「風邪」の症状と対策、その効用を東洋医学的にまとめる

東洋医学
風邪(かぜ)によって起こる症状は、疲労などによって蓄積した体の負担を回復するためにあるとも考えられています。熱は免疫を上げ、鼻水や咳は体の中の悪いものを外に出す反応です。とは言え、お仕事や育児などの都合で悠長に風邪と付き合う暇がない人が大半です。東洋医学では、風邪を4つのタイプに分類し、それぞれにあった治療法・養生があると考えます。進行度や出ている症状にあわせた治療を行うことが大切です。

 

一言に風邪(かぜ)と言っても、人それぞれ出てくる症状は異なります。鼻がおかしくなる人、喉が痛くなる人、長引く人、全く風邪をひかない人、その違いはどこにあるのか、風邪をひいたらどうするのが理想的なのか、まとめていきます。

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「風邪」は病名じゃなく症状名

病気を治す薬ではなく、症状を抑える風邪薬

西洋医学的には、風邪は病気というより、症状の一つです。細菌感染などによる、いわゆる「熱・のど・鼻」の症状が出ると、風邪(症候群)と言われます。

そのため、「万能の風邪薬はこれ」、とはいかず

  • 細菌と闘う抗生物質
  • 解熱
  • 抗炎症
  • 鼻水を止める
  • 痰の切れを良くする

と言った具合に、それぞれの症状に対する薬が処方されます。風邪くらいで大げさな、という量の薬が出ます。それでも、一つ一つの症状に薬が出ているので仕方ありません。

おまけに、薬の量が増えて胃を傷めるおそれがあるので、胃薬まで出ることもあります。

私も治療をしていてよく、「常備薬が多いから風邪薬を飲むのに抵抗がある」と患者さんに言われることがあります。

風邪に対する考え方は人それぞれ

風邪をひいたときに病院に行く方、市販薬で乗り切る方、その対処は人それぞれです。風邪に関しては、皆さん色々な考えをお持ちのようで、「自分の風邪に対する正解」を皆さんお持ちの印象です。

東洋医学や治療家の世界では、風邪の症状は「疲れた体を大掃除する」ために現れる、という考えもあります。

そのため、基礎体温が低い、疲れがたまっている、偏食が続いているような人は、風邪をひいたタイミングでしっかり体を休めてあげましょう。

それでもお仕事世代の方や子育て世代の方は、「疲れた体を大掃除」してくれる風邪の症状を活かすのも難しく、十分な休息を取ることができません。熱、鼻水、咳…薬を使って症状を抑え込んでしまいます。

風邪をひいた時に熱が上がることで、免疫が上がり、痰や鼻水を出し切り、その後の体にとっては良い効果が…そんな悠長なことは言ってられない、辛い現状ばかりです。

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東洋医学では「風邪(ふうじゃ)」が侵入して起こる「風邪(かぜ)」症状

「風邪(ふうじゃ)」が他の邪を引き連れて侵入し、風邪の諸症状を引き起こす

東洋医学では、病気の原因の中に「外因(がいいん)」というものがあり、下記の6つの邪を「外因六邪(がいいんろくじゃ)」と言います。

  • 風邪(=かぜ)
  • 寒邪(=さむさ)
  • 暑邪(=あつさ)
  • 湿邪(=湿度)
  • 燥邪(=乾燥)
  • 火邪(=熱)

これは、周りの環境や、季節、時間などが関係して起こる病の種類と捉えてください。

ちなみにここでは、「風邪」と書いて、「ふうじゃ」と読みます。この風邪が体に入り込むと、頭痛、鼻づまり、のどの痛みなど、体の上の部分の症状が現れます。

また、風邪はその性質として、下記の2つの特徴を持ちます。

  • 他の「邪」を引き込む
  • 移動する

そのため、痰や咳が出る「燥邪」、発熱を起こす「火邪」など、僕たちのよく知る風邪の症状が現れます。また、発熱によって関節が痛くなったり、痛む場所が変わるのも風邪の特徴です。これを風邪の「遊走性(ゆうそうせい)と言います。

風邪(かぜ)の予防は、風邪(ふうじゃ)の侵入を防ぐこと

私たちの体に存在する気の働きとして、「衛気(えき)」というものがあります。

衛気は体の表面を覆い、風邪などの外邪から身を守る働きを言います。衛気の働きを十分に得るには、普段から栄養・睡眠をしっかりとって「気」を充実させることが重要です。もう一つは、衛気をコントロールする五臓の「肺」をしっかりと機能させることが大切です。

東洋医学的に考えると、肺は乾燥に弱い臓器です。空気が乾く秋冬に加湿が必要なのは、西洋医学も東洋医学も同じ考えです。

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自分の風邪のタイプを東洋医学的に分析して、適切な養生を心がける

西洋医学的にみると、「風邪(かぜ)」という一つの症状ですが、東洋医学的にはさらに細かく4つに分類し、それぞれ養生の仕方も異なります。

風邪の進行具合や、その時に出ている症状に合わせて、適切な対策をとることで、「体の大掃除」である風邪を有効に乗り切ることができます。

「風熱」タイプの風邪

  • 発熱やのどの炎症による痛み
  • 鼻水や痰、尿が黄色い
  • 口が乾く

上記のような症状の場合は、体内の熱を冷まし、炎症を鎮めてやる必要があります。食養生としては、グレープフルーツのような柑橘類、大根や冬瓜など、涼性の食材を選んで食べるようにしてください。

▶︎涼性の食材、その他食材の持つ特性についてまとめた記事へ

「風燥」タイプの風邪

  • 長引く咳、空咳
  • 痰がからむ
  • 口やのどの乾燥

上記のような症状の場合、「燥邪」が体内に侵入してしまい、体の水分が消耗され乾いてしまっています。体内も外も、潤してあげること、加湿してあげることが大切です。食材としては梨、はちみつ、銀杏、大根などの「湿潤」の働きが強い食材がおすすめです。

「風寒」タイプの風邪

  • 悪寒、寒気
  • 頭痛
  • 節々の痛み
  • 水っぽい鼻水、鼻づまり

いわゆる風邪の初期の初期、寒気がして体がぶるぶるっと震える頃から、ひき始めにかけてです。この頃は、体を暖かくして、ゆっくりと休むことで本格的な風邪症状に移行するのをおさえるよう心がけましょう。

食養生としては、温性か熱性の食材、生姜、ネギ、ニンニク、シナモンがオススメです。

▶︎温性・熱性の食材、その他食材の持つ特性についてまとめた記事へ

「風湿」タイプの風邪

  • 吐き気、食欲不振などの消化器症状
  • 下痢
  • 鼻水、痰

このタイプの症状は、まず体の余分な「湿」を取り除いてやることが大切です。食材としては、しそ、生姜、みょうが、せり、梅干しなどがオススメです。

▶︎体の余分な水分である「湿痰」についてまとめた記事へ

おまけ:「風邪には葛根湯」は間違いの場合も

 

「風邪をひきそうだったから、葛根湯を飲んだ」という話をよく聞きます。しかし、どの風邪症状にも葛根湯が有効なわけではありません。

先述した風邪の東洋医学的な4タイプの中では、葛根湯が有効なのは「風寒タイプ」です。風邪の超初期で、少し寒気がするくらいの時には葛根湯を服用すると良いとされます。

しかし、例えば「風熱タイプ」のように、熱が出てしまっている状態では、葛根湯はかえって体に良くない薬となります。葛根湯は基本的には体の熱を上げる働きのある漢方です。ご自身の症状にあわせた服用が重要なので、簡単に手に入る漢方ですが、専門家の指示のもと服用しましょう。

▶︎葛根湯についてまとめた記事はこちら

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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