【井穴まとめ】爪もみのルーツである手足の末端にあるツボの紹介

井穴まとめ 経穴(ツボ)

今回は、ツボの持つ特性の一つである「井穴(せいけつ)」についてまとめてみます。

井穴とはツボの二つ名のようなもので、ツボの中にはこうした「経絡を通してみたツボの特徴」を表す「要穴(ようけつ)」としての側面もあります。(この辺りはわかりにくいので、別途「要穴まとめ」をご覧ください)

井穴は各経絡の終点か始点で、手足の末端にあります。末端にあるからこそ期待できる治療効果や、刺激の方法などをあわせてご紹介していきます。

スポンサーリンク

東洋医学の「井穴(せいけつ)」について確認

まずは井穴の特徴などを詳しく確認していきましょう。

井穴の特徴

井穴は手や足の指先、足の裏など四肢の末端にあります。五臓六腑の経絡それぞれに1つずつあり、その経絡の「脈気が出ていくところ」と考えら、心窩部の膨満感や緊張を解く働きがあります。

五臓の陰経では「井木穴(せいもくけつ)」、六腑の陽経では「井金穴」になります。

各経絡の井穴と位置

治療で実際に用いることが多い井穴は、個別にまとめた記事もあります。ここでは、各経絡の井穴にあたるツボをまとめてご紹介します。

それぞれの臓腑の不調にあわせて、井穴を刺激してみてください。手先や足先にあるので、刺激は比較的簡単にできます。

井木穴 井金穴
大敦(だいとん) 足竅陰(あしきょういん)
少衝(しょうしょう) 小腸 少沢(しょうたく)
隠白(いんぱく) 厲兌(れいだ)
少商(しょうしょう) 大腸 商陽(しょうよう)
湧泉(ゆうせん) 膀胱 至陰(しいん)
心包 中衝(ちゅうしょう) 三焦 関衝(かんしょう)

手にある井穴

  • 親指:少商(肺)
  • 人差し指:商陽(大腸)
  • 中指:中衝(心包)
  • 薬指:関衝(三焦)
  • 小指:少衝(心)、少沢(小腸)

足にある井穴

  • 足底:湧泉(腎)
  • 親指:隠白(脾)、大敦(肝)
  • 人差し指:厲兌(胃)
  • 薬指:足竅陰(胆)
  • 小指:至陰(膀胱)

各井穴の位置詳細

五臓の井穴の位置の詳細もあわせてご紹介します。リンクがあるものは、ツボの働きや効果などを詳しくまとめた別ページへ移動します。

  • 大敦(だいとん)ー肝の井穴

足の第1指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。

足の親指の外側(小指側)、爪の生え際にあります。

  • 少衝(しょうしょう)ー心の井穴

小指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。

手の小指の外側(親指側)、爪の生え際にあります。

  • 隠白(いんぱく)ー脾の井穴

足の第1指、末節骨内側、爪甲角の近位内方1分(指寸)、爪甲内側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

足の親指の内側、爪の生え際にあります。

  • 少商(しょうしょう)ー肺の井穴

母指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。

手の親指の外側(親指側)、爪の生え際にあります。

足底、足指屈曲時、足底の最陥凹部。

井穴の中では珍しく、足の裏にあるツボです。

  • 中衝(ちゅうしょう)ー心包の井穴

中指、中指先端中央。

中衝は爪の生え際でなく、中指の先端にあります。

 

六腑の井穴の位置の詳細もあわせてご紹介します。リンクがあるものは、ツボの働きや効果などを詳しくまとめた別ページへ移動します。

  • 足竅陰(あしきょういん)ー胆の井穴

足の第4指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。

足の薬指の外側(小指側)、爪の生え際にあります。

  • 少沢(しょうたく)ー小腸の井穴

小指、末節骨尺側、爪甲角の近位内方1分(指寸)、爪甲尺側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。

手の小指の内側(小指側)、爪の生え際にあります。

  • 厲兌(れいだ)ー胃の井穴

足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

足の人差し指の外側(小指側)、爪の生え際にあります。

  • 商陽(しょうよう)ー大腸の井穴

示指、末節骨橈側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲橈側縁の垂線と爪甲基底部の水平線との交点。

手の人差し指の外側(親指側)、爪の生え際にあります。

  • 至陰(しいん)ー膀胱の井穴

足の第5指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分(指寸)、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。

足の小指の外側、爪の生え際にあります。

  • 関衝(かんしょう)ー三焦の井穴

薬指、末節骨尺側、爪甲角から近位内方1分(指寸)、爪甲尺側縁の垂直線と爪甲基底部の水平線との交点。

手の薬指の外側(小指側)、爪の生え際にあります。

ツボの位置は新版経絡経穴概論より引用しています。

スポンサーリンク

井穴と爪もみ療法の関係

指先を揉み込む「爪もみ療法」にも、井穴の考えが一部含まれています。

爪もみ療法

爪の両脇を挟むようにして揉み込むことで、自律神経の働きを整えると考えられています。これを「爪もみ療法」と言い、自律神経や免疫の権威である安保徹医師が提唱したことで有名になりました。

爪もみ療法の指ごとの効果

爪もみ療法は、主に手の指を刺激する方法です。

  • 親指:肺など呼吸器
  • 人差し指:胃腸など消化器
  • 中指:耳
  • 薬指:交感神経を優位に
  • 小指:心臓や腎臓

爪もみ療法では、指先を刺激することで交感神経ー副交感神経のバランスを整えると考えられています。各指ごとに対象となる臓腑や機能があり、自律神経のバランスを整えることでそれぞれの効果が出ると考えられています。

特に親指や人差し指などをみても、井穴の所属する臓腑と共通する部分があります。この中でも特徴的なのが、薬指への刺激が交感神経の働きを高めると考えられているところです。

スポンサーリンク

鍼灸治療における井穴の使われ方

個人的な考えですが、実際の鍼灸治療で井穴に鍼を刺すことは滅多にありません。指先に鍼を刺されるって、怖いじゃないですか。神経が密集していて、痛みも強く感じそうですし。

井穴は主に、「刺絡(しらく)療法」という治療法で用いられます。刺絡療法とは、特殊な鍼によって経穴(ツボ)を刺激することで、結果的に出血を伴い、症状の改善を目指す治療法です。

刺絡療法と井穴

手足の末端にある井穴のツボは、東洋医学的には「経脈の出るところ」という特徴を持ちます。また西洋医学的にみても、手足の末端は循環の力も弱く、滞りやすい部位です。

  • 脈気の出口
  • 循環の低下

こうした特徴を踏まえて、井穴から出血させることで停滞している気血を排出し、新鮮な気血を循環させることができます。

例えば筋肉のこりや、皮膚の色の悪さなど、多くの場合そこには血流の悪さが存在します。栄養豊富な血液が届くはずが、冷えなどの要因によって新鮮な血液が届きにくくなります。そして、栄養と老廃物を交換し終わった血液がその場にとどまり、こりなどにつながります。東洋医学では、こうした状態を「血瘀(けつお)」と言います。

そうした老廃物の多い古くなった血液を刺絡療法によって外に出すことで、その部位に一時的に貧血が起こります。そして、その貧血を改善するように体が働き、新鮮な血液が届くようになります。

こうした一連の反射を無理やり起こす代表的な治療が、爪もみ療法や井穴刺絡ということになります。

救急穴としての井穴

脈気の出口、循環の悪いポイントという特徴から、井穴は救急穴として用いられることがあります。救急というのは、特に脳卒中などの脳血管障害です。

急激に上にあがり脳卒中の原因となりそうな気血を、井穴からの出血を促すことで外に出してあげるイメージのようです。

 

おわりに

今回は、「井穴」というツボの特性についてまとめてみました。各経絡の末端にある井穴は、特に気や血が滞りやすい特徴があります。そうした特徴から、爪もみ療法や井穴刺絡療法など、循環を改善することで全身の調子を整える治療法が発案されてきました。

セルフケアで井穴刺絡を行えるわけではありませんが、爪もみ療法でも同様に近い効果が得られます。末端の循環から、全身を整えていきましょう。

 

大丈夫、大丈夫。

鍼灸指圧治療院あたしんち

コメント