今回は、女性の更年期障害によって起こる、ホットフラッシュやほてりに効果的なツボについてまとめます。
更年期に入り、顔がのぼせるようにあつくなったり、ほてったり、大量の発汗があったり、そうしたホットフラッシュに悩まされる人が多くいます。東洋医学的に考えると、加齢によって熱を抑える「陰」の力が減少するため、こうしたホットフラッシュの症状が起こります。
体の熱を冷まし、「陰」の力を補うようなツボを刺激して、ホットフラッシュの症状を緩和しましょう。
目次
ホットフラッシュやほてりに効果的なツボ
ホットフラッシュ、のぼせ、ほてりに対する考え方として、下記の点があります。
- 起こってしまっている熱を抑える。
- 体を冷ます・鎮める「陰」の力を補う。
加齢によって体の「陰」の力が弱まっていくと、「陰虚(いんきょ)」という体質になってしまいます。陰虚によって、体を冷ましたり、落ち着かせる力が減少し、相対的に「陽」の力が強まってしまいます。熱が盛んになり、活発になってしまうため、ホットフラッシュのような症状が起こってしまいます。
ツボを刺激することで、ホットフラッシュのような症状を緩和していきましょう。
熱を冷ます効果のあるツボ
ホットフラッシュ、のぼせ、ほてりのような症状は、まずは熱を抑えてあげる必要があります。五臓の中で特に熱を持ちやすい、心や肝のツボを刺激することで、熱を抑えましょう。
曲池(きょくち)
曲池は熱を冷ます効果の高いツボです。更年期障害によるホットフラッシュやのぼせ、ほてりだけでなく、風邪などによる発熱にも効果があります。
曲池は大腸に属するツボで、腸内環境を整えることで、全身の調子を改善する効果があります。
内関(ないかん)
内関は心をサポートする「心包(しんぽう)」という臓に属するツボです。内関には自律神経の働きを整える効果があります。
五臓の心は強い「陽」の力を持ち、心が起こす熱が血に乗って運ばれ、全身を温めています。加齢によって「陰」の力が弱まると、相対的に「陽」の力が高まり、熱性の症状が強く現れます。内関のツボはそうした強く出ている「陽」を抑える働きがあります。
太衝(たいしょう)
太衝は五臓の肝に属し、気血の巡りを整える働きがあります。肝も心と同様に、強い「陽」の力を持つ臓です。
更年期に入ると、生理が止まり全身の気血の巡りがそれまでと変わってしまいます。そうした変化に対応できず、ホットフラッシュやのぼせ、ほてりといった症状が現れます。太衝を刺激することで、気血の巡りを整え、そうした熱性の症状を緩和します。
「陰」を補うツボ
ホットフラッシュ、のぼせ、ほてりのような症状の根底には、加齢による陰虚があります。体を冷ましたり、鎮める働きが減少してしまうため、熱性の症状が現れます。
陰を補うようなツボとしては、主に五臓の腎のツボを刺激します。
太渓(たいけい)
太渓は五臓の腎に属するツボです。腎は「陰陽の根本」と言われ、「陰」なる力も、「陽」なる力も、腎をもとに生まれると考えられています。
加齢によって「陰」の力が減少していき、「陽」が相対的に高まることで、ホットフラッシュやのぼせ、ほてりといった症状が起こります。そのため、太渓を刺激して腎の働きを整え、「陰」の力を高めていきましょう。
腎兪(じんゆ)
腎兪は太渓と同様、五臓の腎に関わる重要なツボです。腎の状態がよく現れ、腎の治療にも効果が高いため、更年期障害が起こっている場合には欠かせないツボです。
太渓や腎兪のように、足腰を刺激することで、上にあがってしまった気血を下にさげることができます。ホットフラッシュやほてり、のぼせなどの症状は、気血が上へ上へとあがっている状態です。そうした気血の上への偏りを、太渓や腎兪のような腎に関係するツボを刺激して下におろしてあげましょう。
三陰交(さんいんこう)
三陰交は、肝・脾・腎の3つの経絡が交わるツボです。気血の巡りに関わる肝や、「陰」に関わる腎に同時に刺激を与えることができる、影響力の高いツボです。
三陰交は気血の生成から巡りまで広く改善し、腎にも効果的なため、婦人科疾患の特効穴と言われています。更年期に入り気血の状態が大きく変わるからこそ、そうした状態に適応できるよう、三陰交のツボを刺激しましょう。
おわりに
今回は、更年期障害の一つであるホットフラッシュやのぼせ、ほてりといった熱性の症状に効果的なツボを紹介しました。重要なのは、熱を抑えることと、「陰」の力を補うことです。五臓で言えば、心、肝、腎の働きをそれぞれ整えることで、ホットフラッシュのような症状を緩和することができます。
誰もが通る道かもしれませんが、症状の出方や強弱は人それぞれです。また、そうした症状にあわせて体の内面を整えることで、更年期障害の他の不調の緩和にもつながります。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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