辛い花粉症の諸症状を改善する生活習慣と東洋医学の考え方のまとめ

花粉症イメージ 予防・未病治
花粉症に腸内環境が重要」と認知されてきましたが、東洋医学では早くから大腸と肺(呼吸器)の関係に着目した治療が行われていました。また、他の臓腑や体の寒熱状況など、花粉症で出る症状を細かく分類すると原因は様々で、東洋医学ではそれぞれに合わせた治療を行います。食習慣や睡眠など、春先だけでなく、それまでの日々の結果として「花粉症」が出ていることを認識し、体調を整える必要があります。

 

鼻水や鼻づまり、目のかゆみ、くしゃみ、花粉症も一つの病気と言って良いほど、症状は多岐に渡り、生活に支障をきたす場合もあります。

花粉症というと春先に苦しむ人が多い印象ですが、最近では1年中なにかしらの原因物質が飛散していることがわかっています。

花粉飛散量イメージ

(画像:「アレジオン」より引用)

患者さんの中にも1年中花粉に苦しみ、マッサージを受けようとベッドにうつ伏せになると鼻水が出る、とお困りの方が多くいます。

鼻水や鼻づまりによって、集中力がなくなったり、くしゃみが止まらなかったり、こうした体の反応は、粘膜についた花粉を追い出そうとする体の反応だと言われています。症状が強い人は、こうした体の反応が強く出すぎている傾向にあるようです。

そうした直接的な影響の他にも、

  • 鼻をかむときや、くしゃみをする時、顔や首周り、肩、背中の筋肉を使い、こりの原因になる。
  • 呼吸が浅くなったり、集中力が低下、口呼吸になる。

二次的、三次的な悩みから逃れるために、花粉症の薬を飲む人も多くいます。しかし、薬による睡魔などもあるため、薬を飲みたくなく、我慢して乗り切る人もいるようです。

しゅん
しゅん

うちの奥さんは妊娠中に薬を飲まず、大変な思いをしていました

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目次

花粉症には、早い時期からの準備が大切

年明けくらいからアレルギー薬を「予防投与」する人も

早い方ですと、年明け頃からアレルギーの薬を飲んで花粉症に備えるみたいです。最近では、眠くなりにくい薬など、花粉症の薬も進化を遂げてきています。

しかし、薬は薬、飲み合わせや服用すること自体、何となく抵抗のある方が多いです。

「辛くなったら薬を飲もう」

そう言っている間に重症化してしまうケースもあります。もちろん、薬を飲むことが良くないとは言いません。

しかし鍼灸師としては、「日々の養生で花粉症予防を!」と言いたいところです。1年中花粉が飛んでいるからこそ、日々の生活を見直していき、「花粉症にならない体」を目指してみるのと良いかもしれません。

花粉症には「腸内環境」が重要

腸内環境を整えることでアレルギー疾患や風邪などの症状を予防・抑制することができると話題になっています。

腸内環境は、腸内細菌のバランスで成り立ちます。腸内細菌は、善玉菌と悪玉菌、その他の菌(日和見菌)からなります。ご自身の腸内細菌のバランスが良いか悪いかは、日々の便通の状態を確認して知ることができます。

腸内環境を整える善玉菌のもとになる食材

善玉菌は腸の動きを活発にし、悪玉菌の増加を抑える働きがあります。発酵食品やきのこなどに多く含まれています。

  • ヨーグルトなどの乳酸菌
  • きのこの菌
  • 味噌などの発酵食品

腸内環境を悪化させる悪玉菌のもとになる食材

悪玉菌は有毒物質を発生させ、腸の働きが悪くなってしまいます。

  • お肉を中心とした料理
  • ポテトチップスなどのいわゆるジャンクフード
  • 白砂糖
  • ストレス

善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7のバランスを目指す

腸内環境は、善玉菌と悪玉菌、そして日和見菌(中立の菌)のバランスによって成り立ちます。このバランスが、「善玉菌2:悪玉菌1:日和見菌7」になっている状態が理想だと言われます。

これが崩れてしまうと、便秘や下痢、腹痛などの症状が起き、その先に免疫の低下が起こります。こうして、腸内環境が悪化し、免疫が低下することで、花粉症やアレルギーなどの症状が出ると考えられています

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東洋医学における五臓六腑と花粉症の関係

東洋医学的にも腸内環境と呼吸器は密接な関係

僕たちの体調は、五臓六腑の働きによって健康管理・維持されています。

大腸(腸内環境)は、六腑の一つであると同時に、肺と関係が深い(表裏関係)特徴があります。最近話題になっている腸内環境と呼吸器の関係ですが、東洋医学でははるか昔から認知され、治療に用いられた考えです。

▶︎「臓腑の表裏関係」についてはこちらへ

大腸の経絡は鼻に終わる

大腸経イメージ

(画像:手の陽明大腸経の経絡、『新版経絡経穴概論』)

経穴(ツボ)の線路と言われる経絡(けいらく)のうち、大腸の経絡は手の人差し指から始まり、鼻の横の「迎香(げいこう)」というツボに終わります。

大腸経のツボは他にも、腸内環境とアレルギーなど免疫との関係を示すような効果があるツボがあります

  • 合谷:頭顔面の症状全て、風邪やアレルギー症状に効果的
  • 肩髃(けんぐう):皮膚の病、アレルギーに効果的で解毒のツボとも言われる
  • 曲池(きょくち):炎症を抑えるのに効果的なツボです

それぞれのツボの位置などについては、この記事の後半でご紹介します。

五臓の肺(呼吸器)の働きと花粉症

東洋医学における五臓の肺は、西洋医学の考えとは少し違い、呼吸に関わるものを全て肺とします。そのため鼻から始まり、のど、気管支も肺という臓の一部です。また、鼻炎などの症状は五臓の肺の失調、ということになります。

五臓の肺は鼻に開竅し、五液は涎(はなみず)

東洋医学では、肺は鼻に開竅(かいきょう)すると言われます。「開竅」とは、肺が鼻を通して外の世界とつながっている、ということです。

鼻に起こる症状は五臓の肺の働きの低下を示すサインです。また、肺に該当する体液(「五液」と言います)は「涎(はなみず)」です。肺と鼻、それからはなみず、これらの関係性は西洋医学も東洋医学も大きくは違いません。

▶︎五臓の肺の特徴を詳しくまとめた記事へ

肺は水をコントロールする

肺には、「通調水道(つうちょうすいどう)」と言われる働きがあります。

大まかにまとめると、下記の働きがあります。

  • 体内の水分送付
  • 汗としての排泄
  • 膀胱への輸送

ここでいう「水分」とは全身の水分を指すため、鼻水だけではありません。しかし、肺は呼吸器としての側面と、水分代謝という側面からも鼻水と関わると考えられます。

「呼吸」だけでない肺の働き【衛気】

肺は体表にバリアを張り、外邪から身を守る「衛気(えき)」という働きを担います。衛気が正常に張り巡らされることで、外からやってくる病気の原因を防ぐことができます。

肺の働きを正常に保ち、衛気を張り巡らせることで、花粉の侵入を防ぎます。

ちなみに、衛気は飲食物から得る「後天の精」から生成されます。こう考えると、「良い食事」を摂ることで腸内環境も整い、衛気を張り巡らせることができるため、やはり日頃の食習慣は重要です。

▶︎「気」の種類と働きのまとめはこちらへ

他の臓腑と花粉症の関係

「生痰の臓」である五臓の脾

東洋医学的に、五臓の脾は「生痰」の臓、肺は「貯痰」の臓と言われます。

ここでの「痰」は、湿(水分)が過剰になり蓄積し、粘りを帯びたものを指します。つまり、五臓の脾は余分な水分を痰に変えてしまい、その痰は肺に貯蔵されてしまいます。

先述した通り、花粉によって出る鼻水も体の水分です。脾の働きが乱れることで、痰が多く生成されてしまうと、それだけ鼻水も作られることになります。

五臓の脾は飲食物の消化・吸収に関わる臓器です。暴飲暴食、偏食などで脾に負担をかけすぎると、花粉症の症状は悪化してしまいます。

「腎」も水分調整に働く

腎も肺と同様に、体の水分代謝に関係する臓器です。余分な水分を尿として排泄するサポートをしています。

また、五臓の腎はアレルギー症状の治療などにも考慮が必要な臓器です。もって生まれた生命力や、免疫力などは、五臓の腎がコントロールするためです。

▶︎五臓の腎の働きのまとめはこちらへ

「目の不調」は五臓の肝

「鼻に開竅する臓器は肺」、と上述しましたが、目に開竅する臓器は肝です。

花粉症の症状として、目の痒みや充血など、目の症状が出る人は、肝の不調も考えられます。

▶︎五臓の肝について詳しくまとめた記事はこちらへ

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花粉症の症状は体の「寒熱」とも関係する

辛い花粉症の症状ですが、鼻や目に関係する臓腑の働きだけでなく、体の寒熱の状況によっても変わってきます。

体が冷えている場合

  • 鼻水:透明でサラサラ
  • 鼻のつまり:あまりない
  • 目の痒み:あまりない

止まらない鼻水は、体の冷えが影響していることがあります。鼻水がタラタラ出るのが嫌で、水分補給を控える人もいます。しかし、鼻水の性質に関わるのは体の寒熱です。

水分を摂っても体が冷えなければ、問題ありません。

体に熱がこもっている場合

  • 鼻水:粘りがあり、色がつくことも。痰状
  • 鼻のつまり:つまる
  • 目の痒み:痒みや充血、目やにを伴うこともある

体の熱が強いと、鼻はつまり、出てくる鼻水は粘りがあり、痰状になります。目に現れる花粉症の症状も、多くは熱が影響して起こります。

しゅん
しゅん

熱は体液を濃く、粘らせていきます。また、上部に出る症状の多くは、熱の持つ「上にあげる力」の影響です。

▶︎体の寒熱の状態を確認するチェックリストへ

花粉症を改善する東洋医学的なセルフケア

経穴(ツボ)押しで症状改善・予防

花粉症の諸症状に効果的なツボをまとめた記事を作りました。

▶︎花粉症の諸症状に合わせた治療効果を持つ経穴(ツボ)のまとめ

おして刺激できるところは、気持ち良いくらいの圧でおしてみてください。温灸なども効果的です。

ここでは簡単に、上記記事で紹介しているツボと、その効果についてまとめます。

鼻水・鼻づまりに効果的なツボ

  • 迎香:鼻に直接働きかけるツボ
  • 印堂:鼻疾患の特効穴
  • 百会:頭頂部から鼻症状を改善するツボ
  • 風池:目、鼻どちらにも効果的なツボ
  • 豊隆:余分な水分(湿痰)を除去するツボ

▶︎鼻水、鼻づまりに効果的なツボの詳細へ

目の痒みや充血に効果的なツボ

  • 太衝:肝の働きを整え目の症状を改善するツボ
  • 行間:目に起こる炎症を抑える効果のあるツボ

▶︎目の痒みや充血に効果的なツボの詳細へ

花粉症を始めとする、アレルギー疾患全般に効果的なツボ

  • 合谷:腸内環境を整え、顔面部の不調に効果的なツボ
  • 肩髃:アレルギー疾患の特効穴
  • 曲池:炎症を抑えるツボ

▶︎アレルギー疾患全般に効果的なツボの詳細へ

上に出ている症状に対して、下の方にあるツボを刺激することで治るという考え方を、「上病下治」と言います。他にも、「下病上治」、「左病右治」、「右病左治」など、反対側への刺激で治す考えです。

睡眠も大切な花粉症対策

睡眠が大切なのは当たり前のことですが、少し東洋医学寄りに考えてみます。

体の水分(津液)、血、精液は、陰液と呼ばれます。陰液は日中消耗され、夜に生成されます。

夜更かしをすると、陰液の生成が止まり、消耗が続き、「陰虚」という状態になります。陰は下におろし、鎮静させる働きがあるため、陰虚になると上部の症状が強く出ます。

特に熱性の、目の充血や鼻のつまりなどは強まります。

しゅん
しゅん

かと言って、陰液不足で鼻水も減るのでは? とならないのが、東洋医学の不思議。

食事の見直しは基本的な花粉症対策の一つ

バランスの良い食事

当然ですが、バランスの良い食事は腸内環境にも重要です。私が花粉症対策に気をつけている食習慣は下記の通りです。

  • パンよりごはん
  • 冷たいものより温かいもの
  • 1日1回は納豆か味噌汁で発酵食品
  • 肉、卵より魚

パンは菓子パンやバターなど、どうしても甘くなりがちで、小麦が花粉症との相性が悪いイメージです。グラノーラなども、便通に良いと言われますが、それよりもお米をいただくようにしています。

発酵食品は納豆で補うことにしています。ヨーグルトも発酵食品としては優秀でしょうが、体が冷えそうなので私は食べません。

甘いもの・味の濃いもの・冷たいものを控える

お菓子などの甘いもの、特に砂糖を使った食品は花粉症を悪化させます。これは、「生痰の臓」である「脾」は、「甘」が過剰に入るとコントロールが効かなくなるからです。

また、甘味は色々なものを「緩める」働きを持ちます。花粉症の症状が出ている時だけでなく、秋冬の季節から少しずつ控えてみてください。

脾という臓器は、甘いものの他にも、冷たいもの、味の濃いものを過剰に摂ることで働きが低下します。

おわりに

花粉症についてまとめてきましたが、より簡潔にまとめると、下記の通りです。

  • 花粉症は腸内環境によって抑えられる。
  • 東洋医学では、多くの臓腑が花粉症の症状と関わる。
  • 体内の寒熱の状況でも、症状の出方は異なる。
  • 結局大切なのは、日々の養生。

春先に出る症状を抑えるために、それまでの日々の生活が重要です。それは、花粉症でなくても同じことです。日々の生活を丁寧に過ごし、不調の少ない未来を待ちましょう。

 

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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