東洋医学の気・血・水(津液)・精の虚実と症状まとめ

気血水精
東洋医学では、気・血・水(津液)・精といった体内を流れる物質を認めています。活動力の源である気、全身を栄養する血、体を潤す水、生命力の源である精のそれぞれが、過不足なく滞りなく循環することで、健康な体は保たれます。

 

今回は東洋医学の基礎的な話である、【気・血・水(津液)・精】と【虚・実】についてまとめていきます。

東洋医学的な考えを前提に養生の話をする際、必要なものが3つあります。

  • 気・血・水(津液)・精
  • 虚・実
  • 五臓六腑

僕たちの体は、気・血・水(津液)・精が過不足(虚・実)なく、バランスよく巡ることで健康を保っています。そして、この気・血・水(津液)・精のバランスをコントロールしているのが、五臓六腑です。

五臓六腑の働きについてはそれぞれまとめたものがありますので、ここでは体を流れる気・血・水・精の虚・実についてご紹介します。

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東洋医学の「気」について

気について特徴を細かくまとめた記事は下のページになります。ここでは、その概要をご紹介します。

私たちの体には、「気」が流れています。目に見える実体はありませんが、確かに機能は存在する気ですが、東洋医学では4種類・5つの働きを認めています。

4種類の「気」

気には、原気・宗気・営気・衛気があり、それぞれの働きがあります。

  • 原気:エネルギー源。
  • 宗気:呼吸によって得る気。
  • 営気:血にのって栄養する気。
  • 衛気:体表をバリアする気。

▶︎それぞれの気の詳細はこちらへ

気の5つの働き

気には5つの働きが認められています。

  • 推動:動く・動かす働き。
  • 固摂:かため、とどめておく働き。
  • 防御:体を守る働き。
  • 温煦:体を温める働き。
  • 気化:物質を変化させる働き。

▶︎気の働きの詳細はこちらへ

過不足による気虚や気滞

気が不足・停滞することで、気虚や気滞といった状態になります。

  • 気虚:気の不足。気を生成する脾・胃や肺などの臓腑の働きを整える必要がある。
  • 気滞:気の停滞。気の巡りをつかさどる肝の働きを整える必要がある。

また、血や水も気の働きのもと生成され、流れています。そのため、こうした気の異常は、血や水の異常による不調を招くこともあります。

▶︎気の関わる不調について

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東洋医学の「血」について

血について特徴を細かくまとめた記事は下のページになります。ここでは、その概要をご紹介します。

血は気の働きをもって生成され、漏れずに循環しています。また、血は臓腑を栄養し、臓腑のコントロールのもと循環しています。

気と血の関係について

血の働きは、気の3つの働きを受けて成り立ちます。

  • 気の気化作用:血は飲食物を変化させて作られる。
  • 気の推動作用:血が血脈を流れる。
  • 気の固摂作用:血が血脈や臓腑から漏れることがない。

▶︎気と血の関係の詳細はこちらへ

臓腑と血の関係について

血は主に、五臓の心と肝の役割を受けて循環しています。

  • 心:血を送り出すポンプの役割。物理的な側面。
  • 肝:血の分配量を決め、血を貯蔵しておく役割。

▶︎臓腑と血の関係の詳細はこちらへ

過不足による血虚や血瘀

血が不足・停滞することで、血虚や血瘀といった状態になります。

  • 血虚:血の不足。気や、飲食物を栄養に変える五臓の脾の働きを整える必要がある。
  • 血瘀:血の停滞。同じく気や脾、循環に関わる心や肝の働きを整える必要がある。
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東洋医学の「水(津液)」について

体内の血液以外の水分を「津液(しんえき)」と言います。目や鼻、口などのいわゆる粘膜の潤い、関節の内部の体液(滑液)も水(津液)です。

「水」を「スイ」、「津液」は「シンエキ」と読みます。

余分な津液は、汗や尿として排出されます。

水(津液)の病について

津液の停滞によって起こる「湿痰(しつたん)」があります。

東洋医学の「精」について

精について特徴を細かくまとめた記事は下のページになります。ここでは、その概要をご紹介します。

「精」は生命力の源として、腎に貯蔵されています。生まれつき持つ「先天の精」と、後に飲食物を摂取することで作る「後天の精」があります。精の働きによって髄や骨、歯が強くなるほか、気の原料にもなります。

不足による腎精不足

腎に貯められている精が不足することで、下記のような症状が起こります。

  • 発育不良:幼児期特有の疾患や成長の遅滞など。
  • 老化現象:白髪、骨や歯の弱さ、足腰の弱さなど。
  • 泌尿・生殖器の問題:尿漏れ、インポテンツなど。

それぞれ、精を貯蔵する腎の働きを整える必要があります。また、飲食による精の補充を促すため、消化・吸収に関わる脾や胃の臓腑の働きも重要です。

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東洋医学の「虚」・「実」について

虚とは

「虚」は、弱っている、足りない状態を指します。

気虚(ききょ)

「気虚」は気が足りない状態を指します。気が足りないため、血や水も足りなかったり、巡りが悪かったりします。

  • すぐに息切れする
  • 疲れが取れず、元気が出ない
  • 胃下垂
  • 下痢
  • 自汗(何もしていないのに汗ばむ)

血虚(けっきょ)

「血虚」は血が足りない状態です。

動悸、不整脈などの循環器症状の他、本来血によって届くはずの栄養が不足するため、手足の麻痺やしびれを伴うこともあります。

  • 動悸、不正脈
  • 爪の変形
  • 手足の冷え
  • 顔色が青白い
  • めまい
  • 眼精疲労
  • 月経の問題

津液の虚

体の水分が足りない状態です。肌や髪の毛の乾燥や、鼻、のど、口の乾き、声がかすれなどがあります。

  • 肌の乾燥
  • 髪の毛のパサつき
  • 粘膜の乾燥
  • 関節の異常
  • 便秘

精の虚

体の精(生命力)が十分ではない状態です。成人以降であれば年齢に合わない老化現象が起こり、幼い頃には発達に問題が起こります。

  • 小児ぜんそく
  • 足腰が弱る
  • 歯や髪が抜ける、白髪が増える
  • 聴力が落ちる
  • 記憶力が落ちる

陽気の虚

体を温める、活動的にする陽気が足りない状態です。

  • 常に寒さを感じる
  • 手足の冷え
  • 顔色が青白くなる
  • 下痢

陰気の虚

体を冷ます、鎮静させる陰気が足りない状態です。

  • 手足がほてる
  • 頰が赤くなる
  • 寝汗をかく

実とは

「実」は、虚の反対に多いこと、停滞してしまっていることを指します。

気滞(きたい)と気逆(きぎゃく)

気が実している状態には、気が滞る「気滞(きたい)」と、上にあがる「気逆(きぎゃく)があります。

  • 憂鬱感(気滞)
  • お腹の張り(気滞)
  • げっぷ、おなら(気滞)
  • せき(気逆)
  • イライラ感(気逆)

血の実(瘀血・血瘀)

血の流れが悪くなると、血が滞り、「瘀血(おけつ)」という状態になります。

  • 刺すような痛み(刺痛)
  • 揉むと痛い(拒按)
  • 舌や唇が紫色に

津液の実

水分代謝がうまくいかず、体の中の水分が過剰な状態です。

  • むくみ
  • 痰のからむ咳
  • 下痢

陰実

体の中の陰気が過剰な状態で、寒気を感じやすくなります。

  • 寒気
  • 手足の冷え
  • 顔色や舌も白っぽくなる
  • 鼻水や痰の色は薄い

陽実

体の中の陽気が過剰な状態で、熱を感じる症状があらわれます。

  • 顔、目、舌が赤い、乾く
  • 話し方や呼吸が荒々しい

食滞(しょくたい)

消化不良によって、消化器に滞りがある状態です。食べ過ぎや、胃の働きの低下によって起こります。

  • 下痢や吐き気
  • 胸焼け
  • においのあるげっぷ

 

おわりに

気、血、水(津液)、精。どれも僕たちの体に必要不可欠なものですが、その量が多すぎても少なすぎても体調は崩れてしまいます。また、滞ってしまうことで起こる不調もあります。

もともとの体質と、日々の食事、運動量など、一人一人必要量は異なります。有名な健康法や養生法を取り入れても体質改善に至らない人は、まずはご自身の体質を見極めてみるのも良いかもしれません。

気血水精の虚実、そしてそれらをコントロールする五臓六腑。日々の養生で、大元になる五臓六腑を健康に保ち、気血水精がうまく循環する体を目指しましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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