ストレスによる過剰な食欲、東洋医学では【胃熱】という立派な病気です

胃熱イメージ 予防・未病治
東洋医学では食欲が旺盛で食べ過ぎてしまうことも胃の不調の一つと捉え、これを「胃熱」と言います。胃の熱が高まることで、食欲が過剰になり、満腹感があっても食べてしまうこともあります。また、熱により口臭や逆流性食道炎のような症状も起こります。味の濃いものや刺激物を避け、消化に優しいものを食べるようにする他、冷たいものの飲みすぎにも注意が必要です。
胃熱を改善する経穴(ツボ)として、「中脘」、「内庭」、「三陰交」をご紹介します。

 

食欲不振や消化不良というと、病気や体調不良と考えることが多いと思います。

では反対に、食欲が旺盛すぎたり、常に飢餓感がありお腹が空いている状態、「お腹が空きすぎてどうしようもない」、そんな場合は体調不良だと捉えますか?

東洋医学ではこうした食欲の過剰を「胃熱(いねつ)」と捉え、食欲が旺盛でも不振でも、それぞれ不調と捉えて治療します。今回は【食欲の過剰・異常な食欲】に対する東洋医学の考え方と、治療についてまとめてみます。

スポンサーリンク

食欲の過剰は、東洋医学では胃熱(いねつ)が原因

「どれくらいからが食べ過ぎなの?」といった食事の量については、人それぞれに基準があり、一概に基準を設けにくいと思います。

食べても満腹感がなく、すぐに食べたくなる=「胃熱」

1日3食、ある程度の普通量(定食くらい)の食事に加え、軽くオヤツを食べるくらいで満たされるくらいが正常とします。

それくらい食べても下記のように空腹を覚えると「胃熱」を疑うことがあります。

  • それでもお腹が空いて仕方ない(胃熱かも)
  • 食べても食べても満腹感がない(胃熱)
  • 何か食べていないと落ち着かない(深刻)

イメージとしては、下記の通りです。

  1. 胃に火がついて(食欲旺盛で)
  2. 何を入れても(食べても)
  3. すぐに燃えて(消化して)
  4. 次が欲しくなる(おかわり)

胃熱の困ったところは、満腹感を得られないものの、消化をつかさどる(脾)胃への負担は大きいこと、そこからの不調が出てくるところです。気持ちが悪いのに、お腹は空く、そんな矛盾した状態が胃熱の特徴です。

普通にお腹が空く分には問題ない

「最近ご飯を食べ過ぎてしまう」というだけで、すぐに胃熱という診断には結びつきません。適切な食事の間隔をあけ、運動やお仕事などをしていれば、ある程度お腹が空くのは当然です。

問題は、「食べても食べてもお腹が空く」、「食べているのに満たされない」ような場合です。そのような場合は、後述する胃熱によって起こる特徴があるかどうかを確認しましょう。

スポンサーリンク

「過剰な食欲」以外の胃熱の症状

胃熱の症状は、過剰な食欲以外にもあります。

まだその他の症状が出ていない人も、胃熱を放置していると下記のような症状に悩まされるかもしれません。

消化不良も併発する

食欲が旺盛でも、消化が追いついていない場合が多くあります。

  • 胸焼けのようなムカつき
  • 嘔吐感
  • のどのあたりのつかえ

食べ過ぎで感じるような症状が出ますが、それでも空腹感があるから食べてしまう、悪循環に陥ります。

口臭が強くなる

胃熱の状態では、強い口臭を伴います。体内の過剰な熱は、多くの場合ニオイを伴います。体臭や、排泄物の臭いも、体内の熱が原因です。

胃熱の場合、胃酸や唾液の濃度が濃くなっていることもあるため、そうした消化酵素の独特のニオイもあります。また、味の濃い物や刺激物を消化している場合、その食べ物のニオイがそのまま上がってくることもあります。

ゲップが増え、当然ニオイの強いゲップが出ます。

その他の胃熱の症状

胃熱は他にも熱性の症状を伴います。

  • のどの乾き
  • 冷たい物を飲食したくなる
  • 胸焼け
  • 舌や歯ぐきの炎症
  • 便秘

炎症、乾き、ニオイは基本的には熱の所見です。胃熱に伴う便秘の場合、オナラやようやく出てくる便のニオイも強くなります。

胃熱の原因と食欲旺盛になるまでの流れ

胃熱の原因は、大きいくくりでみると、下記の2点です。

  • 飲食の乱れ
  • 精神的なストレス

胃への物理的・心理的ストレスが続くことにより、胃熱の症状は現れます。それぞれ細かくみていきましょう。

食生活の乱れと胃熱

味の濃い物や香辛料、刺激のあるものばかり飲み食いすると、胃はそれを頑張って消化しようと働きを高めます。そうした食生活が続くと、胃は常に消化態勢で待ち受けるようになり、過剰な食欲につながります。

東洋医学的にみても、味の濃い物や刺激物は、温性・熱性の食材ばかりです。それらを食べすぎることで、胃に熱がこもってしまうと考えます。胃熱の人が、冷たい物を欲しがる(「冷飲を好む」と言います)のはこうした理由もあります。

精神的なストレスと胃熱

  • ストレスで胃がキリキリする
  • 気に入らないことがあって、やけ食いしてしまう

精神的なストレスと胃腸の関係は、耳にすることが多いでしょう。消化・吸収を行う臓腑である脾胃の働きも、気の働きによって成り立ちます。

ストレスやイライラによって肝の働きが低下してしまうと、気の巡りが悪くなり、脾胃の正常な働きも損なわれてしまいます。そんな状態にある脾や胃に、暴飲暴食・やけ食いをした食事が送り込まれてくると、脾胃の負担はより大きくなります。次第に熱を持つようになり、胃熱につながります。

スポンサーリンク

胃熱を改善する治療や養生

胃熱に効果的な経穴(ツボ)

実際に鍼灸治療で使うツボをご紹介します。背部以外のツボは、自分でも押圧・温灸ができる場所が多いので、試してみてください。

中脘(ちゅうかん)

中脘は胃に関する重要なツボです。足にある有名な「足三里(あしさんり)」のツボは、胃の働きを高め、お腹の「中脘」はお腹の働きを鎮める効果があると言われています(ラットでの実験)。

お腹に温灸刺激などを加え、胃の働きを落ち着かせましょう。お腹の、おへそとみぞおちの間くらいにあるツボです。

内庭(ないてい)

内庭は胃に属するツボで、胃の経絡の中でも、特に炎症のような症状に効果的なツボです。足の甲の、第2指と第3指の間、みずかきの部分にあります。

三陰交(さんいんこう)

三陰交は五臓の「脾(ひ)」に属するツボです。胃は脾と表裏関係にあり、脾のコントロールの元、胃の消化が行われます。脾の働きを高める三陰交は、他にも血を補い、流れを良くする働きがあります。

東洋医学で血は「陰」の性質を持ちます。熱症状や炎症は過剰な「陽」なので、「陰」を補い高めることで「陽」を抑える効果も期待できます。

内くるぶしの指4本分上にあり、スネの骨の内側、骨際にあるツボです。

胃熱に対する食生活

基本的な注意点

胃にかかる負担を減らす必要があります。食事後に空腹を感じても食べずに、次の食事までしっかり間隔をあけるようにしましょう。

また、胃熱の症状が強い時は、3食であればそれぞれの食事量を減らしても良いくらいです。結局、胃に物が入ればそれを消化するために胃は動き熱が生まれます。

胃の負担を単純に減らすことが第1ステップです。

質素な食事を心がける

胃熱の症状が強い間は、下記のような胃熱を亢進する食事を避けましょう。

  • 味の濃いもの
  • 辛いもの、甘いもの
  • 香辛料

胃に負担をかけると同時に、体内に熱を産む食材が多いです。

冷たいものを控える

「胃に熱があるんだから、冷やせば良いのでは?」と、単純にいかないのが厄介なところです。

胃の働きをコントロールする脾は、冷えに弱い臓器です。極端に冷たいものを摂りすぎれば、脾胃の働きは低下し、消化不良を起こします。消化不良が起きても、胃熱の食欲過剰は止まりません。かと言って、熱すぎる物も脾胃に負担はかかります。

「体温と同じくらいの温度」を基準にしてみてください。コンビニに売っている常温の飲み物も、体温より低い温度なので、体を冷やす恐れがあります。

胃熱を改善する食材

  • 涼性の食材
  • 胃腸に優しい食材

上記のような食材がオススメです。大根や、冬瓜などの瓜科の食材は体の余分な熱を冷まし、胃腸の働きを整えてくれます。

ほうれん草も、胃腸に優しい食材で、血を補う働きもあります。

おわりに

胃熱の特徴をまとめると、下記の通りです。

  • 過剰な食欲
  • ムカつき、消化不良
  • のどの乾き
  • 冷たいものを飲み食いしたくなる
  • 口臭
  • 便秘、臭いの強い便、オナラ

そんな胃熱の対策として、下記を参考ください。

  • ストレスを避ける
  • 暴飲暴食を避ける
  • 冷たいもの、味の濃いもの、甘いものを避ける

病院食が、薄味で味気ないと言われるのも、こうした脾胃への負担を減らすためですね。やっぱり、日々の生活の、少しの我慢や工夫の積み重ねですね。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

コメント