【肝兪・心兪・脾兪・肺兪・腎兪】五臓の背部兪穴の位置や治療効果のまとめ

背部兪穴の詳細 選穴・配穴
鍼灸治療の際に重視する経穴(ツボ)に、五臓の状態が現れる背部兪穴があります。五臓六腑の働きによって全身の調子が整うと考える東洋医学において、五臓のコントロールは不可欠です。大きなくくりで考えると、肝が自律神経、心が循環器、脾が消化器、肺が呼吸器、腎が泌尿・生殖器をつかさどります。五臓の働きをより効果的に整える上で、背部兪穴に加え原穴を刺激する兪原配穴もあわせてご紹介します。

 

今回は、【五臓の背部兪穴(はいぶゆけつ)】について、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。

臓腑の状態が特に現れやすいツボのうち、体幹部にあるものを「背部兪穴」と言います。この記事では特に、五臓(肝・心・脾・肺・腎)の背部兪穴である、【肝兪・心兪・脾兪・肺兪・腎兪】についてご紹介していきます。

背部兪穴は直接的に五臓に働きかけることができるツボです。また、背部兪穴と組み合わせて用いることでより効果が高まるツボもあわせて確認していきます。

六腑の治療に効果的なツボの組み合わせをまとめた記事もありますので、ご覧ください。

スポンサーリンク

背部兪穴の位置や特徴

背部兪穴の位置や、所属する経絡について確認していきます。

背部兪穴の位置

背部兪穴は、背中の脊柱起立筋上を縦に肺、心、肝、脾、腎の順に左右に並んでいます。

経穴の詳細の位置は、私たちが授業で使用した『新版経絡経穴概論』より引用しています。また、見やすさを含め、上から順にご紹介します。

  • 肺兪(はいゆ)

上背部、第3胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分。

肺兪は五臓の背部兪穴では一番上にあります。第3胸椎は、肩甲骨の肩甲棘(けんこうきょく)という骨構造と同じ高さです。

  • 心兪(しんゆ)

上背部、第5胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分。

心兪は肺兪の少し下、肩甲骨の真ん中あたりと同じ高さにあります。

  • 肝兪(かんゆ)

上背部、第9胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分。

肝兪は背中と腰の間あたりにあります。肩甲骨の下端(下角)の少し下にあります。

  • 脾兪(ひゆ)

上背部、第11胸椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分。

脾兪も背中と腰の間にあり、肝兪の少し下にあります。

  • 腎兪(じんゆ)

腰部、第2腰椎棘突起下縁と同じ高さ、後正中線の外方1寸5分。

腎兪は腰の、ウェストのくびれくらいの高さにあります。

背部兪穴の所属経絡と特徴

背部兪穴は「臓腑の気が注ぐところ」と考えられ、特に五臓の治療に用いることが多いです。五臓六腑にそれぞれ1つずつあり、すべて足の太陽膀胱経にあります。

スポンサーリンク

背部兪穴の治療効果

背部兪穴の特徴として、下記の2点が挙げられます。

  • 臓腑の診察点
  • 臓腑の治療点

背部兪穴は、特に五臓六腑の診察点にもなり、治療点にもなります。

背部兪穴は全て背中にあるため、自分で刺激するのは難しいです。ご家族の手を借りることができれば、温灸での刺激をオススメします。

肝兪-自律神経の調整も

肝兪は肝の働きを整えるため、目や筋にも効果があります。また、気の巡りを改善し、自律神経を整える働きもあります。

心兪-循環器の不調に

心疾患には心兪を用います(まずは病院へ)。鍼灸治療では、精神を落ち着かせる目的で使用することが多いツボです。

脾兪-消化器の不調に

脾兪は腹部消化器の不調を改善します。腹痛や下痢・便秘など、胃から大腸まで広範囲の調子を高めるために刺激することの多いツボです。

肺兪-呼吸器の不調に

肺兪は風邪や花粉症などの呼吸器の調子を取り戻すツボです。東洋医学では、鼻やのど、気管など、呼吸に関わる全てをまとめて肺とみなします。肺兪のツボは、そうした呼吸に関わる全ての部位に効果があります。

腎兪-泌尿・生殖器の不調に

腎兪は泌尿器、生殖器疾患、特に婦人科疾患に常用するツボです。腰や背中をしゃんとする効果も期待できます。

スポンサーリンク

「兪原配穴」-背部兪穴と原穴の組み合わせ

鍼灸治療をする際、狙いをもって1つのツボを刺激することもありますが、いくつかのツボを組み合わせることもあります。ツボを組み合わせて刺激をすることで、臓腑の働きはより効果的に高まり、その1つに「兪原配穴(ゆげんはいけつ)」があります。

兪原配穴は特に五臓の働きを回復し、高めてくれる組み合わせです。

肝の不調に、肝兪・太衝

肝の不調によって起こる気の巡りの悪化や、血の問題、情緒の乱れなどに対するツボの組み合わせです。

背中の肝兪に加え、足の甲にある「太衝」のツボを刺激すると効果的です。

心の不調に、心兪・神門

循環器の不調や精神活動の乱れ、不眠症など心の不調に対するツボの組み合わせです。

  • 背部兪穴:心兪
  • 心の原穴:神門(しんもん)

背中の心兪に加え、手首にある「神門」のツボを刺激すると効果的です。

脾の不調に、脾兪・太白

胃腸など消化器の不調や、むくみなど、脾の不調に対するツボの組み合わせです。

  • 背部兪穴:脾兪
  • 脾の原穴:太白(たいはく)

背中の脾兪に加え、足部にある太白を刺激すると効果的です。

肺の不調に、肺兪・太淵

風邪や喘息など、肺の不調を改善するツボの組み合わせです。

肺兪にあわせて、手首にある太淵も刺激するとより効果的です。

腎の不調に、腎兪・太渓

冷え性や、膝・腰の痛みなど、腎の働きの低下に対するツボの組み合わせです。

背中にある腎兪にあわせて、足首の太渓をあわせて刺激するとより効果的です。

 

おわりに

「背部兪穴」というツボの特性について、特に五臓の背部兪穴を用いてまとめてみました。

背部兪穴は全て膀胱の経絡に属しますが、五臓それぞれの近くに位置し、五臓の状態を表す特徴があります。そのことからも、診察と治療のどちらにも重宝するツボです。

背中にあるため自分で刺激をしにくいところが難点ですが、覚えておいて損のないツボなのでご紹介しました。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

コメント