耳鳴りの音からわかる五臓の不調と改善に向けた対策と経穴(ツボ)

耳鳴り 予防・未病治

今回は、東洋医学において【耳鳴り】をどう考えるかを確認していきます。

特に鍼灸治療やマッサージで改善させたい人は、「ステロイド薬に頼らずに治したい」という理由から、東洋医学による治療を選ぶ人が多くいます。

まず、耳鳴りにはいくつかの種類があります。

  • 「キーン」、「ピー」、「ポー」という高音
  • 「ザーザー」「ゴロゴロ」という低音

西洋医学では、これらの音の違いを考慮することは珍しいですが、東洋医学ではこうした音の違いを重視し、それぞれ原因や対策は違ってきます。

「疲れてくると強く耳鳴りを感じる」、「季節の変わり目によく耳鳴りを感じる」など、体調や気候の変動にあわせて耳鳴りに悩まされる人が多くいます。自分の感じる耳鳴りの音質を確認し、それに合わせた対策や日々の養生を取り入れることで、耳鳴りが起こらない体を目指しましょう。

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耳鳴りの音質などの性質で、原因となる五臓六腑が違う

東洋医学では、耳鳴りの音や種類によって、原因を推定します。

  • 「キーン」、「ピー」という高音の耳鳴り
  • 「ザーザー」、セミのなくような低音の耳鳴り
  • 疲れたり、立ち上がるとひどくなる耳鳴り
  • 耳の閉塞感のある耳鳴り

代表的な耳鳴りの音をリストアップしてみました。

東洋医学では、それぞれの耳鳴りの音や種類の違いは、原因となる臓器が異なるから起こると考えます。つまり、耳鳴りの音質や種類を確認することで、耳鳴りの本当の原因になっている五臓六腑を推定できます。

「キーン」「ピー」という高音の耳鳴りは五臓の肝

高音の耳鳴りは、五臓の肝の不調を疑います。

五臓の肝には、気の巡りをつかさどる「疏泄(そせつ)」の働きと、血をためておく「蔵血(ぞうけつ)」の働きがあります。過剰なストレスや過労、血を消耗する眼精疲労や筋疲労など、気の巡りや血の巡りが悪化すると、「キーン」や「ピー」という高音の耳鳴りが起こります。

 

「ザーザー」や、セミの泣くような低音の耳鳴りは五臓の腎

低音の耳鳴りは五臓の腎の不調から起こることがあります。

「疲れてくると耳小骨が動く音がする」、なんて表現する人もいます。そのような「ザーザー」、「ゴロゴロ」といったような、低音が響くような耳鳴りは五臓の腎が影響します。

五臓の腎には、生命力をためておく「蔵精(ぞうせい)」の働きがあります。加齢や過労、成長期に起こるこうした低音の耳鳴りは、五臓の腎の不調や腎にたくわえている精の不足が考えられます。

立ち上がると強くなる耳鳴りは五臓の脾と気の不足

立ち上がり時に感じたり、悪化する耳鳴りは、五臓の脾の問題だと言われます。

五臓の脾は飲食物の消化・吸収をコントロールする働きがあるため、こうした起立生の耳鳴りがある場合には食習慣の見直しも重要です。また、脾は他にも冷えたり、多湿な環境に弱い性質を持ちます。

脾には気や血、水などを上にあげる「昇清(しょうせい)」という働きがあります。脾の働きが低下していると、昇清の働きがうまくいかず、立ち上がった時に重力に負けるように耳鳴りが悪化するようです。

立ち上がり時の耳鳴りには、他にも気の不足である「気虚(ききょ)」が考えられます。

  • 日中に気の消耗が激しく、気の補充が追いついていないために、夕方以降に耳鳴りが増強する。
  • 動き回っていると気の消耗が激しく、耳鳴りが増強する。

上記のような症状の現れ方は、特に気虚に特徴的です。

耳の閉塞感のある耳鳴りは湿痰が絡む

耳の閉塞感のある耳鳴りは、余分な水分が蓄積している「湿痰(しつたん)」が原因です。

  • 梅雨の時期に湿度が上がると、耳鳴りが悪化する。
  • むくみや下痢っぽい体質で、耳鳴りもある。

上記のような症状の場合、耳鳴りの原因の一つに湿痰があると考えられます。そのため、水分(津液)のコントロールに働く臓器の不調を考えます。

  • 脾:「運化(うんか)」の働きで飲食物から水を抜き出す。
  • 肺:「通調水道」の働きで水を全身に巡らせる。
  • 腎:「主水(しゅすい)」の働きで体内の水を調整し尿として出す。

これら五臓のうちの3つの臓の働きを特に改善する必要があります。

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耳鳴りの種類に合わせて五臓を治療する

これまで見て来たように、耳鳴りには五臓の肝・脾・腎が強く関係します。耳鳴りの性質にあわせ、これら五臓の働きを整えましょう。

五臓の肝の治療

  • ストレスの軽減
  • 疎泄機能の改善

特に精神状態、情緒の変化によって現れる耳鳴りには肝が関わっています。耳鳴りの他に下記の症状が現れている場合、肝の調子を整えると耳鳴りが軽減します。

  • イライラ
  • 頭痛
  • 顔色が赤い

こうした熱性、上昇性の症状は肝が熱を持っている指標となります。

肝はストレスに弱い臓器ですので、ストレスを避けること、ためないことが一番の養生につながります。

▶︎東洋医学における五臓の肝の詳しい養生などはこちらへ

五臓の腎の治療

五臓の腎の働きを整えることで、加齢や過労からくる耳鳴りを改善することができます。また、湿痰による閉塞感のある耳鳴りを改善することもできます。

  • めまい
  • 疲れやすい
  • 物忘れが増えてきた。
  • 動作が緩慢になってきた。

耳鳴りのほかに上記のような不調がある場合、その耳鳴りは腎の不調からくるものと推定できます。

腎を休め、働きを整えるためには、体を冷やさず、しっかりとした休養、ゆっくりと深い呼吸を心がけることが大切です。

▶︎東洋医学における五臓の腎の詳しい養生などはこちらへ

脾の治療

疲労・起立に伴う耳鳴り、閉塞感のある耳鳴り、どちらにも五臓の脾が関わります。脾の昇清機能の回復すると同時に、湿痰を除去して脾の負担を軽減します。

脾は飲食物の消化・吸収に関わる臓器です。そのため、脾の養生の基本は食習慣の見直しです。

  • 暴飲暴食
  • 偏食
  • 味の濃いもの
  • 甘いもの
  • 冷たいもの

上記のような食習慣が続くと、脾は消化・吸収にエネルギーを使いすぎ消耗してしまいます。胃腸の調子や、耳鳴りの様子をみつつ、消化に優しい食事を心がけることで、脾を休め養生につながります。

▶︎東洋医学における五臓の脾の詳しい養生などはこちらへ

耳を巡る経絡の治療と経穴(ツボ)

五臓の働きだけでなく、耳鳴りに対しては経絡(けいらく)も考えて治療を行います。経絡はツボの線路であり、耳の周りにあるツボには、胆・三焦・少陽の3種類の経絡が流れます。

画像は、耳の周りのツボです。それぞれみていきましょう。

耳を巡る経絡1. 胆経の「聴会(ちょうえ)」

耳の穴の前側に「聴会」というツボがあります。聴会は足の少陽胆経に属するツボです。

聴会は耳の前側の、口を開くと大きく凹むところにあるツボです。

また、胆経は耳の周りを巡る経絡でもあり、耳鳴りや難聴といった耳の治療によく使われます。こうした胆の経絡の流れを利用して治療する際は、「陽陵泉(ようりょうせん)」というツボが刺激もしやすくおすすめです。

耳を巡る経絡2. 三焦経の「耳門(じもん)」

耳の穴の前側に「耳門」というツボがあります。耳門は手の少陽三焦経に属するツボです。耳門はの聴宮のツボの上にあります。

また、三焦経の流れを利用して治療するなら、手首にある「外関(がいかん)」というツボがおすすめです。外関は手首の甲側から、肘に向かって指3本分上がったところにあるツボです。

耳を巡る経絡3. 小腸経の「聴宮(ちょうきゅう)」

耳の穴の前側の「聴宮」というツボは、手の太陽小腸経に属するツボです。耳門と聴会の間にあります。

小腸経の流れを利用して治療するなら、「少沢」というツボがおすすめです。少沢は小指の爪の外側にあるツボなので、爪を揉むような刺激を入れるので十分効果が期待できます

おわりに

耳鳴りに対する東洋医学的な対策を自分で試すとなると、下記の2つがおすすめです。

  • 五臓、特に肝・脾・腎の働きを整える
  • 耳周りの経絡を刺激する

特にストレスや過労、食習慣の乱れで起こる耳鳴りは、生活の見直しが不可欠です。耳鳴りも体からの不調のサイン、しっかり受け止めて、対応していきましょう。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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