【衝撃緩衝】足裏・背骨のS字・肩甲骨によるクッション性能

衝撃イメージ 運動器
内骨格である私たちの体には、外部からの衝撃を和らげるための「衝撃緩衝機能」が備わっています。四つ足動物の名残を考えれば、手にも衝撃緩衝機能があり、その低下によって肩こりなどの人間らしい症状が起こるとも考えられます。手足、体幹部にもともと備わっているはずの衝撃緩衝機能を取り戻すことで、運動器への負荷が軽減し、痛みの少ない体で活動することができます。

 

「足裏のアーチは、足をついた時の衝撃を和らげるために働く」というのは、もはや専門家だけでなく一般にも知られる体の仕組みの一つですよね。足裏のアーチだけでなく、人間の体には外部からの衝撃を和らげる様々な仕組みがあります。そうした仕組み・機能を「衝撃緩衝(しょうげきかんしょう)機能」と言います。

衝撃緩衝機能を高めることで、同じ生活、運動をしていても疲れ方が違ったり、故障が減ったりします。足裏のアーチの例で言えば、「アーチが潰れて扁平足だと、膝が痛くなるよ」と訴える広告も理には適っていることになります。こうした膝などの関節の痛み以外にも、めまいやふらつきの原因の一部に衝撃緩衝機能の低下があると考えられます。

特に人より怪我が多い人、筋肉がかたくなりやすい(こりやすい)人は、今回ご紹介する衝撃緩衝機能を確認してみてください。

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外骨格と内骨格ー衝撃緩衝機能の前提

まずはなぜ衝撃緩衝機能があるのか、必要なのかという点から確認していきましょう。私たち人間は外側を固くして身を守ることができない内骨格の生物です。そのため、外からの衝撃を受け流す仕組みを手に入れた、それが衝撃緩衝機能ということになります。

外側(殻)が体を形成する外骨格

外骨格イメージ

内骨格に対する語で,貝類の殻,節足動物の甲などをいう。体を支え,筋肉と結んで運動の役に立つ点は内骨格と同様であるが,体をおおって保護する役目をも兼ねる点が内骨格と異なる。なお,カメの甲は内骨格の変形したもので,外骨格ではない。

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

外骨格とはつまり、カブトムシやクワガタのように、硬い殻(甲)に覆われている生物構造を指します。例えば蟹(カニ)を食べる時には、パキっと関節部分を割ったり切ったりすると、中身には骨がなくそのまま食べることができます。このような生物が外骨格です。外側の殻に、体を形作る役割と体を保護(防御)する働きがあります。

内側(骨)が体を形成する内骨格

一方、人間や魚のように、内部に骨格があり、それに肉付けされるように外身がある生物構造を内骨格と言います。内骨格においては、外からの衝撃から身を守るための殻はありません。そのかわりに、内骨格の生物が体を守るために獲得してきたのが、衝撃緩衝機能です。

私たちの体は、骨構造の並びや関節構造、筋肉の収縮によって、体にかかる衝撃を和らげてダメージを少なくしています。その代表的なものに、足裏のアーチや背骨のS字カーブがあります。

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足裏・足底のアーチによる衝撃緩衝

まずは歩行時の衝撃を和らげる、足裏・足底のアーチによる緩衝機能をご紹介します。

足裏・足底のアーチ

足の裏には「土踏まず」と言われるアーチ構造があります。具体的には、踵から母指・踵から小指・親指の付け根から小指の付け根の3つのアーチがあります。この3つのアーチが形成する三角形が、衝撃緩衝に関わる大切な構造になります。

歩く時や走る時、ジャンプして着地をする時など、足をつく時の衝撃を、アーチ構造が吸収して和らげてくれます。

アーチが崩れる扁平足や外反母趾

こうした足裏・足底のアーチは、扁平足や外反母趾などによって崩れてしまい、衝撃緩衝機能が低下してしまいます。

整体やマッサージなどで、「扁平足や外反母趾のせいで、膝や腰が痛くなる」という謳い文句を見かけませんか?

もちろん営業的な側面もありますが、衝撃緩衝の観点から考えても間違ってはいません。特に足は接地の衝撃を和らげる第一関門でもあります。

足裏・足底アーチによる衝撃緩衝機能を取り戻す

足裏・足底アーチの機能を高めるために、有名な方法としては青竹踏みやタオルギャザー法があります。「足底腱膜」と言われる足裏のアーチを柔らかくし、機能を高めていきましょう。

また足裏・足底アーチの形成には、足指(特に母指)の背屈が不可欠です。足の親指の背屈力を鍛えることは、アーチの機能を高めることにつながります。

「跪座(きざ)」という座り方によって足裏・足底のアーチを取り戻す方法をまとめた記事をご紹介します。

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背骨(脊椎)のS字カーブによる衝撃緩衝

背骨カーブ

背骨(頚椎〜腰椎・仙骨)のS字カーブは、歩くとき、座り込む時の接地の衝撃を和らげます。これによって、頭位の激しい上下動や傾きを軽減することができます。

背骨(脊椎)のS字カーブ

背骨は頚椎・胸椎・腰椎(・仙骨)のつながりからなり、それぞれが湾曲を持つことで背骨としてのS字カーブを形成しています。

  • 頚椎:前弯
  • 胸椎:後弯
  • 腰椎・仙骨:前弯

胸椎の部分は肋骨と関節して、中に肺や他の臓器を収納しています。そのバランスを保つ意味でも、胸椎の後弯は重要になります。背骨の湾曲や肋骨構造は、バネのように衝撃を和らげてくれます。

S字が崩れる猫背・フラットバック

こうしたS字カーブが崩れてしまう姿勢として、猫背やフラットバックがあります。

  • 猫背:背中が丸まりS字カーブがなくなってしまう状態。
  • フラットバック:背骨のS字カーブがなくなり、まっすぐになってしまう状態。

猫背の場合、外から見ても姿勢が崩れていることがわかります。しかし、フラットバックの場合、S字カーブの減少・消失は外から見てもわからないことが多いです。フラットバックでは姿勢が良いように見えるが、体に負担がかかっていることがあります。特に歩行中など、接地の衝撃は和らぐことなく頭部まで届いてしまいます。

S字カーブを維持するために姿勢を意識する

まずは猫背にならないよう、背を伸ばすことを意識しましょう。猫背では、胸椎の後弯が強まる(背が丸まる)状態をカバーしようと、頚椎や腰椎の湾曲も変化していきます。

S字カーブの減少したフラットバックの場合、背骨全体を連動して動かす必要もあります。「キャット&ドッグ」というストレッチがあるので、ご紹介します。

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立甲による肩甲骨の衝撃緩衝機能

JARTAより引用

肩甲骨というと腕や手と関係するため、歩く・座る時の衝撃には関与しないと考えがちです。しかし、四つ足動物の名残からか、手や腕から肩甲骨を上手に使うことで、全身の衝撃緩衝を高めることができます。

本来、四つ足動物だった頃で考えると、手も足と同じように地面についていました。手にも接地の衝撃を和らげる機能があるはずで、その一つに肩甲骨の方に衝撃を受け流す「立甲(りっこう)」があります。

肩甲骨と胸郭に遊びを作る立甲

肩甲骨が浮き上がり、肋骨(胸郭)から離れる状態を「立甲(りっこう)」と言います。立甲した状態では、肩甲骨の自由度が高まり、手や腕の可動域が大きくなります。また、手を床や壁について体を支える時にも、より体幹部に近い大きな筋肉を使うことができるようになります。

腕や手の使い方で立甲しなくなる

私たちは生まれて、ずり這いやハイハイをすることで、手や腕を肩甲骨から動かすことを学習します。しかし成長し立ち上がり、手や腕を細かい作業に使うようになると、徐々に肩甲骨から動かす意識はなくなってしまいます。

こうして肩甲骨の動きが低下していき、本来学習していたはずの肩甲骨から動かす動きを忘れてしまいます。肩甲骨の自由度はどんどん低下し、肩こりや首のこりにつながります。

立甲による衝撃緩衝を取り戻す

立甲することにより、手や腕による衝撃緩衝機能を取り戻しましょう。肩甲骨を動かし、立甲することにより、手や腕に伝わる衝撃を和らげることができます。また、肩甲骨と背骨・肋骨をつなぐように付着する筋肉の柔軟性が上がれば、背骨の衝撃緩衝機能も高めることができます。

立甲のイメージとトレーニング方法を簡単にまとめた記事はこちらへ

 

おわりに

昔、「わー! カチカチ!」と言われるような筋肉をつけようと、必死にトレーニングをしていた時期があります。その時、僕のお師匠にあたる人に、「そんなに体を固くしてどうする」と言われたのをよく思い出します。

内骨格である私たちに必要なのは、今回紹介したような衝撃緩衝機能を保ちつつ、それをサポートするような筋肉をつけることです。ストレッチも同様に、一つ一つの関節可動域を獲得することで、衝撃を和らげるクッション性能を高めていくことが重要です。

少し飛躍しますが、体のかたさ、頭のかたさはその人のメンタル面や人格にも関わります。「人当たりが良い」人ほど、こうした内骨格としての進化を上手に遂げ、柔らかい(感覚的に)人が多い印象です。

今回紹介した足裏・背骨のS字・肩甲骨は衝撃緩衝機能の一部です。体は様々な機能を集約して、外部からの衝撃を和らげ、体を守っています。「体はつながっている」理由の一つでもある衝撃緩衝機能を、ほんの少しご紹介しました。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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