唾液の役割まとめ。全身の不調につながるドライマウスを改善しよう

予防・未病治

もし皆さんが、

  • 虫歯になりやすい
  • 風邪をひきやすい
  • アレルギー体質
  • 食べ物を飲み込みづらい

などの不調がある場合、それは【ドライマウス(口腔乾燥症)】の可能性があります。もちろん、虫歯や歯周病にもつながるおそれもあります。ドライマウスは、唾液分泌の低下によって起こります。

唾液は自律神経の働きで分泌され、口内を潤します。また東洋医学では、唾液の分泌に関わるのは五臓の脾と腎です。西洋・東洋医学どちらの面からも唾液のチカラを考え、唾液ドバドバ体質を目指しましょう。

スポンサーリンク

ドライマウス(口腔乾燥症)の症状

ドライマウスは、唾液の分泌が低下し、口腔が乾燥する症状です。口のねばつきや乾燥から始まり、唇や舌のひび割れや出血が起こります。乾燥は口腔全体に広がるようです。

代表的な症状をまとめてみると、下記の項目になります。

  • 喉、口腔の乾き
  • 舌の乾きやひび割れ
  • 食べ物を飲み込みづらい
  • 味覚の異常
  • 口臭
  • 虫歯、歯周病

特に高齢者のドライマウスは、誤嚥によるトラブルを招きます。他にも、「口の中の乾燥」だけではなく、全身に不調が波及することがあります。唾液の働きから、ドライマウスが原因で全身に起こりうる症状をまとめてみます。

  • 風邪をひきやすい
  • 花粉症などアレルギー体質
  • 消化不良
  • 胃腸炎

唾液の働き

唾液の生理学的な働きと、唾液が低下して起こりうる関連の不調をみていきます。

  • 消化作用、食塊形成作用
消化不良や、食べ物をうまく飲み込めない

食べ物を口に入れて、唾液を絡ませることは消化の第一段階だと言えます。唾液には酵素(アミラーゼ、ムチンなど)が含まれていて、消化・吸収をサポートしています。

  • 殺菌作用
虫歯、風邪をひきやすい、流行病に弱い

口の中を唾液で潤しておくことで、菌の繁殖を防いでいます。虫歯や歯周病の他にも、ウイルス性の病原体も唾液によって弱り、感染力が低下します。

  • 緩衝作用
胃腸炎、逆流性食道炎など

胃酸などで酸性に傾きやすい消化器を、唾液のアルカリ性で中和しています。

  • 再石灰化作用
虫歯になりやすい

虫歯の初期など、弱っている歯を再石灰化する働きがあります。

  • 自浄作用
口臭、虫歯、歯周病など

唾液には、口に残った食べカスなどを流す働きもあります。

唾液 – 1日の分泌量/効果/減少の影響/増やす方法 ストローマンパートナーズ
唾液の効果を詳しく紹介:緩衝作用や殺菌作用、自浄作用、再石灰化作用といった虫歯・歯周病を予防する効果、嚥下・消化をスムーズにする働き、唾液の分泌量が減少する原因とその影響、唾液を増やす方法など。

こうしてみると、唾液には口腔を保湿しておくだけでなく、様々な働きがあることがわかります。

スポンサーリンク

唾液と自律神経

緊張して、喉がカラカラに乾いたことがありませんか? 唾液は自律神経の働きによって分泌されます。自律神経のうち、交感神経の働きによって、ネバネバした粘液性の唾液が出ます。一方、副交感神経によって、サラサラした漿液性の唾液が出ます。このように、唾液は交感・副交感神経の二重支配を受けています。

  • 交感神経:ネバネバの唾液
  • 副交感神経:サラサラの唾液

食事中や、リラックスしている副交感神経優位の時には、サラサラした唾液が分泌されます。唾液アミラーゼなどが含まれ、消化を助けてくれます。

反対に交感神経が優位になり、ネバネバの唾液が分泌されていると、口は乾きやすくなります。成分としては、口腔を保護するムチンが多いようです。

ストレスとドライマウス

過剰なストレスや、持続的なストレスが原因で自律神経が乱れると、ドライマウスにつながります。

これは、交感神経が優位の時間が増えることで、分泌されるのがネバネバの唾液になるからです。

唾液分泌は、顎関節周りの緊張によっても低下すると、別記事にもまとめました。

噛みしめや食いしばりによる、顎から全身の症状と対策まとめ
噛みしめや食いしばりによって、歯が傷つくだけでなく、頭痛や肩こりなどの不定愁訴にもつながりかねない。マウスピースをして守れるのは歯だけで、噛みしめが治るわけではない。顎周りの過緊張を改善する方法などをまとめる。

ストレスによって、

  1. 噛みしめや食いしばりの増加
  2. 顎周りの緊張による唾液腺圧迫
  3. 交感神経優位による漿液性唾液の低下
  4. ドライマウスに

ストレス、減らしていきたいところです。

謎解き唾液学 【7】自律神経と唾液分泌 | 岡崎 好秀 先生 | モリタメールマガジン スマイル+(Plus) | 歯科情報ポータルサイト デンタルプラザ
最新の歯科器材や商品、歯科ユニット、チェア、セミナー、開業に至るまで幅広い情報を提供する歯科ポータルサイトです。

唾液をつかさどるのは、脾と腎

東洋医学では、唾液をつかさどる臓器が2つあります。五臓の脾に対応する五液が「涎(よだれ)」で、腎に対応する五液が「唾(つば)」です。

ちなみにですが、五臓と五液をまとめてみてみると、下記の通りです。

  • 肝:涙
  • 心:汗
  • 脾:涎
  • 肺:涕(はなみず)
  • 腎:唾

五臓に対応する五液でも、なぜ脾と腎が同じような「唾液」なのか、その辺りを掘り下げていきます。

脾の唾液(よだれ)

脾の五液(五臓に対応する液)は涎(よだれ)です。

脾は五臓の中でも、飲食物の消化・吸収をつかさどります。先ほど確認した唾液の働きの中では、「消化作用」、「食塊形成作用」、あとは「緩衝作用」なんかも、脾の延長としての働きだと考えられます。

腎の唾液(つば)

腎の五液も唾液ですが、特に唾(つば)と読むことからも、脾の五液である涎(よだれ)とは区別されます。

腎は五臓の中でも、歯の成長や状態に関わります。唾液の働きの中でも、歯を守るような「殺菌作用」、「再石灰化作用」、「自浄作用」は腎の延長の働きと考えられます。

生命力の源である「精」に関わる

脾は消化・吸収した飲食物を、「後天の精」という生命力の源に変え腎に貯蔵します。腎はそうやって後から貯める精と、生まれつき持っている精(先天の精)をあわせて貯蔵しています。

こうしてみると、

  • 食べ物を正しく噛み、消化すること
  • そのために、歯や口を守ること

この2つは生きていく以上、必ず必要になります。それくらい、唾液は体に不可欠な存在だとわかります。

おまけ:唾液は肺も守る

おまけ、と書きましたが、唾液には呼吸器を乾燥から守る、大切な働きもあります。

口呼吸をすると、外気がダイレクトに気管から肺に入り込みます。また、そこに至る前の喉の辺りには、リンパ節である扁桃腺が輪のように並んでいます(ワルダイエルの咽頭輪)。

口呼吸などで口腔内が乾燥し、唾液の分泌も少なければ、外気から入る菌やウイルスはダイレクトに喉、気管、肺を襲います。

鼻呼吸が良いとされるのは、口の乾燥を避け、潤いを保つためでもあるんですね。

鼻で吸って、鼻で吐く。鼻腔、副鼻腔の構造からみる鼻呼吸。
鼻呼吸をおすすめする理由をまとめてみました。鼻から吸って、鼻から吐くことで、鼻腔・副鼻腔の湿度は保たれます。鼻は粘膜なので、やはり少し潤っているのが良いもの。鼻水ダラダラも困るけど、乾いていても良くない。良いバランス保つためにも、鼻呼吸を。

参考:日本病巣疾患研究会

スポンサーリンク

唾液ドバドバ体質を目指そう

ドライマウスが危険なことと、唾液が多い方が良いことをまとめてきましたが、では実際どうやって唾液の分泌を促すかをみていきましょう。

脾と腎の働きを整える

唾液の分泌に関わる臓である脾と腎の働きを整えます。

脾は消化器の負担と冷えに弱いため、注意点をまとめると下記の通りです。

  • 甘い物、味の濃い物を食べ過ぎない
  • 脂っこい物を食べ過ぎない
  • 暴飲暴食を避ける
  • 冷たい物を摂り過ぎない、冷やさない

▼脾の詳しい養生はこちらへ

東洋医学における五臓の脾の働き(運化・昇清・統血)と養生のまとめ
五臓六腑の一つである脾の働きをまとめました。脾は胃とともに消化・吸収を行う臓器です。他にも、血を漏らさないような働きもあるため、女性には関係の深い臓器です。

腎は過労や加齢、冷えに弱い臓です。高齢者で唾液量が減り、誤嚥の心配などがある場合は、腎の働きを整えると良いです。

▼腎の詳しい養生はこちら

東洋医学における五臓の「腎」の働き(蔵精・主水・納気)と養生のまとめ
五臓の一つである「腎」の、東洋医学的な働きをまとめる。生命力の源を貯蔵する蔵精、水分代謝に関わる主水、深い呼吸に関わる納気の3つが大きな働きになる。生命力に関わる臓器なだけに、腎の不調は全身の不調につながる。

顎の緊張をとる

唾液腺は下顎骨の付近にあり、周りには下顎骨を動かす筋肉があります。こうした顎関節の動きに関わる筋肉がかたくなると、唾液腺の分泌が低下してしまうことがあります。

噛みしめや食いしばり、顎関節症がある場合は、顎周りの緊張を緩和することで唾液量の増加が期待できます。

噛みしめや食いしばりによる、顎から全身の症状と対策まとめ
噛みしめや食いしばりによって、歯が傷つくだけでなく、頭痛や肩こりなどの不定愁訴にもつながりかねない。マウスピースをして守れるのは歯だけで、噛みしめが治るわけではない。顎周りの過緊張を改善する方法などをまとめる。
顎関節症の症状や原因と、治療の際に指導するセルフケアのまとめ
顎関節症の症状や原因をまとめ、セルフケアの方法を紹介する。重度の顎関節症だと、開口障害でほぼ口が開かないこともある。そんな患者さんには、頚椎の動きや舌の動きを出すストレッチやリハビリをアドバイスする。

ストレス対策を

唾液分泌には自律神経が関わるため、ストレスなどで自律神経の働きが乱れると唾液の分泌量も低下してしまいます。

ストレスを減らす、避けると言うのは簡単ですが、実際には難しいですよね。唾液はリラックスをして副交感神経が優位な時に分泌されます。1日の中でも、ホッと一息つける時間に、思い切りリラックスしましょう。

舌を動かす

唾液腺は下顎骨の周りにありますが、実際に分泌される孔は舌の周りにあります。

有名なものでは、「あいうべ体操」のような、舌と口を大きく動かすような運動を取り入れてみてください。

あいうべ体操

 

おわりに

元々、「なんで唾液をつかさどる臓が2つ(脾と腎)あるんだろう?」と、鍼灸師ながら思ったところがきっかけでこの記事をまとめるに至りました。

最近ではドライマウスなど、口呼吸やストレスとの関係も踏まえて唾液の大切さに注目されるようになりました。

歯のことや食事のこと、呼吸のこと、それらと唾液の関係を、東洋医学は大昔から解き明かしていたのかもしれません。また何かひっかかったら、まとめていきます。

 

大丈夫、大丈夫。

鍼灸指圧治療院あたしんち