症状から五臓の肺の不調を知り、完治・根治を目指す東洋医学の考え方

肺2 五臓六腑

私たちの体を構成する、五臓六腑の一つであるに肺ついて、基本的な働きや養生をまとめました。

今回はその働きの続編として、実際に体に起こる症状を踏まえ、その時に五臓の肺がどのように調子が悪くなっているかを確認していきます。

肺の働きが悪くなると起こる症状として、下記の症状があります。

  • 風邪をひきやすくなる。
  • 慢性的な喘息もち、鼻炎もち。
  • 呼吸が浅い。
  • 下痢やむくみなど水分代謝が乱れる。
  • 皮膚が弱い、体毛が濃い。

これらの症状が、五臓の肺とどのように関係し、起こっているのかを確認していきます。

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呼吸に関わる器官の不調は全て肺の不調

東洋医学における五臓の肺には、鼻・のどや気管・気管支といった、呼吸に関わる全ての器官が含まれます。そのため、こうした部位に起こる不調も肺の不調と捉え治療します。

気管支喘息、気管支炎、鼻炎、副鼻腔炎など、どれも、東洋医学では肺の治療を行うことで改善します。

風邪をひきやすい(易感冒)は「衛気」の不足

「風邪をひきやすい」ことを「易感冒(いかんぼう)」といいます。

肺は働きの一つである「宣発(せんぱつ)」によって、体表に「衛気(えき)」というバリアを張り巡らせています。これは、気の働きの一つでもある「防御」の働きの延長と言えるので、まとめると「肺の気(肺気)」によってバリアが強固になります。

肺気が足りない人は、衛気のバリアをうまく張りめぐらせることができず、外邪が簡単に体内に入り込んでしまいます。風邪だけでなく、その他の感染症も同様にかかりやすくなります。

気管支喘息や浅い呼吸は肺と腎の働きの低下

気管支喘息や、普段から深く呼吸が行えない場合、五臓の肺と腎の働きが低下していると考えられます。

肺と腎は元々サポートし合って、肺が深い呼吸をすることで、外気から得る新鮮な気を腎に納めることで、気を補充しています。この時、肺は「粛降(しゅくこう)」の働きをもって、しっかりと吸い込んだ空気を下に押し下げます。こうして呼吸によって得る気は腎に向かって降りていきます。そうして降りてきた気を、腎の「納気(のうき)」の働きで、腎に収納しています。

呼吸器の問題でもある気管支喘息ですが、他にもアトピー体質や花粉症などのアレルギー疾患全般や、発育不良がみられる場合は、五臓の腎の治療も必要です。

風邪や喘息の場合、痰や咳の性質を確認

風邪や喘息で出てくる咳や痰にも違いがあります。

コンコンと乾いた咳が出る場合、水分が不足し熱があります。一方、ゴホゴホと湿った咳が出る場合、乾いてはいませんが痰が出るようなら水分が過多な状態です。

また、そうして出てくる痰に色がついたり、粘りがある場合は、体内の熱が高い状態です。反対に、色が薄く、水様の痰の場合、熱はなく冷えていることがあります。

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皮膚が弱い・体毛が濃いのは肺が弱いから

弱いところに毛が生える

先述した通り、肺は衛気を張りめぐらせて体表にバリアを張り、外邪から身を守っています。しかし肺の働きが弱いと、こうした衛気のバリアをうまく張ることができず、下記のような皮膚の症状が表れることもあります。

  • 肌(皮膚)の乾燥
  • 日焼けしやすい(赤くなりやすい)
  • 傷ができやすい
  • 汗をかきにくい

皮膚(体表)の弱さを代償するように、体毛が濃くなることがあります。体毛には保温や衝撃を和らげる役割などもあるため、外環境から守る必要がある場所に生えてきます。

私の妻も、妊娠中だけ下腹部にうっすらと毛が生えました。「これは、お腹の中の赤ちゃんを守ってくれているんだね」と話していた通り、出産後にその毛はなくなりました。

皮膚の状態と関係する肺の働き

肺は六腑の一つである大腸と表裏関係にあります。

大腸において飲食物のカスから便を形成し、腸内で水分を再吸収します。再吸収は体内の水分バランスで行われるため、水分過多であれば下痢気味に、水分不足であれば硬い便になります。

こうして再吸収した水分は、再び肺に送られ、表皮を潤すための水分として用いられます。そのため腸内環境が悪かったり、飲食物の質が悪いと、再吸収する水分の質も悪くなり、そうした水分で表皮を潤すことになります。結果、肌荒れやできものなどの皮膚の問題につながります。

腸内環境の良し悪しが皮膚に影響する、というのは東洋医学の世界では昔から当然のように考えられていました。

 

肺の通調水道の働きの低下によるむくみや下痢

肺には他にも、「通調水道(つうちょうすいどう)」という働きにより、体内に水を分配する役目があります。飲食によって得た水分や、大腸から再吸収した水分などを、全身に巡らせる働きを指します。

この働きが低下すると、体内の水分が滞り湿痰となります。むくみ、痰が絡む、下痢など、いわゆる「水分過多」の症状が出ます。

通調水道の働きの確認

体の水分の流れをザックリとみると、

  1. 五臓の脾が飲食物の水分を肺に送る。
  2. 肺が通調水道の働きで、全身に水分を巡らせる。
  3. 肺が汗腺をコントロールし、余分な水分を汗として出す。
  4. さらに余った水分は膀胱に送られ、尿として出す。

こうしてみてみると、水に関する肺の働きには、下記の3つがあることがわかります。

  • 水を分配する働き。
  • 水を汗として出す働き。
  • 水を膀胱に送る(粛降)働き。

肺の働きが低下すると、むくみや下痢になるのも納得できます。

 

肺の東洋医学的な治療・養生を確認

肺は乾燥に弱い臓器

冬の寒く乾燥した時季に風邪をひきやすいイメージの通り、五臓の肺は乾燥に弱い臓器です。マスクの着用・加湿を心がけ、秋冬の乾いた空気に注意しましょう。

マスクにデメリットもあると思うこの頃

マスクを息苦しく感じる人も少なくないと思います。

私たちは呼吸によって、新鮮な空気を体内に取り込み、「宗気(そうき)」という気を生成しています。新鮮な空気を吸って、元気になるのは良い宗気を補充できるからだと考えられます。

マスクをして、一息吸うことで得られる宗気が減ってしまうと、体内の気が少なくなると考えられます。加湿された屋内や、反対に空気が気持ち良く感じる空間では、マスクを外して、深く呼吸をしておくとよいでしょう。

風にあたりすぎるのも良くない

肺の働きによって、体表に衛気のバリアを張っている、と紹介しました。

例えば、寒い場所や風の強い場所にずっといると、体を守るためのバリアを張り続けなければなりません。衛気に気を使いすぎてしまえば、体全体でみた気も消耗してしまう上、肺も疲れてしまいます。

薄着を避けたり、ウインドブレーカーを羽織ったりするのは、実はとても理に適ったことなんですね。また、乾布摩擦は皮膚を刺激することによって、衛気を高める効果があるのかもしれません。

相生・相克関係の確認

  • 脾:肺の働きをサポートしてくれる(相生関係)臓器
  • 心:肺の働きを抑制する(相克関係)臓器

上記の関係を踏まえると、肺の働きを整えるためには、脾の働きを高め、心の働きを抑えることが重要です。

脾は生痰の臓、肺は貯痰の臓

肺の働きをサポートする五臓の脾の働きは、食事や冷え、湿によって左右されます。正しい食生活を送ると風邪をひかない、というのも当たり前ですが再認識します。

食生活が乱れて脾の働きが低下すると、湿や痰が生まれます。このことから、脾を「生痰の臓」と言います。そうして生まれた痰は、肺に届き肺に蓄えられてしまいます。そのため、肺を「貯痰の臓」と言います。

鼻炎や喘息のある人が食生活に気をつけたほうが良いのは、こうした理由もあります。

肺を養う五味は辛味

肺を養う五味は、「辛味」です。

ここでいう辛味とは、生姜、ねぎ、大根、シソなどを指します。お鍋などに入っていると、ほっとするような辛味のことです。

また、のど飴などで馴染み深いハッカ(ミント)も辛味に入ります。辛味は刺激が強いので、食べ過ぎると消化する脾胃が疲れてしまいます。適量を心がけましょう。

肺の調子を整える経穴(ツボ)

私たち鍼灸師が実際に使うツボをご紹介します。ツボへの刺激は、簡単なもので大丈夫です。

太淵(たいえん)

太淵

太淵は手首にあるツボです。

肺に所属する重要なツボで、鼻炎の悩みなどによく用います。

中府(ちゅうふ)

中府は長引く咳や痰の症状に、温めることをオススメするツボです。中府だけでなく、鎖骨の下をなぞるように温めてみて下さい。

 

 

おわりに

実際にこうした症状を踏まえ、東洋医学では「証(しょう)」を立て、それに合った治療を行います。

▶︎東洋医学における五臓の肺の病証と症状、その治法のまとめ

治療はあくまで鍼灸治療や漢方がありますが、こうした症状を知り、日々の生活を心がけることが第一です。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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