鼻で吸って、鼻で吐く。鼻腔、副鼻腔の構造からみる鼻呼吸。

鼻呼吸イメージ 予防・未病治
構造的な分類では、口は消化器に属し、鼻が呼吸器に属します。鼻で吸って鼻で吐く鼻呼吸をすることで、肺に届く空気が加湿・清浄されます。口呼吸によって口腔内が乾燥すると、歯周病菌の増殖により虫歯が増え、のどのリンパに菌やウイルスが届いてしまい、風邪をひきやすくなってしまいます。鼻の構造を確認しつつ、鼻呼吸を取り入れましょう。

 

皆さんは、呼吸をどれほど意識して行っていますか?

呼吸の深さや、腹式呼吸と胸式呼吸、鼻呼吸と口呼吸、いわゆる健康論争が色々とあり、どのように呼吸するのがベストなのかいまだにはっきりとしません。

今回は、日常の意識ですぐに取り入れられる養生の基本、【鼻呼吸】について、西洋医学・東洋医学どちらの視点も織り交ぜてまとめてみます。私は患者さんに説明する時は、「鼻で吸って、鼻で吐く」呼吸を意識していただいています。

今やテレビや雑誌でも、鼻呼吸をすすめる風潮にあり、「口呼吸でオッケー」と述べる専門家は見当たりません。ヨガのように、独特の呼吸法がある場合も、基本的には、「鼻から吸って…」というところは変わらない印象です。

では、なぜ口から吸うより、鼻から吸う方が良いのでしょうか。そのあたりを、確認していきましょう。

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口は呼吸器ではなく消化器に分類される

まず、口は体の構造の分類上、呼吸器に分類されません。東洋医学的にも、口は消化器の一部とされ、消化吸収のとりまとめである「脾」という臓器が口につながります。

一方、呼吸をつかさどる肺は、鼻に通じて外とつながります。

私たちは母体から出てきて初めて呼吸を始めます。おっぱいを飲みながら呼吸ができるのも、鼻呼吸が前提にあります。

本来は、そのまま成長していき、「口は食事、鼻は呼吸」のままいきたいところです。ところがそれがうまくいかず、口呼吸に切り替わってしまう人が多くいます。

口の構造を確認しつつ、口呼吸によって引き起こされる弊害などをみていきましょう。

口内は乾燥に弱い

これは大前提です。口の中を潤わせている唾液は、平均で1日1リットル〜1.5リットル分泌されるそうです。乾燥に弱い歯やリンパなどの構造は、唾液によって守られています。

そもそも「口の中はバイキンだらけ」という話を聞いたことがありませんか?

口の中には、消化などを助ける良い菌もいれば、歯周病や他の病気の元になる菌も混在しています。そうした菌は、乾燥すると活発になり、私たちの体を傷つけるようになります

口呼吸をすれば、それだけ風が通り、乾燥を招きます。

歯の乾燥は虫歯を生む

歯はとても乾燥に弱い構造です。口内の虫歯菌などが、乾燥することで活発になり、歯を蝕んでいくと言われます。

唾液には歯を潤し、再生を促す役割もあります。歯の面から考えても、口呼吸は唾液を乾燥させてしまう悪習慣です。

口(のど)のリンパがさらされる

のどの奥には、リンパ組織が集まっています。そのため、風邪をひいたときなど、リンパが腫れたりします。口呼吸をすると、このリンパ組織に、ダイレクトに外気が届いてしまいます。

菌やウィルス、粉塵などの混じった外気がダイレクトに届けば、リンパ組織への負担は高まります。一方、鼻呼吸をすれば、鼻腔、副鼻腔のフィルターを通した空気がリンパに届き、ダメージは少なく済みます。

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呼吸に適している鼻の構造

鼻は鼻腔と副鼻腔からなり、それぞれの部位で空気が適度に加湿・加温されています。

鼻腔

解剖学的には、鼻の穴の膨らみを鼻前庭、そこから先を後鼻孔と呼びます。

鼻前庭(びぜんてい)

鼻前庭には、鼻毛、汗腺、脂腺があり、鼻から吸う空気を清浄する第一段階と言えます。

後鼻孔(こうびこう)

後鼻孔は、鼻粘膜に覆われ、鼻腺によって潤いが保たれます。ここで吸い込んだ外気をさらに浄化・加湿します。

副鼻腔

「副鼻腔炎(蓄膿症)」で知られる、副鼻腔です。

少し構造をご紹介します。

鼻腔を囲むように形成する4つの骨(上顎骨、篩骨、前頭骨、蝶形骨)を含気骨(がんきこつ)と呼び、中に空気が通る空洞になっています。ここを、「副鼻腔」と呼んでいます。

この副鼻腔も鼻粘膜に覆われているため、吸い込んだ空気を加湿する働きがあります。

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「鼻で吸って」「鼻で吐く」鼻呼吸のすすめ

口より鼻で呼吸した方が良い、とまとめてきましたが、次は「鼻から吸って、口から吐く」のと、「鼻から吸って、鼻から吐く」の、どちらが良いかを考えていきましょう。

鼻から吸って、口から吐く場合

鼻から吸って、口から吐く場合、鼻と口で呼吸を行うことになります。

呼吸(吐く息)が口を通るだけなので、鼻で吸気(吸う息)している間に口内は潤いますので、乾燥の問題は大丈夫そう。

では、心配な点はどこか、考えてみます。

鼻腔・副鼻腔が乾燥してしまう

鼻粘膜に覆われる鼻腔・副鼻腔ですが、乾燥の強い時に、外の乾燥した空気がたくさん入ってくれば、当然乾燥します。

(画像:「マンガでわかる 人体のしくみ 」)

画像内の緑線が吸気の流れだと、外の乾燥した空気のみが、一方向からずっと当たることになります。この乾燥した空気の連続流入が、鼻粘膜の保湿を上回ってしまうと、鼻腔は乾燥してしまいます。

口内と同様に、やはり乾燥すると菌は繁殖してしまいます。

「鼻で吸って」「鼻で吐く」メリット

では、鼻で吸って、鼻で吐く、完全な鼻呼吸の長所を確認します。

(画像:「マンガでわかる 人体のしくみ 」)

  • 鼻で吸うため、肺に届く空気は加温・加湿される(画像の緑線)
  • 鼻で吐くため、体内から加温・加湿された空気が鼻腔・副鼻腔を通る(画像の青線)

鼻腔・副鼻腔の加温・加湿の観点から言えば、ただ外の空気を吸うだけより、中からの空気を通してあげた方が、良いと言えます。

東洋医学の「不通則痛」をあてはめてみる

あえて東洋医学的な観点から見れば、

  • 「不通則痛」:(鼻を)通さないと痛くなる。

少し無理はあるかもしれませんが、このような感じで捉えられます。

東洋医学的に見ても、肺(気管支なども含む)は乾燥に弱い臓器です。それでも避けては通れない呼吸だからこそ、負担なくできるといいですね。

 

おわりに

  • 鼻呼吸を意識してみよう
  • 鼻で吸い、鼻で吐く
  • 口は閉じたまま

私も慣れるまでは、鼻呼吸テープを口に貼り、無理やり鼻呼吸をしていました。

それでも鼻水が過剰に出たり、少し副鼻腔炎らしき重痛がでましたが…1,2ヶ月で完全鼻呼吸に移行できました。

今は年中なんらかの花粉が飛んでいて、鼻の症状に悩まされる方が多いです。

「鼻呼吸は、鼻の筋トレ!」

そう考えて、少しチャレンジしてみてください。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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