今回は、【天枢(てんすう)】というツボについて、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。
天枢はおへその両脇にあるツボで、刺激をすると直接的に大腸に働きかけます。腸内環境を整えることで、便秘や下痢などの消化器疾患だけでなく様々な不調を改善します。
腸内環境を整えることで免疫が上がることが明らかになった昨今、天枢を刺激して未病を防ぎましょう。
目次
天枢(てんすう)の位置と所属経絡
天枢というツボの位置と、所属する経絡やツボの特徴を確認していきます。
天枢の位置
上腹部、臍中央の外方2寸。
天枢はおへその両脇にあるツボです。6つに割れる腹直筋の高まりにあります。
天枢の所属経絡と特徴
天枢は足の陽明胃経に所属するツボです。胃経は顔面から始まり、足の指先まで伸びる長い経絡です。
- 大腸の募穴
天枢は大腸の「募穴(ぼけつ)」という特徴を持ちます。募穴は「特に臓腑の経気が集まるところ」という特徴があり、対象臓腑の近くにあります。
大腸の募穴である天枢も、大腸に近い体表にあり、反応点として圧痛が出やすいツボです。
- 上下の境
上半身と下半身は、天枢を境にわかれると考えられています。そのため、脾の働きの1つである昇清(しょうせい)と、胃の働きである降濁(こうだく)は天枢を軸に作用します。
このことからも、天枢は消化・吸収の軸となる重要なツボだと考えられます。
天枢のツボの治療効果まとめ
天枢を刺激することで、期待できる効果をご紹介します。天枢はお腹にあるので押圧もできますが、温灸をオススメします。
便秘・下痢に
天枢は大腸に働きかける重要なツボです。便秘や下痢など、便通に関わる不調がある場合には特に重宝します。ガス(おなら)による腹部の膨満感にも常用します。便秘・ガスがある場合、天枢を押圧すると痛みが強いことがあります。まずは温灸などで、緩やかな刺激を与えるところから始めてみてください。
消化・吸収を助ける
先述したように、天枢は上下、脾胃の働きの境になり軸となるツボです。そのため、便通だけでなく初期消化の段階の不調も天枢は効果的です。
- 消化不良
- 胃もたれ
- 食欲不振
- 逆流性食道炎
天枢は胃経のツボなので、経絡を通じて胃に働きかける部分もあります。
腸内環境を整える
便秘・下痢が改善するのも同じ理由ですが、天枢への刺激によって腸内環境が整います。
天枢への刺激により腸内環境が整えば、免疫力が向上します。感染による疾病だけでなく、様々な病を退けることができます。
予防医学的に腸内環境を整えることが推奨され始めました。東洋医学では遥か昔から、「未病治」と言い、病気が深刻になる前から体に気をつけ、治してしまうことが大切だと考えられています。
天枢とあわせて刺激したいツボ
腸内環境を整える天枢と、あわせて刺激をすることでより効果が期待できるツボをご紹介します。
合谷(ごうこく)
手背、第2中手骨中点の橈側。
合谷は手の人差し指の付け根から手の甲に移行する場所にあるツボです。人差し指の付け根の骨(第2中手骨)を横から押し込むように刺激してみてください。
- 腸内環境を整える
合谷は手の陽明大腸経に所属するツボです。刺激をすることで経絡を通じて、大腸に働きかけることができます。
天枢がその位置としても直接的な効果を腸に与え、合谷が経絡を通じて間接的に大腸を改善する、といったイメージです。
上巨虚(じょうこきょ)
下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸。
上巨虚はすねの外側、足三里の3寸下にあるツボです。すねの外側には胃経の経絡が伸びていて、下記の通り3寸ずつで重要なツボが並びます。
- 膝下3寸:足三里(胃の下合穴)
- 膝下6寸:上巨虚(大腸の下合穴)
- 膝下9寸:下巨虚(小腸の下合穴)
上巨虚は膝のお皿の下6寸、足三里の下3寸のところです。手の指の幅4本分が3寸なので、膝下からはかって足三里を見つけ、そのまた指4本分下です。
- 大腸の下合穴
六腑の働きを整えるツボの組み合わせとして、「募合配穴(ぼごうはいけつ)」があります。
天枢は大腸の募穴にあたり、上巨虚が大腸の下合穴にあたります。この2つを組み合わせた募合配穴によって、大腸をより効果的に整えることができます。
おわりに
今回はお腹にある天枢というツボについてまとめてみました。元々、天枢は北斗七星の第一星の名前で、天にある星々を取りまとめる存在だったようです。そうした特徴から、消化器一切を取りまとめるツボ、ということでここに天枢という名前がつきました。
私たちの体は、食べた物でできています。消化・吸収に関わるツボということは、体の全てに関わるということ。天枢のツボ刺激を取り入れて、腸内環境を整えていきましょう。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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