パーキンソン病について(症状、原因、予後、治療)

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パーキンソン病とは

パーキンソン病は中脳にある黒質の細胞が変性を起こすことでドパミン産生が低下し、スムーズに体を動かすことができなくなる神経変性疾患です。4大症状として、無動・筋強剛(筋固縮)・安静時振戦・姿勢反射障害が特徴的です。他にも排尿・排便障害、起立性低血圧、脂漏性皮膚などの自律神経障害も伴うことがあります。
患者数は人口10万人あたり100~150人と推定され、神経変性疾患の中では最も頻度が高い病気です。また、65歳以上の有病率はその数倍となることからも、中高年以降に好発年齢があります。

パーキンソン病の4大症状

パーキンソン病の4大症状には、無動、筋強剛(筋固縮)、安静時振戦、姿勢反射障害があります。

無動

パーキンソン病の無動に特徴的な3つの点に、下記の症状があります。

  • 動作緩慢:動作がゆっくりになる。
  • 小字症:書いている字がだんだん小さくなる。
  • 仮面様顔貌:表情の変化が乏しくなる。

筋強剛(筋固縮)

筋強剛(筋固縮)とは、受動運動(外から動かすこと)に対し、関節が歯車様、または鉛管様に抵抗して動く現象を指します。

安静時振戦

パーキンソン病では、じっとしている(安静)時に手足のふるえが出現します。特に片側の上肢か下肢に起こりやすい傾向にあります。

姿勢反射障害

立位時や歩行時に前傾姿勢になり、転びやすくなります。また、体の傾きに対して適切に姿勢を正す対応ができなくなります。

無動+姿勢反射障害による歩行障害

また、パーキンソン病では歩行困難・歩行障害に陥ることも多く、これは4大症状の無動と姿勢反射障害があわさることで起こると考えられています。歩き始めに足がすくんでしまう「すくみ足」や、歩幅が小さくなる「小刻み歩行」、歩き出すと前のめりになって止まらなくなる「加速歩行」などがパーキンソン病に特徴的な歩行様相です。

自律神経障害やその他併発症状

上記の4大症状の他に、排便・排尿障害、頭痛、嗅覚障害、睡眠障害、起立性低血圧、発汗異常、認知症、抑うつなどの症状を併発することがあります。こうした症状は発症から経過した時間で差があったり、個人差や程度の差があります。

パーキンソン病の進行と重症度分類

パーキンソン病は完治することは難しいものの、進行は比較的ゆるやかで、今は効果的な薬もあります。日常生活に支障が出ないように薬を服用することで、長い年数に渡り良い状態を保つことができます。

ヤール重症度分類

パーキンソン病の進行の度合いを5段階ではかる「ヤール重症度分類」があります。

  • Ⅰ度:症状は片側の手足のみで、日常生活への影響はごく軽度。
  • Ⅱ度:両側の手足に症状が出て、多少の不便があるものの日常生活を送れる。
  • Ⅲ度:歩行障害、姿勢反射障害が出て活動が制限される。自立した日常生活は送れる。
  • Ⅳ度:両側手足の症状が強く、自力での生活が困難。多くの面で介助が必要。
  • Ⅴ度:1人で立てず、車椅子や寝たきりに。全面的介助が必要。

こうした重症度分類をもとに、生活をサポートするサービスを考えたり、リハビリテーションの内容を考えたりします。

パーキンソン病の発症原因

中脳黒質のドパミンが減少して起こります。
体を動かす時、自分の意図した通りに体が動く様に運動の調節を指令している神経伝達物質がドパミンです。このドパミンは、中脳の黒質のドパミン神経細胞で作られています。パーキンソン病ではドパミンが十分に作られなくなるため、運動の調節がうまくいかなくなり、運動障害につながります。
ドパミンが減ると、体が動きにくくなり、ふるえが起こりやすくなります。ドパミン神経細胞は年齢とともに自然に減っていきますが、パーキンソン病の場合は普通より速いスピードで減っていきます。
パーキンソン病は食事や職業、住んでいる場所などが原因で起こる病気ではありません。また、家族にパーキンソン病の人がいるからといって遺伝的に起こることもなく、ほとんどは孤発性です。

パーキンソン病の寿命や予後

パーキンソン病発症から初期

パーキンソン病は、一昔前まで「パーキンソン病になると10年後には寝たきり」と言われていました。現在ではお薬の開発もあって、治療を受け始めてから3年~5年くらいの間は薬を服用することで1日中症状を抑えることもできます。この期間を「ハネムーン期間」と言ったりもします。

パーキンソン発症から5年程度以降

ウェアリングオフ現象の出現

病気の進行や薬への耐性の変化によって、次第に薬を飲んでも数時間後に効果が切れるようになってしまいます。また、薬が効いている時間と、そうでない時間で体の動きに大きな差ができるようになります。こうした現象を「ウェアリングオフ(wearing off)現象」と言います。

不随意運動(ジスキネジア)の出現

ジスキネジアとは自分の意思に反して手足が勝手に動く症状で、パーキンソン病の薬の濃度が高くなった時に出現することが多くあります。強さの程度は人によって異なりますが、重いものだと動作の邪魔になったり、壁や手すりに手足をぶつけてしまうほどの強さで動いてしまうものもあります。

発症10年から15年頃は認知症が増加傾向に

パーキンソン病の発症から年数を経るごとに、認知症を発症する方も増加する傾向にあります。パーキンソン病患者の約40%が認知症を発症するというデータもあり、パーキンソン病の診断から10年~15年が発症の目安となっています。

寿命に関係があるか

パーキンソン病の寿命としては、健常者の平均寿命と大きく変わらないと考えられています。薬の開発が進んだことで、症状の進行が緩やかになったため、平均寿命と比べても2年や3年短い程度です。
しかしパーキンソン病の悪化にによって寝たきりになってしまうと、寿命が短くなる可能性はあります。

パーキンソン病の治療

パーキンソン病の治療の中心となるのは、薬物療法とリハビリテーションです。比較的緩徐に侵攻する病気ですが、初期の方が進行のスピードは速いため、早期に適切な治療を受けることが大切です。また、体が動くうちから規則正しい生活や運動習慣をつける必要があります。

薬物療法

L-dopa(レボドパ)

L-dopaは腸から吸収され脳内へ移行し、ドパミン神経細胞に取り込まれてドパミンとなります。その後、運動調節のために放出されドパミン受容体に作用します。
L-dopaは服用期間が長くなると、作用時間が短くなり服用後2時間程度で効果が薄れ、急に動けなくなり「ウェアリングオフ現象」が現れやすい傾向にあります。効果が薄いと感じ薬の服用が過剰になると、不随意運動(ジスキネジア)が起こってしまいます。

ドパミンアゴニスト

ドパミンアゴニストは、L-dopaと比較すると作用時間の長いドパミン受容体刺激薬です。こちらは長く飲み続けても薬効の変動が起こりにくい薬です。しかし、ドパミンアゴニストは効くのに時間がかかる他、吐き気や幻覚・妄想などの副作用が起こることがあります。

抗コリン薬

抗コリン薬はパーキンソン病の治療薬として最初に使われた薬です。パーキンソン病ではドパミンの減少に伴って、もう一つの神経伝達物質であるアセチルコリンが相対的に過剰になります。その作用を減らすために、抗コリン薬が使われます。

アマンタジン

アマンタジンはもともと抗ウイルス薬として開発され、A型インフルエンザの治療薬としても使われます。ドパミン放出を促す働きがある他、ジスキネジアを抑制する効果が知られています。

ゾニサミド

ゾニサミドはてんかんの治療薬として使われていましたが、2009年にパーキンソン病に使うことが認められた薬です。L-dopaとの併用で使われる薬で、ウェアリングオフ現象や振戦に効果があります。

リハビリテーション

基本的な身体機能に対するリハビリテーション

パーキンソン病に対して重要なリハビリテーション(以下、リハビリ)として、下記のような内容が挙げられます。

  • 体力維持のための有酸素運動などの全身運動
  • 筋肉と関節の柔軟性維持のためのストレッチなどの運動
  • 筋力維持のための筋力トレーニングなどの運動
  • 姿勢や歩行の改善のための運動
  • 呼吸訓練
  • 苦手になってしまった動きの復習のための運動

生活動作のリハビリテーション

前項で挙げた単純な身体機能の維持や向上だけでなく、生活に必要な動作を損なわないため、向上させるためのリハビリも必要です。起居動作、食事、更衣、排泄、入浴、書字などの動作を通じて、体の機能を向上させましょう。

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