正座で膝が痛い・できない人に伝えたい、膝の構造と対策まとめ

正座イメージ 股関節・下肢

今回は、【正座ができなくなった】という人に知ってもらいたい、膝関節の可動域と正座の関係をまとめていきます。

生活様式の変化から、正座する機会が減りましたよね。最近では、法事の席でも椅子や台が用意されています。正座をして痛みがある場合、膝関節にかかる負担は大きくなっているため、無理は禁物です。しかし、膝関節の可動域としては、狭まった状態です。その状態では、正座以外にも問題が起こる場合もあります。

正座を通して膝関節の仕組みを知り、正座はしなくとも、可動域の拡大を目指しましょう。

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正座は膝関節に良くない?

いつからか、「正座は膝関節に大きな負担がかかるから、しない方が良い」と言われているようです。

確かに、構造上では正座をすることで膝関節への負担は高まります。

画像のように、テコの原理によって膝関節は、関節を牽引されるような伸張負荷にさらされます。日常生活では、膝関節にかかるのは体重を支える圧迫方向の負荷です。関節構造自体も、こうした負荷に耐えうる形状になっています。

関節をまたぐ筋肉は別問題

関節内部に問題がある場合、確かに正座は膝関節にとって負担となります。しかし、初期の関節の違和感の多くは、その関節をまたぐように付着する筋肉のこわばりです。

そういった筋肉をストレッチするためには、ある程度深く膝関節を曲げる必要があります。曲げ伸ばしどちらも、可動域いっぱい動かすことで、周囲の筋肉の柔軟性が上がり、膝関節の動きが滑らかになることもあります。

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生活習慣の変化と膝関節の可動域

そもそも、膝関節を深く曲げることが減ってきたと感じませんか?

生活環境がアメリカやヨーロッパに近づいたためか、正座をするどころか、深くしゃがみこむ機会すら減りました。ちゃぶ台を囲むように床に車座になった食卓は、テーブルと椅子に。トイレは和式から洋式に変わりましたよね。

日常生活で膝を思い切り曲げること、ほとんどありませんよね?

こうした生活環境の変化から、膝関節の可動域が下がってしまったのかもしれません。もちろん、膝関節や体の負担を減らすべく生活環境は変化してきたので、どちらが先かは定かではありません。

今までは日常的に、深くしゃがみこんだり、正座をしたりしていました。そうした動きをしなくなった代わりと言って少しストレッチをしたくらいでは、膝関節の動きは保てないのかもしれません。痛くない、動く範囲で良いので、少しずつ可動域を広げていきましょう。

 

膝関節をまたぐ筋肉

膝関節を正座するように曲げる時、曲げにくくなる一番の原因筋は「大腿四頭筋」です。

大腿四頭筋のかたさを予防・改善することで、膝関節の可動域は改善します。

大腿四頭筋の確認

大腿四頭筋は、太ももの前から膝蓋骨(お皿の骨)を経由し、膝の下(すねの骨)に付着する筋肉です。

膝関節を強く伸ばす働きがあるため、大腿四頭筋がかたくなると、膝関節を曲げる可動域が狭まります。

定期的に膝を曲げましょう

正座まではいかずとも、

  • 仰向けで膝を抱え込む
  • つかまりながらしゃがむ

など、負荷を軽くしながら膝関節を曲げる練習は可能です。

関節内部の動きを滑らかにする「滑液」は、関節を動かすと分泌が増えます。反対に動かさないでいると、滑液の分泌低下に加え、筋肉や、膝関節を支える他の組織のかたさにもつながります。

気付いた時は、曲げるだけ曲げて、伸ばせるだけ伸ばして、その時の可動域いっぱい動かしてみてください。

▶︎膝のストレッチを、曲がる角度ごとに数種類まとめた記事へ

関節の”あそび”を作ろう

他の関節も同じですが、関節には必ず”あそび”があります。あそびと表現しましたが、関節が動くための余裕だと考えてください。

膝関節は、加齢や長時間の荷重によってあそびがなくなりやすい関節です。膝を抱え込んだり、しゃがんだりした時に余裕があれば、膝関節の裏にタオルやクッションをかませてみてください。

参考:関節の遊びを有する三次元骨格靭帯膝モデルの開発

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正座に関係する関節

正座をするとき、関係する関節は膝関節だけではありません。

  • 足関節(足首)
  • 股関節

それぞれの関節の動きが不十分では、膝関節の負担は大きくなってしまいます。

「正座ができなくなった」イコール加齢だと落ち込む前に、他の関節の動きも確認してみましょう。

足関節(足首)

正座をする姿勢では、足関節(足首)は底屈します。足関節の可動域が狭く、底屈の角度が小さいと、膝関節にかかる負担が増すことがあります。

足関節を背屈して指を立てた「跪座」の姿勢も試してみてください。

足指・足裏の機能を取り戻す跪座(きざ)のメリットのまとめ
「跪座(きざ)」のメリットをご紹介します。跪座は足指を立てた正座の状態を指します。足指を立てることで、足裏のアーチの機能を高めることができ、足指の可動域も広がります。

股関節

太ももの前にある大腿四頭筋のうち、一つの筋肉(大腿直筋)は骨盤の前側から伸びています。そのため、股関節や骨盤周りの筋群のバランスも、膝関節の可動域に影響します。

試しに、

  1. 股関節を曲げた状態で膝を曲げる
  2. 股関節を伸ばした状態で膝を曲げる

上記の1と2を比べて、2の時に曲げにくいようだと、股関節から伸びる大腿直筋のかたさが疑われます。

これは、正座の時には気付かない、膝関節の隠れたかたさとも言えます。

股関節から膝の下まで伸びる腸脛靭帯

骨盤の上縁にあたる腸骨稜から始まり、骨盤・太ももの外側を通り、膝下の腓骨頭に付着する「腸脛靭帯」というかたい組織があります。この腸脛靭帯のかたさが、膝関節の曲げ伸ばしに悪影響を与えることがあります。

腸脛靭帯は骨盤の際から膝下の腓骨の頭に付着し、腓骨から始まる筋肉は足首をまたいでいきます。こうした構造からも、腸脛靭帯が膝関節だけでなく、足首の動きにも関与していることがわかります。

裏を返せば、腸脛靭帯は骨盤周りの筋肉や、腓骨に付着する筋肉の影響を受けます。股関節や足関節の柔軟性が必要なのは、この靭帯の存在もあります。

 

膝関節の問題じゃないことも

筋筋膜性疼痛症候群(MPS)の権威である、整形外科医の加茂淳先生は、痛みの原因は関節内部ではなく、外部の筋肉であることが多いと言います。

変形性関節症や脊柱管狭窄症と言われているものの痛みは筋筋膜性疼痛症候群です。

加茂先生ブログより

関節痛は筋痛症です。(リウマチ、痛風は除きます。これらは関節粘膜の炎症のことが多い)

軟骨が減っているから痛いのではありません。だからレントゲンやMRIとの相関関係はありません。

歩き方のくせ、体重、筋の老化→筋痛→0脚変形→内側軟骨の磨耗→支持能力低下、アライメントの崩れ

筋痛に対して早期介入により多くの膝痛を人工関節にせずにすみます。

加茂先生ブログより

痛みの原因が関節内部ではなく、周囲の筋肉であれば、適度な運動・ストレッチが有効です。もちろん、鍼灸治療やマッサージも効果があります。

セルフケアのお灸などをまとめた記事もあるので、膝周りの気になる部位に試してみてください。過去に膝疾患の一つであるオスグッドについてまとめた記事に、膝周りのお灸についてまとめてありますので、ご参照ください。

▶︎膝のオスグッド病の対策を参考に、膝のストレッチやツボを確認

おわりに

生活環境の欧米化が進む前は、床にしゃがみこみ、トイレにかがみこみ、膝を曲げる機会が多くありました。

関節も、それを動かす筋肉も、「動かす」ことで良い状態を維持できます。「だんだん痛くなってきた」という違和感レベルの間に、少しずつ動かす範囲を広げていきましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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