【委中】ぎっくり腰から慢性的な背腰痛を改善する経穴(ツボ)の紹介

委中ツボ 経穴(ツボ)

今回は、【委中(いちゅう)】というツボについて、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。

委中は背中・腰を治療する特効穴です。ぎっくり腰で動けなくなるような急性期の症状から、なかなか治らない慢性的な腰の重だるさまで、委中のツボが有効です。

腰は人体の要、姿勢や動きの中心になる部位なので、しっかりとケアをしていきましょう。

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委中(いちゅう)の位置や所属経絡

委中というツボの位置や、所属している経絡についてご紹介します。

委中の位置

膝後面、膝窩横紋の中点。

新版経絡経穴概論

委中は膝の裏にあるツボです。膝を曲げた時にできるシワの、ど真ん中にあります。

軽く触れると、膝窩動脈の拍動を感じることができます。

委中の所属経絡と特徴

委中は足の太陽膀胱経に所属するツボです。膀胱経は顔面部の目の内側から始まり、頭を巡って背中・腰から下半身の後面を通って足の小指に伸びる、とても長い経絡です。この長い経絡の途中に委中はあります。

  • 四総穴

体に作用するツボを四つに分類すると、合谷・列欠・足三里・委中があります。その中でも、委中は背腰に効くツボと考えられています。

  • 合谷:面目を治す
  • 列欠:頭項を治す
  • 足三里:肚腹を治す
  • 委中:背腰を治す
その昔、王様を鍼灸治療する際、衣服を脱がすことなく治療する必要がありました。そのため、衣服を脱がさずに刺激できて、かつ効果の高いツボが四総穴のような扱いになっています。(※諸説あり)
  • 後面全てに広がる

先述した通り、膀胱経は経絡の中でも最長で、頭、首、背中、腰、足と各パーツを網羅するように伸びます。

経絡は不思議なもので、1つのツボを刺激すると、その刺激はツボが所属する経絡に広がります。その途中で、所属する臓腑にも効果を与え、治療効果を発揮します。

委中への刺激は、そこから波紋が広がるように太ももの裏から腰や背中を上り、下はふくらはぎから足先まで緩めます。

  • 筋膜のつながりも

体には、「アナトミートレイン」や「筋(膜)連結」と表現される、筋膜や筋肉のつながりがあります。こうした連結は、骨と骨をつなぐように付着する筋肉や筋膜が、バランス良く張力を発揮することで動きが滑らかになることから着目されるようになりました。

いくつかある連結のうち、足底から下半身の裏側、背中から頭まで伸びる連結があります。

この筋膜の連結は膀胱経の流れととても似ています。委中への刺激は、筋膜の連結からみても効果的だとわかります。

ご紹介した後面に伸びる筋膜のつながりを、スーパーフィシャルバックライン(SBL:Superficial Back Line)と言います。
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委中の治療効果

委中を刺激して期待できる効果をまとめていきます。委中は膝裏にあるツボなので、自分でお灸をするのは少し難しいかもしれません。

押圧による刺激も、膝窩は動脈や神経に触れやすい構造なので、優しい圧から始めましょう。

背中・腰の不調に

委中はとにかく背中・腰の不調に用いる特効穴です。身動きがとれないほどのぎっくり腰から、日頃から感じる慢性的な腰痛まで対応するツボです。

腰の痛みがある人の多くは、委中に圧痛があります。また、委中だけでなく、下図中の赤丸部分がかたくなっていることがあります。

図中の赤丸部分は、委中よりも少し下内側、筋肉で言えば腓腹筋の内側頭にかたさがみられます。

このエリアは、大きな静脈やリンパ節があり、血流やリンパの流れが悪化しやすい場所でもあります。委中を刺激することで、そうした循環不全を改善でき、腰痛の改善につながるのかもしれません。

膝の痛みに

委中は当然のことながら、膝の治療にも有効なツボです。

委中のある膝窩部には、足底筋や膝窩筋があります。この他にも、大腿部や下腿部から膝窩で交差するように筋肉が伸びています。膝が伸び切らないような不調は、委中付近のかたさが一因であることが多いです。

急性期の上部の疾患・不調に

文献によっては、頭痛や脳血管障害など、頭頚部の不調にも委中が効果的との記載があります。委中の所属する膀胱経の流れや、筋膜の連結からみて大間違いではないとは言え、僕はそれらの治療であれば他のツボで対応します。

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委中とあわせて刺激したいツボ

背中・腰の痛みを改善する委中と、一緒に刺激をすると効果的なツボをご紹介します。

腰痛点(ようつうてん)

手背、第2・第3および第4・第5中手骨底間の陥凹部の2点に取る。

新版経絡経穴概論

腰痛点は手の甲、示指と中指の付け根、薬指と小指の付け根の2点に取るツボです。

  • 腰痛のための奇穴

腰痛点は正経(経絡として認められているもの)には含まれないツボです。腰痛点のように所属する経絡がなく、それでも固有の疾病を治療することができるツボを「奇穴(きけつ)」と言います。

正経:肝・心・脾・肺・腎・心包、胆・小腸・胃・大腸・膀胱・任脈・督脈の14経絡。

正経に属するツボは、治療をする際に下記のような流れが一般的です。

  1. 正経のツボ刺激
  2. ツボが所属する臓腑が反応
  3. 治癒反応

一方、奇穴においては臓腑に働きかけるものもありますが、より直接的に治癒反応を起こすイメージがあります。

  1. 奇穴のツボ刺激
  2. 治癒反応

まさに、「症状を治すためのツボ」だと言えます。経絡や臓腑を通じて治療する委中のツボと、腰の治療のための経験穴である腰痛点のツボを組み合わせることで、効果をより高めることができます。

 

おわりに

今回は背中・腰の特効穴、委中についてまとめてみました。「なんでこんな時に」というタイミングで起こるぎっくり腰には、委中やあわせて紹介した腰痛点を刺激してみてください。もちろんその場合は、あくまで応急処置ですので、しかるべき場所(整形外科、徒手療法など)にいくようにしてください。

慢性的な背中・腰のはりにも効果的ですので、日々のセルフケアにも有効です。

 

大丈夫、大丈夫。

鍼灸指圧治療院あたしんち

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