湿痰の症状と改善のための対策【東洋医学でみる症状と養生】

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東洋医学において、体の水分(津液)が過剰な状態を【湿・痰】と言います。湿痰はいわゆる過剰な水分の停滞状態を指し、体のむくみや下痢、痰などの原因になります。汗や尿・便として水分をうまく排出できないと湿痰につながりますが、最近は水分摂取が過剰な人も見かけます。「1日○リットル」という指標も人それぞれと意識しましょう。また、五臓の脾と肺は湿痰との関係も強いため、働きを整える必要があります。
湿痰を改善する経穴(ツボ)として、「豊隆」、「陰陵泉」をご紹介しています。

 

体の中を巡る、気・血・水・精。それぞれ、多くても、少なくても不調につながるため、絶妙なバランスが保たれています。

このページには東洋医学的な体質タイプ【湿痰】についてまとめていきます。

体の水分が過剰になり、停滞している「湿痰」による症状や、改善するための対策などをご紹介します。

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東洋医学でいう「湿痰」とは

体の中の水分のことを、東洋医学では「津液(しんえき)」と呼びます。この津液が体のどこかで滞ってしまうことを「湿」、さらに湿が増えて凝集したものを「痰」と呼びます。

下記の症状がみられる時、東洋医学では湿痰の診断指標となります。

  • 浮腫(むくみ)
  • 下痢
  • 痰絡みの咳
  • (多尿)

東洋医学の津液(水分)のおさらい

津液とは、東洋医学における体内の水分の総称で、「津」と「液」それぞれに意味があります。

  • 「津」:澄んでサラサラの水分。
  • 「液」:粘り気のある水分。

一般的に細胞に含まれている水分はもちろん、関節の中の水分(いわゆる滑液)なども津液に含むと考えます。

津液は栄養・潤いを与え、一部の不要物を回収すると、「五液(涙、汗、涎、涕、唾)」の形や尿便として外に排出されます。また、津液も血と同じで気の作用によって生成されています。

  • 気が津液を生成する(気化)
  • 気が津液を流す(推動)
  • 気が津液を漏らさない(固摂)

「湿痰」による症状

津液がうまく循環・排泄されず停滞してしまい、湿や痰としてたまることで起こる症状を確認していきましょう。

浮腫(むくみ)

体の余計な水分による不調、といえば浮腫(むくみ)が代表的です。

足先や手先のむくみは、津液が滞っている「湿」の症状の現れです。本来は血の循環や筋肉の運動に伴って一緒に循環するはずの水分がうまく循環せず、停滞することでむくみにつながります。

私の治療基準ですが、横になって軽減する程度のむくみなら「湿」、横になっても軽減しないむくみだと「痰」というイメージです。湿と痰だと、それくらい凝集度(粘り)が違います。

下痢・軟便

下痢や軟便も、体内の余分な津液を出そうとする反応です。本来は大腸で適切に水分が吸収され、適度な硬さの便になります。しかし、体に湿痰がある状態だと、大腸での水分吸収が少ない状態で排便され、下痢や軟便になります。

また、便は特に体の水分や寒熱の状態を知る良い指標になります。同じ下痢・軟便でも、粘り気が強くトイレに残るような便は体内に熱がこもっているサインです。一方、サラサラと粘り気がない下痢の場合、体が冷えているサインです。

痰が絡む咳

「痰」というと、のどにつかえる痰のイメージが一般的です。

咳とともに出る痰は、肺の不調と湿痰があわさって起こります。後述しますが、肺は「蓄痰の臓」とも言われ、余分な水分をためこむ働きがあります。これは、呼吸器全般が乾燥に弱いため、自分を守るための肺の働きの一つなのですが、肺の機能が低下しているとかえって痰となり、呼吸の妨げになってしまいます。

余分な水分が蓄積し、痰になってしまうと、その痰を出そうと激しい咳が出ます。

胸悶(きょうもん)

余分な水分(痰)が胸の中に蓄積してしまうと、胸がモヤモヤ、むかつき、ひどいと不眠にもつながります。

様々な要因がありますが、入浴や運動によって汗をかくと気分がスッキリするのは、発汗によって胸中の湿痰が発散されるからだと考えられます。

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水分の停滞である「湿痰」になる原因

湿痰に陥る原因として、大きく3つが考えられます。

  • 外環境の問題による湿痰(外的要因)。
  • 水分の摂り過ぎによる湿痰(水分摂取の過剰)。
  • 水分の代謝の低下による湿痰(水分排出の低下)。

外環境【湿邪】による湿痰

例えば梅雨のように外の湿度が高いと、体の中の湿を外に出しにくくなります。梅雨に体が重だるくなるのは、そうして発散できない湿が体内に蓄積されているからです。反対に、秋冬の乾燥している時期にのどが渇くのは、体の水分が気化して減っているからです。それぞれの時季に適切な水分摂取ができないと、湿痰や乾燥に陥ります。

重い、だるい日は皆さんの体力などのせいではなく、湿度が高いせいかもしれません。

水分摂取量が多いことによる湿痰

必要な水分摂取量は、人によって異なります。体格、年齢、活動量など、それぞれに合った水分量をとらないと、湿痰や乾燥につながります。

「1日に2リットル水を飲むと良い」と聞いて、毎日頑張っているという患者さんが少なくありません。1日に2リットル水を飲んで体調が良い人は、その量を必要とし、消費する体質・体格だからです。

たくさん水を飲んで、むくみや下痢があったり、頻尿になる場合、過剰に水分を摂り過ぎかもしれません。

水分代謝の低下による湿痰

東洋医学において、体の水分を調整するのは五臓の肺・腎・脾です。それぞれの働きの低下によって、水分代謝がうまくいかないと、湿痰に陥ります。

肺の働きの低下

肺には、全身に水分を分配し、汗腺をコントロールして汗を出す働きがあります。

肺の働きが低下すると、汗腺の開閉、つまり汗を出すコントロールがうまくいきません。また、先述した通り乾燥に弱い肺は、湿痰を蓄積する性質を持ちます。肺が適切に働くことで、汗や呼気として余分な水分は排出されています。

腎や膀胱の働きの低下

腎や膀胱の問題となると、一般的な西洋医学の問題と同じです。五臓六腑の腎・膀胱の働きの低下は、尿として余分な水分を排泄する働きを低下させてしまいます。

また、東洋医学の腎には水をつかさどる(「主水」)という働きがあります。体内の水分バランスをつかさどる腎の働きが乱れてしまえば、水分代謝がうまくいかず湿痰につながります。

脾の働きの低下

東洋医学における五臓の脾も、体の水分と関わる臓器の一つです。脾は消化・吸収をつかさどり、飲食によって得る水分を肺に送り届ける働きを持ちます。

こうした働きから、脾を「生痰の臓」というほど、湿痰と関係のある臓器です。しかし、脾自身も湿痰に弱い性質を持つため、体の余分な水分は脾の働きを低下させてしまいます。下痢や軟便は特に、脾の不調を疑う指標の一つにもなります。

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「湿痰」を改善する一般的な対策

体に余分な水分の停滞が起こっているため、まずは水分摂取の適量を知ることが大切です。その上で、水分代謝に関わる五臓の調子を整えていきましょう。

水分摂取量の確認

前述しましたが、水分の摂り過ぎは体に余計な水分が溜まるのでおすすめできません。水やお茶などの単純な飲料以外に、食事からも水分を摂取しています。

1日○リットルと決めず、季節や活動量などで判断して水分を摂ることをオススメします。

食習慣を整え、冷え対策をして脾を養う

飲食によって水分を得る「生痰の臓」である脾は、食習慣の乱れや冷えに弱い性質を持ちます。特に刺激の強いもの、極端に冷たいものなどといった食習慣が続くと、消化・吸収をつかさどる脾は疲労し、働きが低下してしまいます。

  • 冷たい飲食物
  • 味の濃いもの
  • 脂の多いもの
  • 甘いもの

どれも、脾に負担になる食習慣です。湿痰の症状があるときは、特に気をつけるようにしましょう。

他の臓器の働きも正常に

湿痰に関わる臓器は、主に脾と肺です。

  • 脾:「生痰の臓」
  • 肺:「貯痰の臓」

上記の特徴があることからも、二つの臓器は体の余分な水分と関係が深くあります。

また、尿の排出に関わる腎の働きも欠かせません。

つまり、脾・肺・腎の3つの臓器の働きは、正常でなければ湿痰につながると考えて良さそうです。

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「湿痰」を改善する東洋医学の経穴(ツボ)と食事

湿痰の鍼灸治療:去痰・去湿

鍼灸治療で湿痰を治療する方法を「去痰・去湿」と言います。特に去痰・去湿の働きが強いツボをご紹介します。指で軽く押し込んでみたり、ペットボトル温灸などで温めたりしてみてください。

豊隆(ほうりゅう)

豊隆イメージ

豊隆はすねの外側にあるツボです。膝のお皿の下と、外くるぶしのちょうど真ん中の高さにあります。すねの骨から、ちょっと外側にあります。

陰陵泉(いんりょうせん)

陰陵泉イメージ

陰陵線はすねの骨の内側にあるツボです。

すねの骨の内側沿いを、脾に関する経絡(ツボの線路)が走ります。その中でも、すね沿いの一番膝に近い高さの陰陵線というツボは、湿に関するコントロールによく効くツボです。

湿痰を改善する食材

余分な湿・痰を排出するのに適した食材は、五臓の脾・肺・腎に働きかけ、水分代謝を促すような働きをもつものが特徴的です。

海藻類

こんぶ、わかめ、のりなどの海藻類は五臓の腎を養い、泌尿器としての働きを整えます。体内の余分な水分を尿として排泄することで、湿痰を解消します。

瓜科の食材

きゅうり、とうがん、スイカなどの瓜科の食材は、水分に富み、湿痰を改善する食材です。食材の持つ新鮮な水分を摂取し、その特性で湿痰を解消し、古い水分を排出します。

 

おわりに

「人間の60%は水でできている」と聞いたことがあるかもしれません。それでも、余分な水分は体に不調をもたらします。

止めず、滞らず、流れ続けるのが良いですね。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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