今回は、【次髎(じりょう)】というツボについて、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。
次髎は仙骨の孔の一部にあるツボです。次髎への刺激はその孔を通して骨盤内の不調を改善します。特に泌尿器・生殖器の不調には欠かせないツボの1つです。
同じように仙骨の孔にあるツボを、全てあわせて「八髎穴(はちりょうけつ)」といいます。八髎穴のどれも同じような効果を持つため、次髎のみだけでなく、八髎穴の治療効果としてもまとめていきます。
目次
次髎(じりょう)の位置と所属経絡
次髎というツボの位置や、所属する経絡について確認していきます。
次髎の位置
仙骨部、第2後仙骨孔。
次髎は骨盤の骨の一部である、仙骨(せんこつ)に空いた孔にあるツボです。
- 八髎穴の1つ
仙骨には、全部で8つの孔が空いています。それぞれ上から、左右で1セットのツボの並びになります。
- 上髎:左右の第1後仙骨孔
- 次髎:左右の第2後仙骨孔
- 中髎:左右の第3後仙骨孔
- 下髎:左右の第4後仙骨孔
これら4つ、左右計8個のツボを合わせて「八髎穴(はちりょうけつ)」と呼びます。
次髎の所属経絡と特徴
次髎は足の太陽膀胱経に所属するツボです。膀胱経は顔面部の目の内側から始まり、頭を巡って背中から下半身の後面を通って足の小指に伸びる、とても長い経絡です。この長い経絡の途中で、仙骨をまたぐ位置にあるのが次髎などの八髎穴です。
- 骨盤内への刺激に最適
次髎を含む八髎穴への刺激は、仙骨の孔を通じて骨盤内に直接的に働きかけます。骨盤内臓器である泌尿器、生殖器の治療には必須と言っても良いほどのツボです。
- 副交感神経に働きかける
交感神経と副交感神経からなる自律神経のうち、背中に交感神経節(根元)が、首と仙骨に副交感神経節があります。
仙骨を温めることは、副交感神経を優位に働かせることにもつながります。
次髎のツボの治療効果まとめ
次髎を刺激することで期待できる効果についてご紹介します。また、次髎の近くにあるツボをまとめて、八髎穴としての治療効果もご紹介します。
骨盤の後ろ、仙骨にあるツボなので、温灸や押圧は難しいですね。貼るホッカイロなどで温めるとお手軽で効果も十分あります。
泌尿器疾患に
次髎は仙骨をめぐる膀胱経に属するツボです。八髎穴への刺激は経絡にのって膀胱に届くだけでなく、局所的に骨盤内に届き、泌尿器疾患を改善します。
ご高齢者の夜間頻尿など、おトイレの問題は睡眠にも関わり、結果的に全身に影響を与えます。八髎穴を刺激して、膀胱の働きを整えましょう。
生殖器疾患に
次髎は婦人科疾患や、男性生殖器の不調にも効果があるツボです。
特に婦人科疾患は、骨盤から下半身にかけての冷えが原因な場合が多いです。仙骨にある次髎や、その他もあわせた八髎穴を温めることで、子宮や卵巣などの女性生殖器まで熱を届けることができます。
- 月経痛など月経時の不調
- 不妊症
上記の症状の場合、八髎穴は欠かせないツボとなります。
八髎穴は女性だけでなく、男性生殖器の不調も改善します。ED(インポテンツ)や精子の活動低下による男性不妊にも常用するツボです。
自律神経の失調に
先程触れたように、仙骨部には副交感神経節があります。
副交感神経は体を休め、リラックスさせる働きをもつ神経です。ストレスや、パソコンやスマートフォンなどから出るブルーライトなど、何かと神経をたかぶらせ、緊張気味に生活している人が多い印象です。
緊張が続き、自律神経のうち交感神経のみが優位な時間が長いと、多くの不調や疾患を生みます。日常感じる不定愁訴といわれる症状の多くに、自律神経は関わります。
次髎とあわせて刺激したいツボ
次髎とあわせて刺激をすると、より効果的なツボをご紹介します。
大椎(だいつい)
後頚部、後正中線上、第7頚椎棘突起下方の陥凹部。
大椎は背部の、首と背中の境目にあるツボです。
- 全身の冷えにオススメ
大椎は体の陽の経絡が全て交わるツボなので、悪寒や寒気だけでなく、手足の末端の冷えにも効果があります。八髎穴が腰から下を温めるとすると、大椎は上半身を強く温めてくれます。
- 自律神経の調整にも
大椎は自律神経の調整にも関わるツボです。大椎の周りには首や肩につながる筋肉が多く、これらの筋肉のこりが体の過緊張(交感神経優位)を生み出すことがあります。
大椎周りを温めることで、首肩の筋肉の血流が改善します。結果的に副交感神経が優位になり、リラックスしやすくなります。
おわりに
今回は次髎というツボと、それにあわせて上髎・中髎・下髎をあわせた八髎穴としての効果などをまとめてみました。
骨盤の骨の一部である、仙骨に空いた孔がツボになっていますが、実際に触ることはできません。ホッカイロなどで温熱刺激を与える時は、仙骨にかかるようにあてがえば大丈夫です。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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