腎精不足の症状と改善のためのツボ【東洋医学でみる症状と養生】

気血水精
東洋医学において、腎の働きが低下し、貯蔵されている精が不足することで起こる症状があります。生命力・生命活動の源となる腎精が不足することによって、泌尿器・生殖器症状に加え、発育不良や老化現象のような症状が起こります。腎精は両親から受け継ぐ先天の精に、飲食によって後天の精を補充する形で貯蔵していきます。過労や加齢、浪費によって日々消耗する腎精を補充することで、いつまでも若々しくいるアンチエイジング効果も期待できます
腎の機能を高める経穴(ツボ)として、「腎兪」、「太渓」をご紹介します。

 

体の中を巡る、気・血・水・精。それぞれ、多くても、少なくても不調につながるため、絶妙なバランスが保たれています。このページには東洋医学的な体質タイプ【腎精不足】をまとめていきます。下記のような症状が、腎精不足を疑う診断指標になります。

  • 発育・成長の問題
    • 小児の夜尿症(おねしょ)
    • 成長・発育の遅さ
    • 小さな頃の歯のトラブル
    • 関節・骨の成長痛
  • 老化現象
    • 白髪、抜け毛
    • 肌質
    • 足腰の弱さ
    • 冷え
  • 泌尿器・生殖器の問題
    • 尿漏れ、失禁
    • インポテンツ
    • 不妊

腎精が慢性的に不足することで、上記のような症状が現れてしまいます。そこで、治療においても養生においても、下記の項目を重視します。

  • 五臓の一つである腎の働きの回復。
  • 精を補い、消耗しない生活。

生命力の源である腎精は、日々生活しているだけで消耗していきます。その分を補いつつ、消耗を抑える生活を心がけることが、治療につながります。

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東洋医学における「腎精不足」=生命力の低下

五臓の腎に貯蔵されている「精」が不足している状態を「腎精不足」と言います。

東洋医学において「精」は生命力の源と考えられているため、不足すると下記のような不調が起こります。

  • 成長・発育不良
  • 年齢に合わない老化現象
  • 泌尿器・生殖器の不調

そもそも、「腎精」って?

「腎精」の「腎」のおさらい

東洋医学でいう腎は、五臓の一つです。その代表的な特徴として、下記の三点があります。

  • 蔵精:精をためておく
  • 主水:水分代謝に関わる
  • 納気:気をおさめる

腎の働きが低下することで、これらの働きの中の「蔵精」の働きが低下し、腎精不足に陥ってしまいます。

腎の詳しい働きや、腎の不調による症状、対策の詳細は下記のページをご参照ください。

腎精の「精」のおさらい

「精」とは生命力の源で、東洋医学でよく耳にする「気」の元にあたるものです。

腎に蓄えられた精を気に変えて、その気を活用する事で日常生活を送っています。つまり、とても大事なエッセンスです。

精は「先天の精」と「後天の精」から成ります。それぞれ確認しておきましょう。

  • 先天の精

生まれる時に、両親から受け継ぐ生命力の源を、先天の精といいます。産まれてから、母乳を飲み、離乳食や食事を少しずつ摂り、自分で栄養を蓄えられるようになるまでは、先天の精をエネルギーに変えて生きています。

また、この先天の精を自分たちの子孫にも受け継いでいきます。遺伝的な生命力の強さ、と言えます。

  • 後天の精

母乳や離乳食、飲食物を食べるようになり、自分で消化吸収し、生成されて蓄えられる精を後天の精と呼びます。飲食の乱れや、消化器の弱さから消化吸収がうまくいかないと、後天の精を生成することができません。

このように、後天の精の生成・貯蔵には、消化に関わる脾胃の働きも不可欠となります。

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腎精不足によって起こる「ライフスケジュールからの逸脱」症状

腎精が不足することで起こる症状をまとめると、「一般的なライフスケジュールからの逸脱」という特徴があります。生命力・活動力(気)の材料となる精が不足していると、適切な発育・成長を遂げられません。また、加齢によって精が減少し、補充が十分でないと、年相応以上の老化現象が現れます。

それぞれ、特徴的な点を中心にまとめてみます。

歯や骨に現れる問題

五臓の腎は骨をつかさどる臓器としての特徴を持ちます(「五主」)。精をもとに「髄」を生み出し、髄を使って骨を形成・成長させています。成長期に精が不足していると、骨が十分に伸びず、身長が伸びない発育不良や骨折をしやすい体質になってしまいます。また、加齢に伴って精が減少・補充が追いつかないと、骨の変形や骨粗しょう症などの問題にもつながります。

また、東洋医学において歯は「骨余(こつよ)」と言い、骨の余りで形成されていると考えられています。歯も骨と同様に髄によって形成され、髄は精のもと成り立つので、精の不足が歯にも影響することがわかります。そのため、成長期に歯の生え出し・生えかわりが遅かったり、歯が弱かったりする場合、精の不足を疑います。また、加齢によって歯が抜けやすくなるのも、その素材となる精が不足していくからだと考えられます。

髪の毛に現れる問題

東洋医学では、髪の毛が腎の状態を外から判断する指標となるものと考えます(「五華」)。そのため、髪の毛にツヤやコシがなくなる、白髪が増える、髪の毛が抜けるなどの症状がある場合、五臓の腎の不調や精の不足を疑う指標になります。

髪の毛は腎の五華であるとともに、「血余(けつよ)」といって血の余りで出来ていると考えます。そのため、腎精だけでなく体の血の状態も関わるため、どのような原因で髪の毛に不調が現れるかを明確にして治療を行います。

泌尿器・生殖器に現れる問題

例えば幼い子のおねしょや、高齢者の尿のトラブルなど、発育・加齢の問題として泌尿器の不調を伴うことが多くあります。精を貯蔵しておく腎は、泌尿器をとりまとめる役割もあるため、腎の働きが低下すると泌尿器の不調が現れます。

また、精が不足していると、生殖器の働きも乱れてしまいます。生殖器は後世に精を受け継ぐための機能です。そのため、精が不足することでED(インポテンツ)や不妊症などの症状につながります。また、女性の月経にも腎精が関わるため、月経前後の不調がある場合にも腎精の状態を確認する必要があります。

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腎精が不足してしまう原因

腎精は多すぎて溢れるということがありません。日々の活動の中で消費されていく腎精を、飲食物(後天の精)で補っていかなければなりません。

腎精不足の原因をまとめると、下記の項目が挙げられます。

  1. 腎の働きの低下による問題(先天の精の不足)
    1. 生まれ付きの病気など
    2. 歯や骨の問題(骨折など)
    3. 後天の精を貯蔵できない
  2. 脾胃の働きの低下による問題(後天の精の不足)
    1. 消化器の不調
    2. 飲食の乱れ
  3. 生活習慣の乱れ、腎の問題(腎精の浪費)
    1. 過度な性交渉
    2. 過労

腎の働きの低下による腎精不足(先天の精の不足)

生まれつきの病気や、歯や骨の著しい成長があると、もともと腎に貯蔵されている精を多く使うことになります。特に成長期には持病などがなくても、腎精を発育に使うため消費が激しくなりがちです。また、歯の治療(虫歯など)や骨折の治癒の過程では、通常より多くの腎精を使ってしまいます。

また、腎の働きが低下した状態では、飲食によって得る後天の精を補充する働きも低下してしまいます。

脾胃の働きの低下による腎精不足(後天の精の不足)

私たちは自分で飲み食いをするようになってから、先天の精を補うように後天の精を貯蔵しています。後天の精は飲食物を脾と胃の臓腑で消化・吸収することで得ています。

こうした脾や胃の働きが低下し、消化・吸収がうまくできなければ、後天の精を補充していくことができなくなります。また、食習慣の乱れや偏食など、体に入ってくるものの室も、後天の精の質に関わります。良い臓腑の状態で、良いものを飲み食いすることが大切です。

生活習慣の乱れによる腎精不足(腎精の浪費)

腎精は主に加齢・過労・性交渉によって消耗していきます。加齢は避けられない問題ですが、過労や性交渉はコントロールが可能です。

腎に蓄えられている精を気に変え、私たちの日々の活動があります。そのため、過労によって気を多く消耗しすぎたり、気の補充が足りなければ腎精も不足していってしまいます。また、性交渉は後世に受け継ぐべき精を消耗する行為です。過度な性交渉は「房事過多(ぼうじかた)」と言い、腎精不足を招く要因となります。

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腎精不足を改善する一般的な対策

腎の「蔵精」機能の改善

先天の精は、生まれもって受け継ぐものなので補充することはできません。生まれて、自分で飲み食いできるようになる頃から、飲食物から後天の精を蓄えていきます。

腎の働きが弱いと、せっかく栄養満点な食事を摂っても、うまく精を蓄えることができません。

まずは精を蓄える受け皿でさる腎の働きを整えましょう。

脾胃の働きの改善

飲食物を摂ると、脾胃がその中から「水穀の精微」と呼ばれるエッセンスを抽出します。この一部が後天の精となり、腎に蓄えられます。

  • 脾胃の働きの悪化
  • 飲食のバランスの崩れ、過不足

上記の理由などで、後天の精をうまく作り出せないと、精は不足してしまいます。脾胃の働きを正常に保ち、口にする飲食物からしっかりと後天の精を生成する必要があります。

腎精の浪費をおさえる

東洋医学的な病因(病気の原因)をまとめた時に、過度な性行為も病気の原因になると紹介しました。

性行為は、腎に蓄えらている後世に受け継ぐ精を消費します。そのため、過度に行えば、精は枯渇していってしまいます。ダイレクトに腎精を浪費するのは、こうした過度な性行為が代表的です。

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「腎精不足」を改善する東洋医学の経穴(ツボ)と食事

鍼灸治療:補腎(補益腎精)のツボ

鍼灸治療において、腎に関係するツボをご紹介します。指で軽く押し込んでみたり、ペットボトル温灸で温めたりしてみてください。

腎兪(じんゆ)

腎兪のイメージ

腰にあるツボです。「第2腰椎の高さあたりの、ちょっと外側」のツボです。

両手を後ろに回して、腰を横から押し込むと痛気持ちい場所があります。そのあたりを刺激します。腎の重要なツボであり、位地も腎臓の近くです。

太渓(たいけい)

足首の、内くるぶしとアキレス腱の間にあるツボです?細かく確認すると、脈が拍動(後脛骨動脈)しているのがわかると思います。そのあたりを刺激します。

太渓は足腰の弱さや冷えにも効果的なツボです。

コンビニで手に入る「補腎」の食材

実や種

「腎精は後世に受け継ぐもの」と言うだけあって、腎精を補うものも、木の実や種などの「次につながるもの」が良いとされます。

コンビニで買えるとなると、栗や、くるみなどのナッツがあります。くるみは特に補腎力が高いのでおすすめです。

ひじき

腎は黒いもの・鹹(しおからい)味に栄養されます。

ひじきは海藻であり、黒い食材なので、腎を養うのにもってこいの食材です。コンビニにも、小分けのパックが売っていますね。

簡単なサラダも、ひじきが乗っているものがあればよりおすすめです。

 

おわりに

腎精は僕たちの活動の大元にあたる生命力の源です。それだけあって、腎精の不足は多くの不調の原因になることがあります。浪費を抑え、補充しながら元気に過ごしていきましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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