今回は、【肩井(けんせい)】というツボについて、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。
肩井は肩こりや、肩こりに併発する頭痛に効果的なツボです。刺激による治療効果が高く、良くも悪くも全身の緊張を緩めてくれるため、鍼灸治療においては取り扱いに注意が必要なほどです。
お仕事や家事の疲れを軽減するために、肩井のツボ刺激を取り入れてみてください。
目次
肩井(けんせい)の位置や所属経絡
肩井というツボの位置や、所属する経絡について確認していきます。
肩井の位置
後頸部、第7頸椎棘突起と肩峰外縁を結ぶ線上の中点。
肩井は特に肩こりを感じた時に手が伸びる、肩の上にあるツボです。肩井の便宜上の位置は決められていますが、ツボとして治療に用いる時には、肩の上の特にかたいところを肩井として刺激することが多いです。
肩井の所属経絡と特徴
肩井は足の少陽胆経に所属するツボです。足の少陽胆経は目の外側から始まり、耳や側頭部を往復するように巡り、体の側面を伸びて足の小指に終わる経絡です。
- 要穴ではないものの、重要なツボ
ツボの中でも、経絡への影響が高いものをまとめて「要穴(ようけつ)」と言います。
肩井は要穴ではありませんが、治療効果の高いツボとして有名です。特に、肩上部の肩こりを感じる位置を肩井とする治療家もいるほどです。
肩井のツボの治療効果まとめ
肩井を刺激することで期待できる効果についてご紹介します。肩井は肩にあり、押圧すると心地よい痛みを感じるツボです。気をつけながらであれば、温灸も可能です。
肩の不調の特効穴
肩井は肩こりを始めとする、様々な肩の不調の特効穴です。四十肩や五十肩のような症状にも、補助的に用いることが多いツボです。
特徴としては、肩甲骨と首(頚椎)をつなぐ「僧帽筋(そうぼうきん)」の緊張を緩める点があります。僧帽筋に力を入れると、肩をすくめるような動きになります。緊張して肩に力が入ったり、冬の寒さに肩をすくめたりしていると、肩がこりますよね。肩井はそうしたこりを緩める特効穴です。
頭痛にも効果的
肩井が所属する足の少陽胆経は、側頭部を巡るように伸びています。肩井への刺激は、経絡を通じて側頭部の筋肉のこりを緩めてくれます。
肩井の位置を刺激すると、側頭部にまで刺激による痛みが響くことが多くあります。こうした刺激と痛みの関係性を、「トリガーポイント」と言います。
側頭部をマッサージするだけでなく、肩井のツボを刺激することで、側頭部の緊張もより緩みます。
刺激に注意が必要な場合
肩こりに効果的な肩井のツボですが、特に妊婦さんは刺激を控えるようにしましょう。あくまで古典の中で触れられる程度ですが、妊娠中の肩井は禁忌のツボとして取り上げられています。
他にも、虚弱体質な人には刺激が強すぎ、失神することもあります。必要であれば、横になって刺激をするようにしてください。これも、私が治療する中で実際に出会ったことはありませんが、リスクは避けておきましょう。
肩井とあわせて刺激したいツボ
肩井とあわせて刺激をすることで、より治療効果が高まるツボをご紹介します。
外関(がいかん)
前腕後面、橈骨と尺骨の骨間の中点、手関節背側横紋の上方2寸。
外関は手首の甲側のシワから2寸上(肘寄り)にあるツボです。
- 腕から首肩のこりをとる
外関は手の少陽三焦経に所属するツボです。三焦の経絡は腕から肩、首に伸びて耳の周りを巡る経絡です。
外関を刺激することで、腕から首肩の緊張を緩めることができます。特に、肩井の所属する胆経と同様、三焦経は側頭部にも伸びる経絡です。肩のこりからくる頭痛には、肩井にあわせて外関を刺激してみてください。
おわりに
今回は肩井というツボについてまとめてみました。肩井は肩こりを感じる時に、ついつい手を伸ばしてしまう肩の上部にあるツボです。
肩こりが進行して頭痛につながる人が多くいますが、肩井のツボはそうした症状を改善してくれます。肩だけでなく、全身の緊張を緩める効果もあるので、刺激量に注意しながら取り入れてみてください。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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