髪の毛と体毛から考える東洋医学の毛のまとめ

髪の毛と体毛 東洋医学
髪の毛と体毛、どちらも毛ですが、東洋医学的に考えるとその生え方には違いがあると考えられます。どちらの毛にも「体を守る」ために生える防御としての役割があります。しかし、熱がこもりやすい人は頭がのぼせないように髪の毛が抜けてしまうこともあります。体毛が濃いのが気になる人は、体を守る「衛気」という気の働きを高める養生を取り入れましょう。髪の毛が薄くなってきた人は、生命力の源である腎精を補いつつ、体の余計な熱をとる養生を取り入れましょう。

 

「体の毛を剃ると余計に濃くなる」

そんなこと、皆さん、聞いたことありませんか?

「じゃぁ、髪の毛が薄くなってきたら、髪の毛を剃れば濃くなるんじゃ…」

と、試した人はいるでしょうか。残念ながら、濃くなる可能性は低いです。

今回は、そんな【体毛の濃さや髪の毛の生え方】などを通して、より東洋医学を身近に感じられるように「東洋医学の体の考え方」をまとめてみます。

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【大前提】体毛は弱いところに生える

「毛」は、頭や脇、陰部など、毛は弱いところを守るようにして生えてきます。皆さん一度は聞いたことがあるのではないでしょうか。同時に、冷えやすいところにも生えてきます。体の一部だけ毛が濃かったりすると、それは冷えから身を守ろうとする防御反応であることが多いです。

まとめると、体毛の役割としては、下記の通りです。

  • 体を外敵から守る
  • 体を寒さから守る
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髪の毛と体毛の東洋医学的な特徴を確認

ここからは、髪の毛と体毛を分けて考えていきます。髪の毛と体毛を別々にみたとき、特徴的なのは下記の点です。

  • 東洋医学的に髪の毛と体毛は担当する臓器が違う。髪の毛は五臓の腎が、体毛は五臓の肺が関係する。
  • 髪の毛は「血余(けつよ)」と言い、血の余りでできていると考えられています。

それぞれ細かくみていきましょう。

髪の毛は腎と関係する

髪の毛と関係の深い臓器は、五臓の腎です。

東洋医学では、「腎の華が髪の毛」と言い、髪の毛を見ると腎の働きがわかるとされます。そのため、患者さんに白髪や髪の毛の弱さ、細さなどが見受けられる場合、「腎の治療も必要だな」と考えます。

青年期は髪の毛がフサフサしていて、歳を重ねていくと髪の毛が抜けたり、白髪になったりしますよね。これは、腎が生命力の源(精)をためこむ臓器で、歳を重ねると生命力が減っていき、髪の毛にまで力を届けられないからです。

体毛は肺と関係する

一方、体に生える毛(体毛)は五臓の肺と関係があり、「肺の華は皮毛」と言います。体毛が濃い患者さんを見れば、「肺が弱いな」と診断します。

肺には、体の表面にバリアを張り、外環境(外邪)から身を守る「衛気(えき)」という働きがあります。

「体毛は体の弱い部分・冷えやすい部分に生える」というのは、こうした肺の働きのサポートです。肺の衛気の働きで守り切れない部分に、毛が生えてくるということです。

髪の毛は血の余り

東洋医学では、髪の毛は「血余(けつよ)」と言い、血の余りでできていると考えられています。

そのため、

  • 血の不足(血虚)
  • 血をコントロールする臓器(肝・心・脾)の不調

こうした血の異常が髪の毛に影響します。

貧血(血虚)のように体の血が少なくなれば、血の余りで出来る髪の毛は作れません。血を作り、ため込み、流す臓器の働きが悪くなれば、同じように髪の毛は作れなくなります。

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体毛を剃ると濃くなる理由を考えてみる

では、ここからは実際に剃ってからのことを考えてみましょう。

前項の通り、体毛は肺の衛気で防ぎ切れない部分を守るために生えてくると考えられます。そんな体毛を剃ってしまうと、弱い部分・冷えやすい部分が露出してしまいます。

例えば、腰回りに体毛が生えている人は五臓の腎が弱かったり、冷えやすかったりします。腰回りを守る体毛を剃ってしまえば、腎は冷えやすくなり、「まずいぞ!」とより毛を濃くして守ります。

これが、冷えと体毛の関係から考える、「体毛を剃ると濃くなる」理由です。

妊娠中のお腹の毛

私の奥さんは、妊娠中におへその下、いわゆる丹田の辺りに毛が生えました。

「これはお腹の中の子を守ってるんだねー」なんて言って、おへその下の毛はそのままにしておきました。

不思議なことに、子どもを出産したら、数日でお腹の毛は抜けてなくなりました。改めて、「守る」ために毛が生えるんだと認識した思い出です。

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髪の毛は剃っても濃くならない?

「一番大事な頭を守るための髪の毛が抜けていくのはどういうことだ?!」

「剃ったって濃くならないぞ?!」

私もそんな文句を言いたくなるような日が来るかもしれません。髪の毛を剃っても濃くならない、その理由を東洋医学的に考えてみましょう。

髪の毛が抜ける原因を考える

頭を守るために生えている髪の毛ですが、抜けるからと言って頭を守らなくて良いわけではありません。東洋医学的な髪の毛の特徴を考えると、髪の毛が抜けてしまう原因は下記の3点が考えられます。

  • 体の中の熱
  • 腎の働きの低下
  • 血の不足

上記3点を元に、髪の毛が抜ける原因を考え、対策を練ることができます。

体の中の熱が原因

体の中に余分な熱がこもると、その熱は上にあがる習性があります(炎上性と言います)。

上にあがってくると、顔ののぼせやほてり、頭痛を感じ、さらにあがると頭にたどり着きます。髪の毛がフサフサと生えていると、上にあがった熱をうまく外に発散できません。

熱が頭にこもると、大切な脳にダメージが及び、脳卒中などのリスクが高まります。脳(頭の中)を守らなければ、冷やさなければ…ということで、髪の毛を薄くし、熱を発散しやすくします。

熱対策を!

体の熱を過剰に生み出さないことと、うまく発散することが大切です。詳しくは次項にまとめます。

腎の働きの低下が原因

「髪の毛は腎の華」と上述しました。歳を重ねた上で髪の毛が抜けていく分には、いくらか諦めがつきますが…

「若いのに髪の毛が薄くて」という人は、特に腎の働きも見直した方が良いかもしれません。

腎の働きが正常であれば、若々しく、強い髪の毛になるはずです。また腎の持つ「陰なる力」は、体の熱をおさえる働きを持ちます。

腎の働きが正常なら、

  • 生命力溢れる髪の毛
  • 体の熱を上にあげず、鎮火する力

どちらも期待できるはずです。

腎の働きを取り戻そう!

五臓の一つ、腎の働きを見直し、取り戻していく必要があります。

血の不足が原因

髪の毛は血の余り(血余)なので、血が足りなければ作ることも栄養することもできません。血を作り、ためておき、流すのは、五臓のうちの肝・心・脾の働きです。

  • 肝:血をためておき、流れる量をコントロール
  • 心:血を送るポンプ
  • 脾:飲食物から血を生成し、漏れないようにする

こうした血の不足と、血に関わる臓器の働きの低下によって、髪の毛がうまく作れていないのかもしれません。

血の対策を!

血を補うことと、血に関係する臓器の働きを取り戻す必要があります。

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体毛と髪の毛の悩みの東洋医学的な対策

では、体毛に関する点と、髪の毛が抜ける点、それぞれ対策や実際の治療でどんなことを考えるのか、まとめていきます。

体毛:毛が濃くならない体質へ

特に女性は、体毛を気にしますよね。

脱毛にいけるような年代ならまだしも、思春期の頃だと金銭的なハードルも高く、それでいて一番体のことを気にする時期です。

東洋医学的にアドバイスをするなら、

  • 肺の働きを取り戻す
  • 気の不足がないか確認

肺の働きが低下し、うまく衛気で体を守れていないために毛が濃くなります。まずは肺の働きを確認して、衛気を張り巡らせる体にしましょう。

また、肺の働きが正常でも、衛気を張り巡らせるための気が足りなければ意味がありません。気が足りないと、気の働きである「防御作用」がうまく働きません。気の不足である気虚の状態であれば、まずは気を補うことも大切です。

髪の毛:抜け毛対策

抜け毛対策には、下記の3点が大切です。

  • 熱を過剰に作らない、ためこまない
  • 腎の働きを取り戻す
  • 血の不足を補う

体の中の熱を冷ますには、涼性・寒性の食材をとります。

冷え性や下痢体質の人は、涼性・寒性の食材の食べ過ぎに注意してください。

また、飲食の乱れやストレスが体に過剰な熱を生んでしまいます。食生活やストレスが髪の毛に良くないのは、こうした考えからも納得ですね。

 

腎の働きにも、食生活は関わります。食事から生命力の源(後天の精)を抽出し、腎にためこんでいます。

また腎は睡眠にも関わり、しっかりと睡眠をとり、腎を回復することで髪の毛にも力が増します。

血の不足である血虚は、一般的な貧血のイメージで問題ありません。血を補うこと、血の消耗をおさえることが大切です。

また、血に関わる臓器とそれぞれの働きをあげると、

  • 肝(血をためておき、流れる量をコントロール)はストレスに弱い臓器
  • 心(血を送るポンプ)は熱に弱い臓器
  • 脾(飲食物から血を生成し、漏れないようにする)は冷え・食生活の乱れ・湿に弱い臓器

自分の体の中で、どの臓器の不調が当てはまるかを確認して、セルフケアしてみてください。

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おわりに

  • 体毛が気になり、薄くしたい人は、剃らずに肺の働きを正常に
  • 抜け毛が気になり、髪の毛の将来が心配な人は、体の熱を発散し、五臓六腑の働きの確認を

同じ毛でも、考え方は大違い、そんなところに東洋医学の面白さを見出していただけたら幸いです。

結局のところ、

  • 良い環境(空気が綺麗とか)で
  • 良い物を適量飲み食いし
  • ストレスなく過ごし
  • よく休む

当たり前のことが、悩める症状を改善します。そうはいかない世の中で、そうできる体に近づけるのが東洋医学や鍼灸の世界です。「毛」だけ見ても、体からのたくさんのメッセージが込められています。

しっかり受け取って、養生していきましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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