症状から五臓の心の不調を知り、完治・根治を目指す東洋医学の考え方

心2イメージ 五臓六腑

私たちの体を構成する、五臓六腑の一つである心について、基本的な働きや養生をまとめました。

今回はその働きの続編として、実際に体に起こる症状を踏まえ、その時に五臓の心がどのように調子が悪くなっているかを確認していきます。

心の働きが悪くなると起こる症状として、下記の症状があります。

  • 動悸が起こりやすい
  • 動揺しやすい
  • 寝汗をかく
  • 物忘れが多い
  • 不眠傾向にある
  • 夢をよく見る

これらの症状が、五臓の心とどのように関係し、起こっているのかを確認していきます。

 

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動悸・不整脈・心悸などの循環器の不調

動悸や不整脈などのいわゆる心臓のトラブルは、東洋医学的にも五臓の心の問題です。心疾患となると、なかなかツボでどうこう、養生でどうこうという考えも不安になると思います。

お医者さんと相談の上、食生活や運動習慣などに気をつけて対応しましょう。ツボや養生はその上で取り入れてみてください。

動悸・不整脈は心気虚がベースにある

東洋医学的には、心の気が不足する「心気虚」をベースに、動悸や不整脈などの不調が表れると考えます。

気には物質を動かしたり、押し流す「推動(すいどう)」という働きがあります。五臓の心の気が不足していると、推動の働きが低下し、心のポンプ作用が弱まってしまいます。

過労や加齢により、気が足りない状態が続くと発症のリスクは高まります。

▶︎気の種類やそれぞれの働きについてまとめた記事へ

心の火がおさまらず起こる寝汗・不眠・多夢などの睡眠障害

  • 睡眠時にぐっしょりと汗をかく。
  • 不眠症などの睡眠障害がある。
  • 寝ることはできるけど夢を多くみる。

これらの睡眠時の問題は、心の過剰な働きによって起こります。

睡眠障害は過剰な心の陽が原因

心には、体を温める「温煦(おんく)」の働きと、血を送り出す「推動」の働きがあります。

こうした働きは、陰陽でいうと陽に属し、心は特に陽の力の強い臓器です。夜、眠る時にはこうした陽の働きが鎮まり、陰の働きが高まります。しかし、心の働きが乱れてしまうと、夜になっても陽を鎮めることができません。

睡眠と心を自律神経で考えると、活動的な交感神経が優位になっている状態が近い印象です。本来はリラックスし、睡眠に方向付ける副交感神経(陰の力)より、交感神経(陽の力)が勝ってしまうため、うまく睡眠がとれません。

他の臓腑とバランスを取り合い、陰陽を調整している

睡眠障害は、陰陽のバランスで起こることが多いため、他の臓腑の働きも大切です。

特に五臓の腎は、陰の代表である精を溜め込む臓器です。そのため、腎の働きの低下、精の消耗でも睡眠障害は起こります。更年期障害に特徴的な熱性の症状や、加齢によって起こる不眠などは、腎の働きを取り戻すような治療も必要になります。

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動揺・物忘れなど、精神活動の問題と心

五臓の心は心臓のポンプとしての働き以外にも、「こころ」に近い働きがあると東洋医学では考えます。「少しのことで動揺する」、「物忘れが多い」などは心の不調が表れるサインと捉えます。

心はそれぞれの感情や意識レベルを統括しています。例えば「動揺」でいうと、「肝(きも)がすわる」というくらいなので肝胆の臓腑が関わります。物忘れは脳の問題で、これは髄(海)なので五臓の腎が関わります。

こうした精神活動を取りまとめているのが心であるため、各臓腑の働きとともに、心の働きの確認も必要になります。

 

顔色が蒼白い人は心の働きの改善と血の補充を

「顔面蒼白」とか「血の気が引けたような顔」も、多くの場合心が関わります。心の働きを外から確認できる「五華(ごか)」も、顔面です。

顔には多くの血管が走っています。そのため、循環が良ければ顔色は良くなるはずです。しかし、心の働きが弱いと、顔に血をうまく送り込むことができません。重力に逆らって血を送る心の力の強弱、と捉えると、前項の精神活動と心の問題も同様に考えられます

 

心の東洋医学的な治療・養生を確認

心臓としてのポンプの働きと、「こころ」としての働きをつかさどる心の治療や養生を確認します。

心は熱に弱い臓器

心は暑さ、熱に弱い臓器です。そのため、夏の暑い時期には特に注意が必要です。

心には体を温める「温煦」の働きが元々あるため、それ以上の熱を持つことを嫌います。また、心が熱を持つと、ポンプとして送られる血も熱をもち、粘りを持つようになります。

「血液ドロドロ」といわれる状態が良くないのは、西洋医学でも東洋医学でも同じです。

相生・相克関係の確認

  • 肝:心の働きをサポートしてくれる(相生関係)臓器
  • 腎:心の働きを抑制する(相克関係)臓器

上記の関係を踏まえると、心の働きを整えるためには、肝と腎の働きを整えることが重要です。

肝は全身の血流を決定し、心に指令を出す

心はあくまで血を送るポンプの役割で、血流の量を決定しているのは五臓の肝です。そのため、肝の働きが乱れると、ポンプ役の心は「どれくらい、どこに血を送るのか」ということがわからなくなります。

また、肝にためこまれている血の量が少なくても、心の負担は大きくなります。養生の際は心への負担を減らすだけでなく、肝の働きも見直すことが大切です。

腎の陰は心の陽を鎮める

睡眠障害の項目でも触れましたが、心は陽の力の強い臓器です。そのため、心の働きばかり高い状態でいると、体の中の陰陽のバランスが崩れます。熱、ほてり、乾き、過活動などの陽性の不調が現れます。

そうした陽の力を、相克関係にある腎の陰が抑制しています。

もし加齢によって起こる更年期障害の症状や不眠症などがある場合、加齢によって腎精(生命力の源)が枯渇していき、陽が強まっていると考えます。

心を養う五味は苦味

五味の中でも苦味が心を栄養するとされています。苦味には、陰を補って熱をとる(清熱)働きがあります。

苦味の食材として、フキ、春菊、筍、ゴーヤなどがあります。ゴーヤは特に、夏に旬を迎え、熱をとる代表的な食材です。

心の調子を整えるツボ(経穴)

私たち鍼灸師が実際に使うツボをご紹介します。ツボへの刺激は、簡単なもので大丈夫です。

内関(ないかん)

内関は循環器の調整や降圧作用があり、自律神経にも効果的なツボです。手のひらの側の、手首のシワから指3本分肘に向かったところにあります。指を握ると浮かぶ2本の筋の間にあります。

おわりに

実際にこうした症状を踏まえ、東洋医学では「証(しょう)」を立て、それに合った治療を行います。

▶︎東洋医学における五臓の心の病証と症状、その治法のまとめ

治療はあくまで鍼灸治療や漢方がありますが、こうした症状を知り、日々の生活を心がけることが第一です。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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