葛根湯(かっこんとう)を飲む前に。配合生薬の特徴と風邪症状との関係まとめ

生薬イメージ 東洋医学

冬や季節の変わり目に悩まされる、風邪の症状。以前、風邪について大まかにまとめた記事がありましたが、今回は特に【葛根湯(かっこんとう)】に焦点をあててまとめていきます。

東洋医学における風邪の特徴と症状、予防や対策についてまとめる
東洋医学では、風邪を(ふうじゃ)と読みます。風の邪が体に入り込むことで、いわゆる風邪(かぜ)を発症します。特徴として風の邪は熱や湿など他の邪をひきつれて侵入します。症状からどの邪が入り込んでいるかを明確にし、対策をとることで、早期回復を目指すことができます。

「風邪には葛根湯」と、多くの人が認識しています。しかし、葛根湯は風邪に効く万能漢方ではなく、特定の症状の場合のみ効果が期待できます。また、人によっては「肩こりにも葛根湯が良い」なんて聞いたという人もいます。

このような、葛根湯について誤解しがちなポイントと、正しい葛根湯の飲み方をご紹介していきます。

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葛根湯の成分確認

まずは葛根湯の成分から確認していきます。参考にさせていただくのは、漢方のツムラさんの葛根湯です。

自然と健康を科学する 株式会社ツムラ
「自然と健康を科学する」あらゆるいのちとすこやかさのために… 漢方のツムラです。

葛根湯の配合生薬

ツムラの漢方001番の葛根湯の成分表示は下記の通りです。

  • 葛根(カッコン)
  • 大棗(タイソウ)
  • 麻黄(マオウ)
  • 甘草(カンゾウ)
  • 桂皮(ケイヒ)
  • 芍薬(シャクヤク)
  • 生姜(ショウキョウ)

漢方のツムラさんでは他にも、ドラッグストアで購入可能な第2類医薬品「ツムラ漢方葛根湯エキス顆粒A」、同じく第2類医薬品「ツムラ漢方内服液葛根湯」がありますが、配合されている生薬の種類は同じです。

生薬の特性確認

ここからは、入っている生薬の特性を確認していきます。生薬名のうち、青字は体を冷やす涼性の働き赤字は体を温める温性の働きの生薬です。黒字はどちらでもない平性です。

  • 葛根(カッコン)

葛の根っこです。(辛涼)解表の働きがあり、発散・発汗を促し、体を冷やします。

  • 大棗(タイソウ)

ナツメを生薬にしたものを大棗と言います。補(気)虚の働きで、不足した正気を補います。

  • 麻黄(マオウ)

別名は「エフェドラ」というようです。私にもピンときません。(辛温)解表の働きがあり、発散・発汗を促進し、体を強く温めます。

  • 甘草(カンゾウ)

マメ科の植物のカンゾウは、補(気)虚の働きで不足した正気を補いまし。

  • 桂皮(ケイヒ)

シナモン、ニッキを生薬として使う場合、ケイヒとなります。(辛温)解表の働きで、発散・発汗を促し、体を温めます。

  • 芍薬(シャクヤク)

シャクヤクはよく聞きますが、キンポウゲ科、ボタン科のシャクヤクは、補(血)虚の働きで血を補い、不足した正気を補います。また、体を冷やす涼性の働きもあります。

  • 生姜(ショウキョウ)

しょうがを生薬にすると、ショウキョウになります。(辛温)解表の働きで、発汗・発散を促し、体を温めます。

 

こうしてみると、体を温める働きのある生薬が多く配合されていますね。特に麻黄は強く体を温める働きがあります。

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風邪の初期症状に葛根湯

配合してある生薬の働きを見てみると、葛根湯には「体を温め、熱や汗を発散させる」成分が多く配合されています。実は葛根湯の解説にも、下記のような記載があります。

かぜの初期などの頭痛、発熱、首の後ろのこわばり、寒気がするが汗は出ないといった場合に有効。

ツムラ001葛根湯

つまり、葛根湯を服用するべきタイミングとしては、

  • ゾクゾク寒気がする
  • 熱が出ない
  • 汗をかけない

こうした、風邪の中でも特に初期の症状に効果が期待できます。

発熱してからの葛根湯はNG

発汗・発散の働きの強い葛根湯なので、風邪の症状の全てに効果があるわけではありません。

  • 発熱
  • 発汗
  • のどの腫れ
  • 黄色い鼻水

これらの熱症状がある状態で葛根湯を飲んでしまうと、症状が改善するどころか、悪化してしまう恐れもあります。

「葛根湯は風邪の万能薬」どころか、実は効果が期待できるのはほんのいっときの症状に限られています。

肩こりに葛根湯?

「肩こりに葛根湯」という話を患者さんから聞いた時は驚きましたが、ツムラさんの解説にも記載がありました。

発熱がなくても、うなじや背中が緊張しているようなときに用いられます。慢性頭痛、なかでも緊張型頭痛や、肩こりの治療でもよく処方される薬です。「葛根湯」は、体を温めることでこれらの症状をやわらげます。

ツムラ001葛根湯

おそらく、首肩周りの血流の悪さを、葛根湯の発散する効果などで改善するからでしょう。

しかし、頭痛、首のコリや肩こりも様々な原因でおこります。体の熱が上昇し、頭や首肩に症状が現れている場合、葛根湯を飲むと逆効果になります。

ドラッグストアで購入できる葛根湯もあるため、セルフケアに服用する人が多いと思います。便利である反面、しっかりと自分の不調の原因を把握して、正しく飲むことが大切です。

私としては、葛根湯で治る肩こりなら、運動することをオススメします。

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風邪の症状と漢方

風邪の初期から慢性期まで、症状に合わせて処方される漢方をご紹介します。風邪に対する漢方薬でさえ、下記の数だけあります。それ一つで「万能薬」というものは、西洋薬にも漢方薬にもなかなかありません。

薬剤師さんのいるドラッグストアでも購入できる漢方が増えています。しかし、「漢方なら副作用も少なそうだし良いかも」と気軽に購入することなく、自分の症状を薬剤師さんに相談してから購入してください。

麻黄湯(まおうとう)

強い寒気を感じ、発汗・発散が必要な場合に用いられます。体力がある人に処方される、強めの漢方です。

ツムラの医療用漢方では27番、ドラッグストアでも第2類医薬品「麻黄湯」を販売しています。

桂枝湯(けいしとう)

汗がジワジワと出る、軽めの風邪に用いられます。また、体質的に弱い人や、胃腸の弱さ、疲れやすさがある人に処方されます。

ツムラの医療用漢方45番、ドラッグストアでも第2類医薬品「桂枝湯」を購入可能です。

麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)

比較的体力が弱い人の、強い寒気、顔面蒼白、のどのチクチクする痛みに用いられます。水っぽい鼻水や痰、微熱の場合に処方されます。

ツムラの医療用漢方127番です。

麦門冬湯(ばくもんとうどう)

咳がひどい風邪に、のどを潤して咳をとめる働きがあります。痰の少ない、乾いた咳が続く場合に用いられます。

ツムラの医療用漢方29番、ドラッグストアでも第2類医薬品「麦門冬湯」として販売しています。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)

薄い鼻水や痰を伴う風邪に用いられます。風邪の他にも、アレルギー性鼻炎にも用いられます。

ツムラの医療用漢方19番、ドラッグストアでも第2類医薬品「小青竜湯」として販売しています。

竹茹温胆湯(ちくじょうんたんとう)

風邪が長引き、咳や痰が多い場合に用いられます。インフルエンザや肺炎などの回復期にも用いられます。

ツムラの医療用漢方91番です。

 

おわりに

咳や鼻水、ふとした体調の変化をいち早く察知して、「葛根湯」。そんな風に多くの人のセルフケア意識が高まりました。しかし、情報の真偽を確かめずに、何かにすがるように盲信してしまうこともあります。

自分の体調と、手に入るお薬や、できる運動などのセルフケア。しっかりと体に合うものを探し、わからない点はお医者さんを始め医療関係者にたずねるようにしましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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