東洋医学における五臓の肝と自律神経との関係のまとめ

自律神経、瞑想イメージ 予防・未病治
自律神経の乱れは、東洋医学において主に五臓の肝が関わると考えます。肝の働きの一つである「疏泄」が低下することで、気の巡りが悪化し、自律神経失調に近い症状が現れます。肝の働きを整え、全身の気の巡りを改善することで、自律神経が乱れにくい体になると考えられます。

 

以前、自律神経(交感神経・副交感神経)のバランスの仕組みや、自律神経が乱れる原因、その対策をまとめました。

この記事では、そんな自律神経について、東洋医学的にはどのように考えるのかをまとめていきます。

東洋医学においては、自律神経失調のような症状には五臓の肝と、気の働きが関わります。特に気の働きは五臓の肝の働きを受けて成り立つ側面もあるため、根本から治療をするのであれば、肝の治療が不可欠です。

自律神経の乱れ・症状

気の働きの低下

五臓の肝の働きの低下

自律神経の乱れ、自律神経失調症などは、長く改善されず、不調に悩む患者さんが多くいます。体質改善、根本治療をモットーとする東洋医学では、出ている症状だけでなく、「自律神経が乱れにくい体」を目指して治療を行います。

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自律神経は五臓の肝の疏泄の働きが関係する

東洋医学では、「自律神経」そのものの働きはあまり取り上げられません。自律神経がコントロールする循環や消化などの内臓器の働きは、該当する五臓のコントロール下にあると考えます。

しかし、そうした五臓の働きは、私たちのエネルギーにあたる「気」の働きによって成り立ちます。この気を巡らせているのが、五臓の肝にあたります。

五臓の肝の特徴

五臓の肝には、「疏泄(そせつ)」と「蔵血(ぞうけつ)」という働きがあります。

この働きのうち疏泄の働きが、気を全身に巡らせる働きです。

▶︎五臓の肝の働きを詳しくまとめた記事はこちら

肝の失調は気の巡りを悪化させる

五臓の肝の働きが低下してしまうと、疏泄の機能も低下してしまいます。そのため、肝が消耗するような生活が続いていると、疏泄の働きも次第に悪くなり、気の巡りが悪化、結果的に自律神経の乱れに似た症状につながってしまいます。

五臓の肝を消耗するような生活例として、下記の項目が挙げられます。

  • 過度な飲酒
  • ストレス過多・過労
  • 目の酷使、眼精疲労
  • 睡眠不足

どれも、自律神経が乱れるきっかけになりそうな生活週間だと言えます。

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肝の疏泄の失調により気の働きが低下する

肝の疏泄の働きが低下することで、気の持つ働きも低下してしまいます。必要なところで気の働きを発揮できないため、自律神経失調様の症状につながります。

気の働きの確認

気には5つの働きがあります。それぞれの働きと、その働きが低下することでどんな問題が起こるのかをまとめてみます。

  • 「推動」の低下

気の「押し動かす」働き。気の巡り、血の巡りだけでなく、体内の物質の移動にも関わるため、推動の低下は物質の停滞につながる。

  • 固摂の低下

気の「かため、とどめておく」働き。尿や便、汗などを必要以上に出さないようにとどめておく働きがある。固摂の低下は物質の流出・漏出につながる。

  • 温煦の低下

気の「温める」働き。体温を維持するのも温煦の働きなので、冷えなどと関係する。

  • 防御の低下

気の「守る」働き。菌やウイルスなどから体を守る働きを指します。防御の働きが低下すると、流行病や感染病に弱くなったり、風邪をひきやすくなったりします。

  • 気化の低下

気の「変化させる」働き。気を血に変えたり、精から気を生成したりするのも気化の働きであり、食べ物のカスを便として形成するのも気化の働き。気化が低下すると、栄養の吸収不良や貧血、便秘などが起こる。

▶︎気について詳しくまとめた記事はこちらへ

気虚タイプの自律神経失調

自律神経の働きが乱れることで表れる症状のうち、気の不足である「気虚」タイプに分類できそうなものをピックアップしてみます。

低血圧、息切れ、動悸、むくみ、冷え、多汗、めまい、耳鳴り

力なく、だるくなるタイプの症状が多い人は、気が不足して起こる自律神経失調です。

気滞タイプの自律神経失調

自律神経の働きが乱れることで表れる症状のうち、気の停滞である「気滞」タイプに分類できそうなものをピックアップしてみます。

情緒不安定、不眠、腹部の膨満感・張り、肩や背のこり、げっぷ・食滞、梅核気、めまい、耳鳴り

何かがつまる、張るような症状が多い人は、気が滞ることで起こる自律神経失調です。

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自律神経を整える五臓の肝と気の治療

肝の養生、注意点

五臓の肝を疲労・消耗させてしまう生活習慣は下記の通りです。

  • ストレスが多く、感情の起伏が激しい生活。
  • 血(けつ)の消耗が多い生活。

肝は情緒をつかさどり、ストレスに弱い性質を持つ臓器です。そのため、過度なストレスや感情の変化によって消耗し、肝の働きは低下してしまいます。

また、肝には蔵血の働きもあるため、血を消耗しすぎると肝の働きも低下してしまいます。東洋医学的に考える血を消耗する生活習慣として、目の酷使による眼精疲労、筋疲労、寝不足、出血などが挙げられます。

▶︎五臓の肝の詳しい養生などはこちらへ

自律神経の調整に用いる経穴(ツボ)

五臓の肝に働きかけて自律神経の働きを整えるツボや、交感神経・副交感神経どちらかの過剰な働きを抑えるツボをご紹介します。

ツボの位置の詳細などは、自律神経を整えるツボのみをまとめたページにまとめてあります。

▶︎自律神経を整える経穴(ツボ)一覧へ

  • 太衝:肝の働きを整え、気の巡りを改善する。
  • 内関:精神安定、循環器の安定から自律神経を整える。
  • 百会:頭頂部から全身の緊張を緩める。
  • 夾脊:背中を緩めて緊張を和らげる。
  • 関衝:交感神経を働かせる薬指にあるツボ。

もちろん他の臓の働きも正常が理想的

五臓の肝の疏泄と自律神経の関係をまとめましたが、他の臓器の働きも正常であることが理想的です。肝は気血を巡らせる働きがあるため、気の巡りへの影響や、自律神経への影響が考えやすいため取り上げられることが多くあります。

しかし、たとえば五臓の脾の働きが低下すれば、飲食によって気を生成する働きが低下し、気が不足します。肺は呼吸によって外から新鮮な気を吸い込み、その気は五臓の腎に格納されます。

自律神経の乱れやそれによる症状は、あくまで結果として出てきているだけです。

自律神経の乱れ・症状

気の働きの低下

肝だけでなく、五臓の働きの低下

大切なのは、その根底にある気血の状態や、それをコントロールする五臓六腑の働きを確認することです。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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