気虚の症状と改善のための対策【東洋医学でみる症状と養生】

気虚の詳細イメージ 気血水精
東洋医学において、気が不足すると「気虚」という状態になります。気には推動・固摂・温煦・防御・気化の5つの働きがあり、全身の調子を整えています。気虚ではそうした働きが低下してしまうため、倦怠感息切れ冷えなどエネルギー不足のような症状が現れます。よく休み、しっかりと食べることが大切ですが、体が疲れている時はどちらも注意が必要です。
気虚を改善する経穴(ツボ)として、「足三里」、「気海」というツボをご紹介します。

 

体の中を巡る、気・血・水・精。それぞれ、多くても、少なくても不調につながるため、絶妙なバランスが保たれています。

このページには東洋医学的な体質タイプ【気虚】についてまとめていきます。

  • エネルギーの不足
    • 息切れ、易疲労
    • 倦怠感、無力感
    • 疲れると体調が悪化する
  • 気の働きの低下
    • 何もしなくても汗が出る
    • 寒気を感じる
  • 各臓腑の働きの低下

これらの不調がある場合、気を補充し、消耗を避ける必要があります。

  • 睡眠をとる
  • 長湯・どか食いも気を消耗する
  • 気を補う豆などの食材をとる

生活習慣では、上記3点を特に気にしてみてください。

それぞれ、細かくみていきましょう。

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「気虚」の症状とは? 気の不足でどうなる?

体の中の気が虚している(足りない)状態を「気虚(ききょ)」と言います。

下記の項目が、気虚の代表的な症状の指標とされています。気の働きが足りない・低下しているため、一般的に言えば「元気のない」状態になります。

  • 強い倦怠感や無力感
  • すぐに息切れする
  • 声に力がなくなる
  • 何もしていないのに汗をかく(自汗)

そもそも「気」って何?

気とは、体を巡る物質であり、4種類・5つの働きをもって体の機能に関わっています。特に気虚の場合、気の働きが低下してしまうため、様々な症状につながります。

▶︎「気」に関する詳細はこちらのページへ

気の4つの種類のおさらい

  • 原気(げんき):活動力の源とも言える気。
  • 宗気(そうき):呼吸によって得る気。
  • 営気(えいき):体を栄養する気。
  • 衛気(えき):体表をめぐるバリアになる気。

気の5つの働きのおさらい

  • 推動(すいどう):成長、臓腑の活動、血や津液を送るなど、推し動かす働き。
  • 固摂(こせつ):体液の漏出を防ぐ働き。
  • 防御:外からくる菌やウイルス(外邪)の侵入を阻止する働き。
  • 温煦(おんく):体を温める働き。
  • 気化:気血水精の変化、代謝など体内で物質変化を起こす働き。

気虚の症状

これら4種・5つの働きを踏まえて、気虚の指標となる症状を確認してみましょう。

  • 強い倦怠感や無力感【原気の不足】
  • すぐに息切れする【宗気の不足】
  • 声に力がなくなる【宗気の不足】
  • 何もしていないのに汗をかく(自汗)【固摂の低下】

指標となる症状でも、関わる気の種類や働きを見分けることが大切です。他にも、貧血傾向(営気の不足)や冷え症(温煦の低下)、風邪をひきやすい(衛気の不足・防御の低下)など、気の不足は多くの症状の原因となります。

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気の不足である「気虚」になる原因

気虚になる原因として、大きく3つ考えられます。

  • 元々の気の不足(体質)
  • 気の消耗が激しい
  • 気の生成が追いついていない

気虚の原因を自動車で例えると、ガソリンが無いのか、燃費が悪いのか、給油が追いついていないのか、という感じです。

体質的な元々の気の不足

気の種類で言えば、「原気」の不足がこれにあたります。いわゆる虚弱体質がこれに近く、極端な瘦せ型や、病み上がりの時なども原気の不足による気虚が考えられます。

これには、腎に貯蔵される精の量も関わります。気に変化させるだけの精がない場合、同様に気虚に陥ります。発育の問題などはこれにあたります。

気の消耗が激しい

活動力の源となる気なので、活動量が多い場合には気を消耗し、それが激しければ不足していきます。後述する気の生成とのバランスが合わず、消耗ばかりしていては気虚に陥るのは当然です。また、同じ動きをしても人より疲れやすい人は、こうした消耗が激しいタイプかもしれません。

消化・吸収や呼吸など、五臓六腑の働きなども気によって成り立ちます。いわゆる「運動」のような活動だけでなく、飲食の乱れや過食も気を消耗する原因になります。

気の生成が追いついていない

先述した気の消耗とのバランスですが、使用し消耗した気の分だけ生成して補充しなければ、減少して気虚に陥ります。飲食によって気を補充し、適度な休息によって気の消耗を抑えることで、気の消耗と生成のバランスをとっています。

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「気虚」を改善する対策

気の不足である気虚を改善するために、適度な休息をとること、五臓六腑の働きを整えることなどが重要です。

休息をとる

気虚の一番の対策は、気を過剰に使わないようにすることです。そのためには、しっかり休息をとることが大切です。飲食による気の補充も、体を休めている時の方が効率的に行われます。他のことに気をとられたり、体を動かすことに気を使ってしまうと、うまく気を補充していけません。

また、お風呂での休息も注意点があります。お風呂に浸かってリラックスすることも大切ですが、熱いお湯への入浴や長風呂は、かえって気を消耗してしまいます。疲れている時や、体調が優れない時には、ぬるま湯にサッと浸かる程度に抑えましょう。

臓器の働きを整える

気を生成する臓器の働きが低下していると、気の生成が追いつかず不足してしまいます。五臓六腑それぞれの働きが正常であるのが理想ですが、その中でも下記の臓器は特に気の生成に関わります。

  • 肺:「呼吸」による気の取り込み。
  • 脾:「飲食」による気の取り込み。
  • 腎:気の元となる「精」の貯蔵。

呼吸は宗気と衛気、飲食は営気、精は原気に関わります。

食べすぎにも注意

「元気が出ない・疲れたからたくさん食べよう」

そんな風に考える人が多いと思いますが、これも逆効果な場合もあります。食事や飲み物を消化・吸収するのにも、気をつかいます。

そのため、過度に疲れている時には、消化にエネルギーが必要な食事は控えてみてください。消化に優しいものを、よく噛んで飲み食いするようにして、消化吸収をつかさどる脾や胃の臓腑に負担をかけないようにしましょう。

「気虚」を改善する経穴(ツボ)

鍼灸治療で気を補うことを「補気(ほき)」と言います。補気に良いとされるツボをまとめた記事があるので、こちらをご参照ください。

その中でも、特にオススメなものをピックアップして紹介します。

ツボ1.  足三里(あしさんり)

足三里は、胃に属する(胃経)ツボです。胃腸の消化・吸収を良くし、気の生成を活発にします。膝のお皿の骨から、指の幅4半分下がったあたりの、すね側にあるツボです。

松尾芭蕉が旅に出る前にお灸を据えていたツボとしても有名ですね。

ツボ2.  気海(きかい)

「気の海」と書くほどなので、オススメのツボです。おへそから、指の幅2半分下がったあたりにあるツボです。

気虚を改善する補気の食材

ツボの刺激や漢方などに頼らなくても、普段の食事を一工夫するだけで体を整えることができます。

米類

お米は気を補う食材です。炭水化物を控えるような食事・ダイエットが流行っていますね。他の食材で補えれば良いのですが、単純にお米だけ食べずに過ごし、体調を崩す人も多いです。米類は特に、お粥にして食べることで脾胃への負担を少なく、補気することができます。

芋類

やまいも、さといも、じゃがいもなどの芋類も気を補います。とろろを食べると元気が出る、というのも納得です。

芋類は季節によってコンビニでも手に入りますね。

納豆など豆類

豆類も気を補います。ミックスビーンズなどがあれば、サラダに加えると良いでしょう。

それぞれの食材を、なるべく温かい状態で食べましょう。気を補う食材は、温性・熱性であることが多いです。のぼせやほてりがある場合、平性の食材を選びましょう。

上記では、芋類、豆類は平性です。お米は白米にすると涼性・寒性、玄米のままだと温性です。

おわりに

気の不足である気虚でも、不足する原因は様々です。まずはどのような原因で気が不足しているかを把握し、それに合った養生・治療が必要になります。

どの原因でも共通して重要なのは、適度な休息、バランスの良い食事です。「疲れているな」、と感じた時は無理をせず、一休みをする習慣を心がけてみてください。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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