ヘルニアと狭窄症の症状の出方の違いと、生活で気をつけるポイント

ヘルニアと狭窄症 体幹

手や足にしびれがあると、多くの場合で椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症を発症しています。同じ手足のしびれなのに、症状名は違い、しびれなどの症状の出方も違ってきます。

 

ざっくりと簡単に症状の違いをまとめると、

  • 椎間板ヘルニア:前屈してしびれや痛みが増す。
  • 脊柱管狭窄症:後屈してしびれや痛みが増す。

 

それぞれの痛みの出方の違いを、発症原因や仕組みなどから確認していきましょう。

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椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症のおさらい

椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症の違いについて、私もよく質問されます。

手や足に出る症状は、どちらの場合もしびれや痛み、知覚異常などであり、似通った神経障害が出ます。

椎間板ヘルニアのおさらい

「ヘルニア」とは、「飛び出してしまったもの」という意味を表す言葉です。そのため、椎間板ヘルニアとは、椎間板が飛び出してしまった状態を表します。

  • 頚椎椎間板ヘルニア:頚椎の椎間板が飛び出してしまった
  • 腰椎椎間板ヘルニア:腰椎の椎間板が飛び出してしまった

椎間板は、椎体(背骨の一つ)と椎体の間にあり、骨同士がぶつからないようにクッションの働きを持つ構造物です。頚椎に7個、胸椎に12個、腰椎に5個の椎体があり、その間にそれぞれ椎間板があり、衝撃を和らげる働きをしています。

椎間板が飛び出す方向

椎間板の中心に、「髄核(ずいかく)」という組織があります。これが、飛び出て神経を圧迫した結果、椎間板ヘルニアと呼ばれる状態になります。

頚椎・腰椎でヘルニアが起こる時、椎体の後方に髄核が飛び出します。

こうして髄核が神経に触れてしまい、しびれなどの神経障害が起こります。

脊柱管狭窄症について

一方、狭窄症は椎体自体の変形が原因で起こります。

そのため、

  • 頚部脊柱管狭窄症:頚部の椎体の変形により、脊柱管が狭窄される
  • 腰部脊柱管狭窄症:腰部の椎体の変形により、脊柱管が狭窄される

脊柱管とは、脊髄(神経)が通るために脊椎にある空洞です。そこが、脊椎の変形で狭くなってる、というのが脊柱管狭窄症です。

椎体の変形する方向

椎体の変形の多くは、脊椎の湾曲に沿った形で起こります。そのため、頚椎と腰椎では、前弯が強まる形に変形することが多いです。

こうして脊椎に変形が起こり、脊柱管が狭まることでしびれなどの神経障害が起こります。

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椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症、それぞれの発症の流れ

椎間板ヘルニアは、頚椎と腰椎の後弯によって発症リスクが高まります。一方、狭窄症は頚椎と腰椎の前弯が強まると発症リスクが高まります。

頚椎と腰椎に共通する「生理的な前弯」の確認

背骨は、頚椎・胸椎・腰椎の部位ごとに下記のような湾曲を持ちます。

  • 頚椎:前弯
  • 胸椎:後弯
  • 腰椎:前弯

どの湾曲も本来人間の体に必要なもので、色々な動きや衝撃の吸収に役立つ構造です。しかし、姿勢の崩れや大きな外力により、こうした湾曲が崩れることがあります。

そうした湾曲の崩れが、ヘルニアや狭窄症の原因になります。

椎間板ヘルニアの発症

椎間板ヘルニアの発症は、いわゆる「背中の曲がった悪い姿勢」の延長で起こるイメージです。

確認したように、椎間板ヘルニアは椎間板の中の髄核が飛び出し、神経に触れてしまう状態です。椎体と椎間板の構造上、椎間板ヘルニアは頚椎・腰椎の後弯によって起こります。

頚椎と腰椎の後弯と書くとわかりにくいと思いますので、下図を見てください。

  • 頚椎の後弯:頭が前に倒れて首で支えている状態。
  • 腰椎の後弯:骨盤が寝てしまって腰が曲がった状態。

頚椎・腰椎の後弯が持続したり、その状態で大きな圧力がかかった時に、椎間板ヘルニアを発症することが多くあります。長時間背中の丸まった姿勢でデスクワークをしたり、重い荷物を下から持ち上げようと背中を丸めたりすると、椎間板ヘルニアのリスクは上がります。

脊柱管狭窄症の発症

脊柱管狭窄症の発症は、ヘルニアとは反対に「良い姿勢の延長」で起こるイメージです。

頚椎・腰椎には生理的な(生まれつきの)前弯があります。狭窄症が起こるときは、こうした頚椎・腰椎の生理的な前弯が強まる形で起こることが多いです。

  • 頚椎の前弯:頭が上がったような状態。
  • 腰椎の後弯:骨盤が立ちすぎて反り腰が強まった状態。

頚椎・腰椎の前弯が持続したり、その状態で大きな圧力がかかった時に、狭窄症を発症することがあります。高齢者の腰椎圧迫骨折の合併症として、脊柱管狭窄症が多いのはそのためです。

 

 

椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症、それぞれの生活上の対策

椎間板ヘルニアや脊柱管狭窄症の、生活上の注意点をまずは簡単にまとめると、下記の通りです。

  • 椎間板ヘルニアは前屈がNG。
  • 脊柱管狭窄症は後屈がNG。
  • どちらにしろ、股関節を軸とした動きを獲得するのが理想。

どちらも、神経の圧迫を強める姿勢をとらないことが理想になります。そして、腰椎に負荷をかけずに動けるよう、股関節を十分に使える体にしていくのが理想です。

椎間板ヘルニアが悪化する姿勢の一例

ヘルニアは背中が丸まるような姿勢で悪化していきます。

  • デスクワーク
  • ソファに長時間座る
  • 下から物を持ち上げる時

腰椎(腰のあたりの背骨)が過度に曲がり、そのまま負担がかかるとヘルニアのリスクはあがります。なるべく腰椎の動きを最小限にして、体を動かす意識が必要です。

脊柱管狭窄症が悪化する姿勢

脊柱管狭窄症の多くは腰が反る、頭が反ることで症状が悪化します。

「人には姿勢が良いと言われるのに、腰が痛い、首が痛い」という人が多い印象です。

椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症どちらにも気をつけて欲しい普段の姿勢

まずは姿勢良く過ごしましょう

ヘルニアも狭窄症も、共通するのは「背骨に起こる構造的な変形」ということです。

背骨は頚椎7個・胸椎12個・腰椎5個の小さな骨(椎体)の集合で、その分動きとしての自由度は高いはずです。しかし姿勢の不良や、負荷の大きさによって、背骨の動きが制限されてしまうと、ヘルニアや狭窄症などの不調につながります。

まずは姿勢良く、適切に動けるように気をつけましょう。

股関節の動きを意識して

しゃがんだり、立ち上がったりする時、一番動いて欲しいのは股関節です。

股関節と書くと難しく感じる人も居るかもしれませんが、お尻のあたりと思ってください。デスクワークや、日頃の運動不足によって、股関節は動きが損なわれやすい部分です。

特に、下にある物を拾う時には体を折るように屈むのではなく、膝を曲げて屈みましょう。

 

おわりに

「首や腰が痛み、手足がしびれる」こうした症状は、椎間板ヘルニアと脊柱管狭窄症、どちらでも似たように現れます。しかし、発症機序から考えると、対策や予防法は少しずつ違います。

姿勢を良くするのも大切ですが、良い姿勢を意識しすぎるのも逆効果なことがあります。

僕はよく、小さな子どもを例に養生の話をします。

グニャグニャと落ち着きなく姿勢を変え、「そんな姿勢で漫画を読むなんて…」というような様相で過ごしていますが、同じ姿勢でいる時間は、それぞれすごく短くなっています。

小さい頃は、ジッとしていることが体に良くないと、無意識でわかっているのかもしれません。良い姿勢も、リラックスしてくだけた姿勢も長すぎず、短すぎずでいきましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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