血瘀(瘀血)の症状と改善のための対策【東洋医学でみる症状と養生】

血瘀の詳細 気血水精
東洋医学において、血の巡りが悪くなり停滞すると血瘀という状態になります。特に女性の月経に関わる不調に絡むことの多い血瘀ですが、四十肩・五十肩など運動器の痛みの根底に血瘀が絡む場合もあります。血をコントロールする五臓の肝や脾の働きを整える他に、寒熱の状態にも注意すると改善が期待できます。
血瘀を改善する経穴(ツボ)としては、「三陰交」と「太衝」をご紹介します。

 

体の中を巡る、気・血・水・精。それぞれ、多くても、少なくても不調につながるため、絶妙なバランスが保たれています。

このページには血の滞りである【血瘀(けつお)】【瘀血(おけつ)】をまとめていきます。また、その原因にもなる、血の寒熱についてもご紹介します。

  • 刺すように痛む(刺痛)
  • 同じ部位がずっと痛む(固定痛)
  • 夜間に痛むことが多い(夜間痛)
  • 揉まれたくない(拒按)
  • 血の色が悪い(紫暗)・血塊
  • 肌の色が青紫色

上記の項目は、鍼灸治療を行う際に血瘀の診断指標になります。血瘀は、女性の月経の問題のようないわゆる「血」の問題だけでなく、五十肩などの「夜眠れないほど痛い」という症状にも関わります。

血の滞り、解消する方法を確認しましょう。

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東洋医学でいう「血瘀」とは? その症状は?

「血瘀(けつお)」という字面を見ると難しい印象ですが、簡単に表すと「血色が悪い」、「チアノーゼ」、「あざ(内出血)」などに近い状態です。

気の不足を「気虚(ききょ)」、停滞を「気滞(きたい)」というように、血の不足を「血虚(けっきょ)」、血の停滞にあたるものが「血瘀」になります。

血の流れが悪くなり、停滞して下記の症状が現れます。

  • 刺すように痛む(刺痛
  • 同じ部位がずっと痛む(固定痛
  • 夜間に痛むことが多い(夜間痛
  • 揉まれたくない(拒按
  • 血の色が悪い(紫暗)・血塊
  • 肌の色が青紫色

東洋医学の「血」のおさらい

血の働きや成り立ちを確認し、血瘀の状態で体がどのように不調に陥るかを考えてみます。

血の働き

  • 体の各器官を栄養する。
  • 体の各器官に潤いを届ける。
  • 体の各器官に熱を届ける。

血の働きに西洋医学・東洋医学の大差はありません。栄養・潤い・熱を届け、不要物を回収して心臓に戻っていきます。

血の成り立ち

血は私たちが飲み食いしたものから作られています。

  1. 飲食物から、「水穀の精微」というエッセンスを抜き出す。
  2. 水穀の精微は、「水」と「後天の精」になる。
  3. 後天の精は、「営気」と「衛気」になる。
  4. 営気と水が合わさり、血となる。

しっかりとした食習慣は、血を生成するためにも不可欠です。また、食べたものから栄養を取り出す脾や胃の臓腑の働きも正常である必要があります。

血に関わる臓腑

血を生成し、循環させるために、主に3つの臓器が関わります。

  • 肝:血を貯蔵しておき、各器官への分配量を調整する。
  • 心:血を送り出すポンプの働き。
  • 脾:飲食物から血を生成し、血を血管から漏らさないようにする。

血瘀の特徴的な症状

血の東洋医学的な側面を確認した上で、血瘀による症状をそれぞれみていきましょう。

【刺痛・固定痛・夜間痛】痛みの質が独特

血瘀の症状がある場合、特に痛みの質が独特です。具体的には、下記のような痛みが起こります。

  • 刺痛(刺すような痛み)
  • 固定痛(同じ部位の痛み)
  • 夜間痛(夜に痛む)

鍼灸治療をする際、始めにこうした痛みの質を確認します。特にこの、刺痛・固定痛・夜間痛の3つは、血瘀の特徴的な痛みのパターンです。

組織を栄養し不要物を回収し終わり、本来は心に戻らなければならない血が停滞していることによって、こうした痛みが起こります。その部位に血の滞り(詰まりというと大げさですが)があるため、無理に押したり温めたりすると痛みが増す場合もあります(拒按)。

血色や血塊の変化

血瘀の状態だと、血の色が悪く、青紫色、暗い色になります。男性はなかなか自分の血を確認するタイミングがないと思います。女性は月経時の経血の質や痛みが悪化し、血塊が混ざるようになります。

血は体を巡り、全身に酸素や栄養を届けた後、交換に二酸化炭素や不要物を回収して心臓に戻ります。そうした不要物が多い血が滞り、とどまってしまったのが血瘀の状態です。

普段から顔色や唇の色が青紫色に近い人は、特に血の循環は停滞気味かもしれません。

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血の停滞である「血瘀」になる原因

血瘀の原因は、体内の寒熱によるものが大部分を占めます。イメージとしては、津液が滞ることで起こる「湿痰(しつたん)」の、血にあたるものが血瘀だと考えてください。

体の中を流れる体液(血・津液)は、寒熱によって下記の変化を起こします。

  • 熱により粘る
  • 冷えによりかたまる

体が熱くなりすぎても、冷えすぎてもよくないのは、このためです。

体内に熱がこもるタイプの血瘀

体内の熱が上がり、血も熱くなった状態を「血熱(けつねつ)」と言います。

血が熱を持ち、血熱の状態が続くと、血は粘りを帯びて滞ってしまいます。血熱の原因としては、下記の項目があげられます。

  • 偏食(辛い物、味の濃い物)
  • 熱性の外邪
  • 情動の変化

温性・熱性の食材に偏って摂れば、体に熱はこもり続けます。また、ストレスでイライラする気持ちが熱を生むこともあります。単純に外の気温が高い場合も、体に熱は蓄積されてしまいます。

温性・熱性の食材については、体を温める働きがあるため、多く摂りがちです。しかし、何事もやり過ぎは禁物。温性・熱性の食材を確認して、摂り過ぎにも注意しましょう。

体が冷えすぎてしまうタイプの血瘀

血熱とは逆に、体が冷えすぎて、血も冷えてしまった状態を「血寒(けっかん)」と言います。東洋医学において「冷える」、「寒い」状態は、凝集性・凝滞性(こりあつめ、とどこおらせる)特徴があります。

血寒の状態が続くと、血は凝集してしまい、滞ってしまいます。血寒の原因としては、下記が挙げられます。

  • 偏食(冷たい物、寒性の物)
  • 体を冷やすこと

温性・熱性の食材を摂りすぎると良くないのと同様、涼性・寒性の食材を摂りすぎるのも良くないです。当然、体を冷やすのもよくありません。

気の働きの乱れによる血流の悪さ

寒熱による血の循環の悪化の他に、気の働きの乱れが血瘀の原因になることがあります。

気の働きが低下してしまい、血を推動する力が低下すると、血行が悪くなり血瘀につながります。

血は、気の3つの働きを受けて生成され、流れています。

  • 血を作る:気化作用
  • 血を流す:推動作用
  • 血を漏らさない:固摂作用

特に気の推動作用の低下は、血をうまく推し流すことができず血瘀につながることが多くあります。また、気の滞りである気滞では、血瘀を併発する「気滞血瘀」という状態に陥ることもあります。

痰濁(たんだく)

血の停滞は「痰濁」によっても起こります。痰濁とは、体の中にできた「粘ったした(痰)、よごれ(濁)」と言えます。

一般的なイメージでいえば、コレステロールのようなものです。

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「血瘀」を改善する一般的な対策

体の寒熱

体内に熱がこもりすぎても、逆に冷えすぎても、血瘀につながる恐れがあります。女性で月経の調子が悪いと基礎体温をはかるようにしますね。

自分の平熱を知り、アップダウンを少なくするのは血瘀の予防にぴったりです。

気の働きを正常に

血の流れを正常に保つのは、気の推動の働きによるものです。血は気の3つの働きを受けて、生成され、流れています。

気の不足である気虚や、気の滞りである気滞の状態では、気の働きが乱れるため、血もうまく流れなくなります。

飲食の節制

飲食の乱れは、体内の熱や冷えにもつながります。また、味の濃いもの、脂っこいものは痰濁を生み、血瘀につながります。

コンビニに常温の水やお茶を置くようになりましたね。それでも、体温よりは低い状態です。体の冷えや、血瘀の症状があるときは、体温に近い温度の食べ物、飲み物を摂るようにしましょう。

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「血瘀」を改善する東洋医学の経穴(ツボ)と食事

血瘀の鍼灸治療:活血化瘀、駆瘀血

鍼灸治療で血瘀を治療することを、「活血化瘀(かっけつかお)」や「駆瘀血(くけつお)」と言います。「血を巡らせるようにしましょう」という意味です。

血瘀に効果的なツボをまとめた記事があるので、こちらをご参照ください。

その中でも、特にオススメのものをピックアップしてご紹介します。

三陰交(さんいんこう)

内くるぶしから指4本分あがった、すねの骨の内側にあるツボです。三陰交は、「血虚」についてまとめたページでもご紹介しました。

血の問題で、特に婦人科疾患が絡むような時には欠かせないツボの一つです。

太衝(たいしょう)

足の甲にあるツボ(経穴)です。足の親指と人差し指の間を足首の方になぞっていくと、指が止まるところがあります。

具体的には、第1中足骨と第2中足骨のぶつかるところと言います。

太衝は「気滞」についてまとめたページでもご紹介しました。気の巡りの停滞である「気滞」ですが、同時に血の巡りも悪くなり、血瘀につながることが多いです。

また、太衝は肝に属する経絡のツボなので、血の循環にも関係の深いツボです。

コンビニで手に入る血瘀対策の食材

血の流れを良くする食事なので、一般的にも有名なものが多いですね。

たまねぎ

たまねぎは一般的にも「血液サラサラ」食材として有名ですね。温性の食材なので、生でサラダに入っていても安心です。しかし、冷えを感じる人は、なるべく加熱していただくようにましょう。

黒酢

酸味・甘味なので臓器では肝と脾を養います。肝は蔵血や疎泄の働きで血や気の巡りと関係が深く、脾は統血の働きで血と関わります。

特に黒酢の原料である玄米も血瘀に効果的な食材です。

  • 肝の蔵血:血をためておく
  • 肝の疎泄:気を巡らせる
  • 脾の統血:血を漏らさない

 

おわりに

血瘀は、体質としての血瘀もありますが、局所的な血瘀もあります。例えば四十肩・五十肩では、血瘀の症状と言える痛みのパターンがあります。

鍼灸治療の仕方も普通の肩の治療だけでは少し足りません。気と同じく、血も流れてナンボのものです。

止めず滞らせず、流していきましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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