その他の部位に起こる頭痛もあわせてご紹介しています。頭痛は慢性化すると毎日のストレスになります。しっかりと痛みにあわせたケアを心がけましょう。
鍼灸治療をしていると、肩こりや腰痛のような運動器の痛み以外にも、内科・外科どちらとも捉えられる疾患の治療をすることがあります。
今回は、【頭痛】に対する、東洋医学的な考え方についてご紹介します。
- 痛み出すと何も手につかない
- 痛み止めに頼りたくない
- そもそも痛み止めが効かない
そんな皆さんは、辛い症状を一から見直してみましょう。東洋医学では、頭痛の出る場所によって原因や治療法が異なると考えます。
- おでこ:胃腸の不調や目の緊張
- 後頭部:背中、腰や足の緊張
- 側頭部:ストレスによる噛み締めや歯ぎしり
ざっとまとめると、上記のような症状と原因の関係性があります。
それぞれ細かくみていきましょう。詳細は、それぞれの頭痛ごとのページもご参照ください。
目次
東洋医学的な頭痛の考え方
東洋医学では、頭痛を起こる部位によって分類し、治療もそれぞれ異なります。
- 前頭部
- 後頭部
- 側頭部
- その他
一般的には、「どこに起こっても頭が痛ければ頭痛」だと思います。しかし頭痛の再発を防ぎ、完治を目指すなら、やはり細かくみていく必要があります。
私たち鍼灸師は、頭痛がある患者さんには必ず、「頭のどこが痛いですか?」と確認するほど。
それぞれみていきましょう。
おでこ(前頭部)に起こる頭痛のガイドライン
おでこ(前頭部)頭痛のみの記事も作成しました。内容をざっくりとまとめると、下記のようになります。
おでこ頭痛の原因
- 目の酷使による眼精疲労からくるおでこ頭痛
おでこには前頭筋という筋肉があり、目の周りには「眼輪筋」、「鼻根筋」、眉毛を下制する筋肉などがあります。さらに深部には「皺眉筋(しゅうびきん)」という具合に、目を凝らして物を見る時に働く筋肉が多くあります。目の奥が痛み、それがおでこに広がって起こる頭痛も、こうした原因で起こります。
- おでこ頭痛持ちで、胃腸の弱い人も要注意
東洋医学的に考えると、こうした消化器の不調とおでこの頭痛は無関係ではありません。かえって頭やおでこを施術するより、消化器の働きを整えるような治療や、食習慣を見直してもらうことで、頭痛が改善します。
東洋医学では、おでこ頭痛=陽明頭痛
東洋医学において頭痛を分類して考える時に、おでこ(前頭部)に起こる頭痛を「陽明頭痛(ようめいずつう)」と言います。これは、主に足の陽明胃経の経絡がおでこや髪の生え際に伸びている点や、顔面部の不調に効果的な「合谷(ごうこく)」のツボが手の陽明大腸経に所属する点などからきていると考えられます。
おでこ頭痛改善の経穴(ツボ)
- 【局所】顔にあるツボ
印堂(いんどう)、攅竹(さんちく)、魚腰(ぎょよう)のツボをご紹介しています。
- 【筋肉のつながり】後頭部にあるツボ
天柱(てんちゅう)のツボをご紹介しています。
- 【陽明経】手足にあるツボ
合谷(ごうこく)、足三里(あしさんり)のツボをご紹介しています。
後頭部に起こる頭痛のガイドライン
後頭部の頭痛のみの記事も作成してあります。内容をざっくりとまとめると、下記のようになります。
後頭部頭痛の原因
- 背中から腰にかけての筋肉の緊張
筋肉・筋膜の連結からも、下半身の後面や背中・腰のコリが後頭部のコリにつながることがあります。「普段から背中や腰のコリを感じていて、時々後頭部の頭痛が起こる」という人は、背中や腰周りからコリや緊張をほぐすことで後頭部頭痛の予防につながります。
- ストレートネックなど姿勢の崩れ
本来は湾曲のある首の骨(頚椎)がストレートになってしまい、頭を支える筋肉のバランスが崩れてしまいます。特に下向きになり、頭を前に倒す時間が長いと、頭を支える後頭部の筋肉の緊張が続いてしまいます。こうした筋肉のコリが、後頭部の頭痛につながります。
東洋医学では、後頭部頭痛=太陽頭痛
東洋医学において頭痛を分類して考える時に、後頭部に起こる頭痛を「太陽頭痛(たいようずつう)」と言います。これは、主に足の太陽膀胱経の経絡が首の後ろから後頭部を通るように伸びている点などからきていると考えられます。
後頭部頭痛改善の経穴(ツボ)
- 【局所】後頭部にあるツボ
風池(ふうち)というツボをご紹介しています。
- 【太陽経】手足にあるツボ
委中(いちゅう)、次髎(じりょう)というツボをご紹介しています。
- 【四総穴】頭項の特効穴
列欠(れっけつ)というツボをご紹介しています。
こめかみ(側頭部)に起こる頭痛のガイドライン
こめかみ(側頭部)の頭痛のみの記事もあります。内容をざっくりとまとめると、下記のようになります。
こめかみ(側頭部)頭痛の原因
- 顎周りの不調の確認
側頭部には、顎関節を動かす(口を閉じる)ための側頭筋などの筋肉があります。そのため、噛み合わせの問題や、片方で噛む癖、顎関節症などの顎周りの不調は側頭筋の緊張を生み、こめかみの頭痛につながります。
- 首・肩のコリからくる
背中から肩・首にかけて広がる僧帽筋や、頚部の半棘筋のトリガーポイントを用い、首や肩の筋肉のコリと側頭部の痛みについて解説しています。
東洋医学では、こめかみ頭痛=少陽頭痛
東洋医学において頭痛を分類して考える時に、こめかみ(側頭部)に起こる頭痛を「少陽頭痛(しょうようずつう)」と言います。これは、主に足の少陽胆経の経絡が側頭部を巡るように伸びている点と、同様に手の少陽三焦経の経絡も耳の周りを通過する点などからきていると考えられます。
こめかみ頭痛改善の経穴(ツボ)
- 【局所】こめかみのツボ
太陽(たいよう)というツボをご紹介しています。
- 【少陽経】手足にあるツボ
外関(がいかん)、陽陵泉(ようりょうせん)というツボをご紹介しています。
- 【コリからほぐす】肩にあるツボ
肩井(けんせい)というツボをご紹介しています。
その他の頭痛
東洋医学では、
- おでこ
- こめかみ
- 後頭部
以外にも、頭痛を分類して考えることがあります。その他の頭痛に関しては、まとめて治療に使えるツボをご紹介します。
頭頂部の頭痛-厥陰頭痛
頭頂部の頭痛を、「厥陰頭痛」と言います。
厥陰頭痛には、
- 厥陰肝経
- 厥陰心包経
が関係してきます。こちらもストレスや緊張で発症する頭痛です。
締め付けるような頭痛-太陰頭痛
鉢をかぶったように、頭を外から締め付けられるように、痛む頭痛を、太陰頭痛と言います。
太陰頭痛には、
- 太陰脾経
- 太陰肺経
が関係してきます。締め付けるような頭痛というと表現が難しいですね。
太陰頭痛の方の多くは、頭部のむくみを伴うことがあります。自分で触ってみて、頭部がぶよぶよする場合、むくみへの処置で頭痛が改善することがあります。
突き上げるような頭痛-少陰頭痛
頭を中から突き上げられるような頭痛を、少陰頭痛と言います。
少陰頭痛には、
- 少陰腎経
- 少陰心経
が関係してきます。少陰頭痛も、表現してしまうと当てはまるかどうか難しい頭痛の種類です。
少陰頭痛の多くは過労によるものです。睡眠をしっかりととり、体を休める時間を確保しましょう。
厥陰頭痛、太陰頭痛、少陰頭痛を治療するツボ
まとめてでざっくりになってしまいますが、治療に効果的なツボをご紹介します。
三陰交(さんいんこう)
三陰交はその名の通り、「三つの陰が交わる」ツボです。足から始まる厥陰、太陰、少陰の三つの陰の経絡が三陰交を通過するため、三陰が絡む不調に効果があります。
内くるぶしの指4本分上、スネの骨の内側、骨際にあるツボです。
「上病下治」の考え方で頭痛を治療する
「上病下治」とは、体の上部に起こる症状を下部にあるツボで治療する方法です。特に頭痛の場合、頭部の気血の巡りが悪い状態です。
「意識を下の方にそらす」というと、ごまかしているみたいですが、イメージとしてはそんな感じです。上が気になるなら、下を刺激してみる。シンプルですが、効果的な方法です。
インターネットサイト「頭痛ーる」ご紹介
気圧と頭痛の関係から、気圧の変化をわかりやすく紹介してくれるサイトがあります。
上記サイトから、スマートフォンアプリもダウンロードできます。
気圧の変化で頭痛が出る人は、「頭痛ーる」で日々の気圧の確認をしてみましょう。
まとめ
頭痛に関して、簡単なセルフケアをご紹介しました。
特に多い頭痛の部位として、
- おでこ-足三里
- 後頭部-委中
- こめかみ-陽陵泉
だけでもセルフケアには充分です。そして大切なのは、「上病下治」の考えです。
気血のめぐりは、全身バランスよく流れるのが理想です。頭痛の場合、上部で気血が滞っていることが多いため、下に血をおろしてやるような治療が効果的ですね。
頭痛は毎日の悩みと嘆かれる人が多くいます。少しでもサポートになればと思います。
大丈夫、大丈夫。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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