「経絡」と言われるものの一つである、【手の少陽三焦経(しょうようさんしょうけい)】についてまとめます。
手の少陽三焦経の特徴
流注概要
手の少陽三焦経は、手の厥陰心包経の脈気を受けて薬指内側端に起こり、手背、前腕後面、肘頭、上腕後面を上り、肩に上って胆経と交わり、大鎖骨上窩に入り、胸中より広がり、心包を絡い、横隔膜を貫いて三焦に属する。
胸中より分かれる支脈は、上って大鎖骨上窩に出て、項部から耳の後部、上部を経て側頭窩を過ぎ、目の下方に至る。耳の下で分かれた支脈は耳の後から中に入り前に出て、外眼角に至り、足の少陽胆経につながる。
手の少陽三焦経は手の薬指から始まり、腕を上がって顔に伸び、耳をめぐって目の外側に終わる経絡です。
三焦経は正経十二経脈に属します。経脈は中焦(ちゅうしょう)という体の中心から起こり、五(六)臓六腑の正経十二経脈が体を循環するように連絡し合い、最後は再び中焦に戻ります。
経穴数
23穴。
英名
“Triple Energizer Meridian”。
関衝のツボをTE1とし、糸竹空(TE23)まであります。
手の少陽胆経に所属する経穴(ツボ)一覧
胆経に所属する経穴(ツボ)と、その使用感(私個人の)についてまとめます。
関衝(かんしょう)
薬指、末節骨尺側、爪甲角から近位内方1分、爪甲尺側縁の垂直線と爪甲基底部の水平線との交点。
液門(えきもん)
手背、薬指と小指の間、みずかきの近位陥凹部、赤白肉際。
中渚(ちゅうしょ)
手背、第4・第5中手骨間、第4中手指節関節近位の陥凹部。
陽池(ようち)
手関節後面、総指伸筋腱の尺側陥凹部、手関節背面横紋上。
「陽の池」という名前の通り、体を温める効果が期待できます。特に上肢(腕や手)の冷えに効果的です。
外関(がいかん)
前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方2寸。
外関のツボは心包経のツボである「内関(ないかん)」の真裏にあります。内関と同様、自律神経の調整などの効果があります。
支溝(しこう)
前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方3寸。
会宗(えそう)
前腕後面、尺骨の橈骨縁、手関節背側横紋の上方3寸。
三陽絡(さんようらく)
前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方4寸。
四瀆(しとく)
前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、肘頭の下方5寸。
天井(てんせい)
肘後面、肘頭の上方1寸、陥凹部。
清冷淵(せいれいえん)
上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方2寸。
消濼(しょうれき)
上腕後面、肘頭と肩峰角を結ぶ線上、肘頭の上方5寸。
臑会(じゅえ)
上腕後面、三角筋の後下縁、肩峰角の下方3寸。
肩髎(けんりょう)
肩周囲部、肩峰角と上腕骨大結節の間の陥凹部。
天髎(てんりょう)
肩甲部、肩甲骨上角の上方陥凹部。
天牖(てんゆう)
前頸部、下顎角と同じ高さ、胸鎖乳突筋後方の陥凹部。
翳風(えいふう)
前頸部、耳垂後方、乳様突起下端前方の陥凹部。
翳風のツボは顔面神経の麻痺や痛み、耳鳴りや難聴などに効果的なツボです。
瘈脈(けいみゃく)
頭部、乳様突起の中央、翳風と角孫を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上、翳風から3分の1。
顱息(ろそく)
頭部、翳風と角孫を結ぶ(耳の輪郭に沿った)曲線上、翳風から3分の2。
角孫(かくそん)
頭部、耳尖のあたるところ。
耳門(じもん)
顔面部、耳珠上の切痕と下顎骨の関節突起の間、陥凹部。
耳門のツボは聴覚の異常に加え、顎関節の痛みや不調に効果的です。
和髎(わりょう)
頭部、もみあげの後方、耳介の付け根の前方、浅側頭動脈拍動部の後方。
糸竹空(しちくくう)
頭部、眉毛外端の陥凹部。
参考:新版経絡経穴概論
鍼灸指圧治療院あたしんち
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