げきけつ)について

骨や筋肉の隙間にあり、すみやかに邪をしりぞけるツボの特性を「郄穴」と言います。急性期の症状の反応点・診断点であり、治療点でもあります。

  • 肝経:中都(ちゅうと)
  • 心経:陰郄(いんげき)
  • 脾経:地機(ちき)
  • 肺経:孔最(こうさい)
  • 腎経:水泉(すいせん)
  • 心包経:郄門(げきもん)
  • 胆経:外丘(がいきゅう)
  • 小腸経:養老(ようろう)
  • 胃経:梁丘(りょうきゅう)
  • 大腸経:温溜(おんる)
  • 膀胱経:金門(きんもん)
  • 三焦経:会宗(えそう)
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五兪穴・五行穴について

「肝と木」、「心と火」というように、各臓腑に対応した五行の性質がありますが、その臓腑の中にも五行があります。つまり、「木の経絡に属する、木の性質のツボ」という特徴を持つツボがあるということです。

こちらも原穴などと同じく、それぞれ、五臓六腑の十二正経に1つずつあります。

井穴(せいけつ)

井穴はその経絡の「脈気が出るところ」と考えられ、心窩部の膨満感や緊張を解く働きがあります。五臓の陰経では「井木穴(せいもくけつ)」、六腑の陽経では「井金穴」になります。

滎穴(えいけつ)

滎穴はその経絡の「脈気が溜るところ」と考えられ、身熱を治療する働きがあります。五臓の陰経では「滎火穴(えいかけつ)」、六腑の陽経では「滎水穴(えいすいけつ)」になります。

兪穴(ゆけつ)

輸血はその経絡の「脈気が注ぐところ」と考えられ、体の重だるさや関節の痛みを治療する働きがあります。五臓の陰経で「兪土穴(ゆどけつ)」、六腑の陽経で「兪木穴(ゆもくけつ)」になります。五臓の陰経では、兪土穴は原穴の特徴もあわせもちます。

経穴(けいけつ)

経穴はその経絡の「脈気が行くところ」と考えられ、喘鳴や咳など呼吸器の障害、寒熱を治療する働きがあります。五臓の陰経で「経金穴(けいきんけつ)」、六腑の陽経で「経火穴」になります。

合穴(ごうけつ)

合穴はその経絡の「脈気が入るところ」と考えられ、のぼせている状態(逆気)を治療する働きがあります。五臓の陰経で「合水穴(ごうすいけつ)」、六腑の陽経で「合土穴(ごうどけつ)」になります。

井木穴 滎火穴 兪土穴 経金穴 合水穴
肝(木) 大敦(だいとん) 行間(こうかん) 太衝(たいしょう) 中封(ちゅうほう) 曲泉(きょくせん)
心(火) 少衝(しょうしょう) 少府(しょうふ) 神門(しんもん) 霊道(れいどう) 少海(しょうかい)
脾(土) 隠白(いんぱく) 大都(だいと) 太白(たいはく) 商丘(しょうきゅう) 陰陵線(いんりょうせん)
肺(金) 少商(しょうしょう) 魚際(ぎょさい) 太淵(たいえん) 経渠(けいきょ) 尺沢(しゃくたく)
腎(水) 湧泉(ゆうせん) 然谷(ねんこく) 太渓(たいけい) 復溜(ふくりゅう) 陰谷(いんこく)
心包(火) 中衝(ちゅうしょう) 労宮(ろうきゅう) 大陵(だいりょう) 間使(かんし) 曲沢(きょくたく)
井金穴 滎水穴 兪木穴 経火穴 合土穴
胆(木) 足竅陰(あしきょういん) 侠渓(きょうけい) 足臨泣(あしりんきゅう) 陽輔(ようほ) 陽陵泉(ようりょうせん)
小腸(火) 少沢(しょうたく) 前谷(ぜんこく) 後渓(こうけい) 陽谷(ようこく) 小海(しょうかい)
胃(土) 厲兌(れいだ) 内庭(ないてい) 陥谷(かんこく) 解渓(かいけい) 足三里(あしさんり)
大腸(金) 商陽(しょうよう) 二間(じかん) 三間(さんかん) 陽渓(ようけい) 曲池(きょくち)
膀胱(水) 至陰(しいん) 足通谷(あしつうこく) 束骨(そっこつ) 崑崙(こんろん) 委中(いちゅう)
三焦(火) 関衝(かんしょう) 液門(えきもん) 中渚(ちゅうしょ) 支溝(しこう) 天井(てんせい)

それぞれをまとめると、上記のような一覧になります。

リンクのあるものは、ツボについての詳細ページを別記事にまとめてあります。

 

背部兪穴と募穴について

臓腑の状態が特に現れやすいツボのうち、体幹部にあるものを「背部兪穴(はいぶゆけつ)」や「募穴(ぼけつ)」と言います。これまで紹介したツボも効果が高いツボばかりですが、背部兪穴や募穴は体幹部はより対象臓腑に直接的に働きかけることができます。

背部兪穴(はいぶゆけつ)について

背部兪穴は「臓腑の気が注ぐところ」と考えられ、特に五臓の治療に用いることが多いです。五臓六腑にそれぞれ1つずつ、すべて足の太陽膀胱経にあります。

  • 肝経:肝兪(かんゆ)
  • 心経:心兪(しんゆ)
  • 脾経:脾兪(ひゆ)
  • 肺経:肺兪(はいゆ)
  • 腎経:腎兪(じんゆ)
  • 心包経:厥陰兪(けついんゆ)
  • 胆経:胆兪(たんゆ)
  • 小腸経:小腸兪(しょうちょうゆ)
  • 胃経:胃兪(いゆ)
  • 大腸経:大腸兪(だいちょうゆ)
  • 膀胱経:膀胱兪(ぼうこうゆ)
  • 三焦経:三焦兪(さんしょうゆ)

募穴(ぼけつ)

募穴は「臓腑の気が多く集まるところ」と考えられ、特に六腑の治療に用いることが多いです。五臓六腑にそれぞれ1つずつ、すべて胸腹部の対象臓腑の近くにあります。

 

四総穴と八会穴について

四総穴(しそうけつ)

体を大きく四つの部分にわけて考えた時に、各部を治療することができると考えられるツボを「四総穴(しそうけつ)」と言います。

八会穴(はちえけつ)

特に人体を構成する8つのパーツ(臓・腑・筋・骨・髄・脈・気・血)の取りまとめを「八会穴(はちえけつ)」と言います。

 

おわりに

今回はツボの中でも特に効果の高い要穴についてまとめてみました。ツボにはそれぞれ名前がありますが、こうした名前だけでなく、経絡を通した時のツボの役割から治療を行うことが多くあります。

その昔、王様や偉い人を鍼灸治療する際、衣服を脱がせて治療をするなんておこがましいと考えられる時代がありました。そうした際に、「なんとか手足の表に露出している部分で治せないものか」と試行錯誤した結果、こうした要穴は手足の関節周りに多くあり、今も受け継がれているという説もあります。

先ほどまとめた要穴の一覧も、少しずつそれぞれのツボの特徴を別途まとめています。セルフケアの一助になれば幸いです。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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