四十肩・五十肩の痛みの性質と東洋医学における瘀血(血瘀)の関係

四十肩・五十肩と血瘀 治療

今回は、四十肩・五十肩における肩の痛みについて、東洋医学的な「瘀血(おけつ)」との関係を踏まえて紹介します。

四十肩・五十肩の症状は一般的に、炎症期・拘縮期・回復期の3つの段階にわかれます。このうち、炎症期における痛みの性質が、東洋医学における「瘀血」によって起こる痛みの性質と共通する点が多くあります。

このことから、鍼灸治療で四十肩・五十肩を治療する際、瘀血を改善することで炎症期の痛みを改善することができます。

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四十肩・五十肩の炎症期の痛みの特徴

四十肩・五十肩の炎症気における痛みの特徴として、下記の点が挙げられます。

  • じっとしていても痛む(安静時痛)
  • 動かすと痛む(動作時痛)
  • 夜間に痛む(夜間痛)

炎症期には実際に肩を構成する筋肉・関節構造に炎症が起こっているため、強い痛みがあるのが特徴的です。そのため、炎症期には強い刺激やリハビリなどの運動が行えず、ただただ痛みに耐える期間になってしまいます。

患者さんの中には、痛み止めの薬を飲んで対応している人もいましたが、そうした薬への抵抗がある人だと、なす術がありません。

東洋医学の瘀血・血瘀の痛みの特徴

東洋医学において、血(けつ)が停滞している状態を「瘀血(おけつ)」や「血瘀(けつお)」と言います。

瘀血・血瘀における痛みの特徴として、下記の点が挙げられます。

  • 刺すように痛む(刺痛)
  • 同じ部位がずっと痛む(固定痛)
  • 夜間に痛むことが多い(夜間痛)
  • 揉まれたくない(拒按)

痛みの性質からも、四十肩・五十肩の痛みの特徴と共通している点が多くあることがわかります。

そもそも、瘀血・血瘀とは?

瘀血や血瘀は、血が停滞している状態を指します。東洋医学における血(けつ)も一般的な血液と同様、栄養を全身に届ける役割があります。また、栄養を届けたら、行く先で不要物を回収する役割もあります。

瘀血・血瘀の状態では、こうした不要物を含んだ血が停滞し、痛みを発している状態です。機序は異なりますが、四十肩・五十肩の急性期の場合、肩に「青タン」がある状態だと考えるとイメージしやすいかもしれません。

瘀血・血瘀の治療法は?

瘀血・血瘀は血が停滞しているため、血を流れるように働きかけることが治療法になります。東洋医学や鍼灸では、「駆瘀血(くおけつ)」や「活血化瘀(かっけつかお)」と言います。どちらも、「血を押し流し巡らせる」という意味です。

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瘀血の改善によって四十肩・五十肩の痛みが改善する

では、四十肩・五十肩の炎症期において、肩に瘀血様の痛みがあるとします。こうした炎症期の治療として、「痛みが悪化しないように安静」だけではなく、「血の巡りを改善する」養生として、効果的なツボを紹介します。

イメージとしては、痛みが起こっている部位にある血の停滞を解消することで、痛みを改善しよう、ということになります。

瘀血を改善する経穴(ツボ)

「駆瘀血」や「活血化瘀」の効果があり、血の巡りを改善するツボを紹介します。

三陰交(さんいんこう)

三陰交は血に関わる不調に広く効果があるツボです。五臓の脾に所属するツボで、脾の働きの一つで、血に関わる「統血(とうけつ)」の働きを高めます。

「統血」:血が血管から漏れずに流れるようにコントロールする働き。

また、三陰交のツボは脾だけでなく、五臓の肝・腎にも働きかける効果があります。肝には気の巡り、血の巡りをコントロールする「疏泄(そせつ)」の働きがあります。三陰交を刺激することで、肝の調子を整え、血の流れを改善することができます。

特に冷えや、元々の肩こりがある人が四十肩・五十肩を発症した場合、三陰交は押さえておきたいツボの一つです。

血海(けっかい)

血海は特に血を補う効果が高いツボです。三陰交と同じく脾に属するツボなので、「統血」の働きを高め血が漏れるのを防ぎます。また、血海の鍼灸師としての(個人的な)使用感は、「新鮮な血を補うことで、血の循環を促す」という印象です。

筋肉質ではなく、元々痩せ体質で起こる四十肩・五十肩の痛みの場合、栄養が行き届いていないことが原因かもしれません。血海を刺激することで、飲食物から血を生成し、補う働きを高めましょう。血を補うことで、肩の痛みが落ち着きます。

太衝(たいしょう)

太衝は五臓の肝に所属し、気や血の巡りを改善するツボです。五臓の肝には、「疏泄」という働きがあります。気の巡り、血の巡りは肝の疏泄の働きによって成り立ちます。そのため、肝の働きが低下すると、気の巡りや血の巡りが悪化し、瘀血・血瘀につながります。

元々肩がこりやすい人、よく足がつる人、小さなことでイライラしがちな人は、肝の働きが低下しているサインです。こうした人に起こる四十肩・五十肩には、太衝のツボを刺激して気の巡りを改善することで痛みもやわらぎます。

おわりに

東洋医学において、四十肩や五十肩の痛みに対して、「四十肩」という診断は下しません。痛みにつけられた名前ではなく、その時に出ている痛みの性質や特徴を踏まえて治療を行います。

特に四十肩・五十肩の炎症期は、「血瘀・瘀血」と捉えた処置を施すと効果的です。「駆瘀血」、「活血化瘀」の効果が期待できる三陰交や血海、太衝のツボを刺激し、血の停滞による痛みや症状を改善しましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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