「経絡」と言われるものの一つである、【足の陽明胃経(ようめいいけい)】についてまとめます。
目次
- 1 足の陽明胃経の特徴
- 2 足の陽明胃経に所属する経穴(ツボ)一覧
- 2.1 承泣(しょうきゅう)
- 2.2 四白(しはく)
- 2.3 巨髎(こりょう)
- 2.4 地倉(ちそう)
- 2.5 大迎(だいげい)
- 2.6 頬車(きょうしゃ)
- 2.7 下関(げかん)
- 2.8 頭維(ずい)
- 2.9 人迎(じんげい)
- 2.10 水突(すいとつ)
- 2.11 気舎(きしゃ)
- 2.12 欠盆(けつぼん)
- 2.13 気戸(きこ)
- 2.14 庫房(こぼう)
- 2.15 屋翳(おくえい)
- 2.16 膺窓(ようそう)
- 2.17 乳中(にゅうちゅう)
- 2.18 乳根(にゅうこん)
- 2.19 不容(ふよう)
- 2.20 承満(しょうまん)
- 2.21 梁門(りょうもん)
- 2.22 関門(かんもん)
- 2.23 太乙(たいいつ)
- 2.24 滑肉門(かつにくもん)
- 2.25 天枢(てんすう)
- 2.26 外陵(がいりょう)
- 2.27 大巨(だいこ)
- 2.28 水道(すいどう)
- 2.29 帰来(きらい)
- 2.30 気衝(きしょう)
- 2.31 髀関(ひかん)
- 2.32 伏兎(ふくと)
- 2.33 陰市(いんし)
- 2.34 梁丘(りょうきゅう)
- 2.35 犢鼻(とくび)
- 2.36 足三里(あしさんり)
- 2.37 上巨虚(じょうこきょ)
- 2.38 条口(じょうこう)
- 2.39 下巨虚(げこきょ)
- 2.40 豊隆(ほうりゅう)
- 2.41 解渓(かいけい)
- 2.42 衝陽(しょうよう)
- 2.43 陥谷(かんこく)
- 2.44 内庭(ないてい)
- 2.45 厲兌(れいだ)
足の陽明胃経の特徴
流注概要
足の陽明胃経は、手の陽明大腸経の脈気を受けて鼻翼外方に起こり、鼻根部で足の太陽膀胱経と交わり、鼻の外側を下り、上歯に入り、かえり出て口をはさみ唇をめぐり、オトガイで交わる。戻って、顔面動脈拍動部[大迎]、下顎角、耳前から髪際をめぐり、額中央に至る。
[大迎]から分かれた支脈は、総頚動脈拍動部[人迎]、気管をめぐり、大鎖骨上窩に入り、横隔膜を貫いて、胃に属し、大腸を絡う。
本経は、大鎖骨上窩より、胸部では前正中線外方4寸を、腹部では前正中線外方2寸を下り、幽門部に起こり腹部を下る支脈と、鼠径部の大腿動脈拍動部[気衝]で合流し、大腿前外側、膝蓋骨、下腿前面を下って、足背から足の第2指外側端に終わる。
膝下3寸から分かれた支脈は、下腿前面を下り、足の第3指外側はじに出る。
足背で分かれた支脈は、足の第1指内側端に至り、足の太陰脾経につながる。
足の陽明胃経は、顔から足まで体を縦に伸びる長い経絡です。経絡の流注が長いということは、それだけ色々な器官に影響を与える経絡だとも言えます。
足の陽明胃経は正経十二経脈に属します。経脈は中焦(ちゅうしょう)という体の中心から起こり、五(六)臓六腑の正経十二経脈が体を循環するように連絡し合い、最後は再び中焦に戻ります。
経穴数
45穴。
英名
“Stomach Meridian”。
承泣のツボをST1とし、厲兌(ST45)まであります。
足の陽明胃経に所属する経穴(ツボ)一覧
胃経に所属する経穴(ツボ)と、その使用感(私個人の)についてまとめます。
承泣(しょうきゅう)
顔面部、眼球と眼窩下縁の間、瞳孔の直下。
美容鍼・美顔鍼や、眼精疲労に用いることがあるツボです。内出血のリスクも高いため、マッサージでも十分効果的です。
四白(しはく)
顔面部、眼窩下孔部。
巨髎(こりょう)
顔面部、瞳孔の直下、鼻翼下縁と同じ高さ。
地倉(ちそう)
顔面部、口角の外方4分。
大迎(だいげい)
顔面部、下顎角の前方、咬筋付着部の前方陥凹部、顔面動脈上。
頬車(きょうしゃ)
顔面部、下顎角の前上方1横指。
顎関節症などの治療に用いるツボです。
下関(げかん)
顔面部、頬骨弓の下縁中点と下顎切痕の間の陥凹部。
頬車と同様、顎関節症などの治療に用いるツボです。
頭維(ずい)
頭部、額角髪際の直上5分、前正中線の外方4寸5分。
人迎(じんげい)
前頸部、甲状軟骨上縁と同じ高さ、胸鎖乳突筋の前縁、総頸動脈上。
水突(すいとつ)
前頸部、輪状軟骨と同じ高さ、胸鎖乳突筋の前縁。
気舎(きしゃ)
前頸部、小鎖骨上窩で鎖骨胸骨端の上方、胸鎖乳突筋の胸骨頭と鎖骨頭の間の陥凹部。
欠盆(けつぼん)
前頸部、大鎖骨上窩、前正中線の外方4寸、鎖骨上方の陥凹部。
気戸(きこ)
前胸部、鎖骨下縁、前正中線の外方4寸。
庫房(こぼう)
前胸部、第1肋間、前正中線の外方4寸。
屋翳(おくえい)
前胸部、第2肋間、前正中線の外方4寸。
膺窓(ようそう)
前胸部、第3肋間、前正中線の外方4寸。
乳中(にゅうちゅう)
前胸部、第4肋間、前正中線の外方4寸。
乳根(にゅうこん)
前胸部、第5肋間、前正中線の外方4寸。
不容(ふよう)
上腹部、臍中央の上方6寸、前正中線の外方2寸。
承満(しょうまん)
上腹部、臍中央の上方5寸、前正中線の外方2寸。
梁門(りょうもん)
上腹部、臍中央の上方4寸、前正中線の外方2寸。
関門(かんもん)
上腹部、臍中央の上方3寸、前正中線の外方2寸。
太乙(たいいつ)
上腹部、臍中央の上方2寸、前正中線の外方2寸。
滑肉門(かつにくもん)
上腹部、臍中央の上方2寸、前正中線の外方2寸。
天枢(てんすう)
上腹部、臍中央の外方2寸。
天枢は腹部消化器の不調、特に便通に関わる不調に有効なツボです。
外陵(がいりょう)
下腹部、臍中央の下方1寸、前正中線の外方2寸。
大巨(だいこ)
下腹部、臍中央の下方2寸、前正中線の外方2寸。
水道(すいどう)
下腹部、臍中央の下方3寸、前正中線の外方2寸。
帰来(きらい)
下腹部、臍中央の下方4寸、前正中線の外方2寸。
帰来は婦人科疾患の特効穴と言われています。
気衝(きしょう)
鼡径部、恥骨結合上縁と同じ高さで、前正中線の外方2寸、大腿動脈拍動部。
髀関(ひかん)
大腿前面、3筋(大腿直筋と縫工筋と大腿筋膜張筋)の近位部の間の陥凹部。
伏兎(ふくと)
大腿前外側、膝蓋骨底外端と上前腸骨棘を結ぶ線上、膝蓋骨底の上方6寸。
陰市(いんし)
大腿前外側、大腿直筋腱の外側で膝蓋骨底の上方3寸。
梁丘(りょうきゅう)
大腿前外側、外側広筋と大腿直筋腱外縁の間、膝蓋骨底の上方2寸。
梁丘は急な胃の痛みや不調に効果がある他、膝の不調にも効果的です。
犢鼻(とくび)
膝前面、膝蓋靱帯外方の陥凹部。
足三里(あしさんり)
下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸。
松尾芭蕉が長旅の途中にお灸を据えていたことで有名なツボです。足の疲れをとるだけでなく、消化器を整え全身の気血に関わる重要なツボです。
上巨虚(じょうこきょ)
下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方6寸。
条口(じょうこう)
下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方8寸。
下巨虚(げこきょ)
下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方9寸。
豊隆(ほうりゅう)
下腿前外側、前脛骨筋の外縁、外果尖の上方8寸。
豊隆は体の水分代謝を高め、むくみなどを改善してくれるツボです。
解渓(かいけい)
足関節前面、足関節前面中央の陥凹部、長母指伸筋腱と長指伸筋腱の間。
衝陽(しょうよう)
足背、第2中足骨底と中間楔状骨の間、足背動脈拍動部。
陥谷(かんこく)
足背、第2・第3中足骨間、第2中足指節関節の近位陥凹部。
内庭(ないてい)
足背、第2・第3足指間、みずかきの近位、赤白肉際。
内庭は食あたりや胃炎などを治療するツボです。
厲兌(れいだ)
足の第2指、末節骨外側、爪甲角の近位外方1分、爪甲外側縁の垂線と爪甲基底部の水平線の交点。
参考:新版経絡経穴概論
鍼灸指圧治療院あたしんち
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