この記事では、手の親指の付け根に起こる痛みである「ドケルバン病」についてまとめていきます。
以前までは美容師の職業病と言われたドケルバン病ですが、最近ではスマートフォンの操作などで負担がかかり、誰でも起こりうる痛みになってしまいました。負担のかかる動きや、親指の構造などを確認し、痛みの予防・対策を行いましょう。
目次
ドケルバン病は親指に起こる腱鞘炎
手の親指に起こる腱鞘炎を、「ドケルバン病」と呼びます。一昔前は、ハサミを使用する美容師や、ピアニストなど、ドケルバン病を始めとする腱鞘炎は、手を酷使した結果として発症する職業病と考えられていました。他にも、妊娠・出産や更年期など女性のホルモンバランスの変化も関与して発症します。
パソコンやスマートフォン操作による腱鞘炎が増えている
現代では、パソコンのキーボード作業やスマートフォンの操作によって腱鞘炎を発症する人が多くなりました。特に、スマートフォンの普及により、親指を今まで以上に使い、負担がかかってしまうケースが多くあります。
画像のように、片手でスマートフォンを持ったまま親指で操作をすると、親指にかかる負担は大きくなります。
腱鞘炎についておさらい
特に手指の筋肉は、細く長い腱に移行しながら骨に付着します。そうした腱をぶれることなく、滑らかに動かすようにガイドするのが、腱鞘という構造の役割です。
腱の動きをサポートする腱鞘ですが、腱が過度に動くことで摩擦が生じ、炎症を起こします。これが、腱鞘炎です。
親指の腱鞘と腱の構造
ドケルバン病が起こる部位として、親指の付け根の外側(橈側)に多く、構造としては短母指伸筋腱、長母指外転筋腱とその腱鞘によって起こる炎症です。
親指を開き、そのまま動かした時などに親指の付け根が痛むようであれば、ドケルバン病の可能性は高まります。
ドケルバン病の検査法:フィンケルシュタインテスト
親指の腱鞘炎であるドケルバン病の検査法として、「フィンケルシュタインテスト」があります。
親指を他の指で握り込み、手首を小指側に曲げていきます。親指の付け根の部分の痛みが増すようであれば、ドケルバン病と判断できます。
正式には、もう片方の手で親指を小指側に思い切り牽引します。ドケルバン病を疑う場合、少なくとも平常時に親指に痛みがあるはずです。その状態で、ここまで牽引刺激を加えると痛みは強く起こります。大抵の場合、親指を握り込む検査法で十分診断ができます。
この方法では、普段痛みを感じない私でも痛いです。
ドケルバン病の対策や鍼灸治療で用いる経穴(ツボ)
ドケルバン病も腱鞘炎の一つなので、対策としては腱鞘炎の対策と同じです。
整形外科での治療
ドケルバン病になって整形外科を受診した場合も、やはり第一に安静を伝えられます。他にも、投薬(痛み止めなど)、腱鞘へのステロイド注射があり、最終的には手術による対応もあります。しかし、ドケルバン病の治療で手術を受ける人は多くありません。多くの場合、湿布を処方され、安静にしている他ありません。痛みがある手首の腱鞘部分にアイシングをするのも効果的です。
親指の負担が大きいスマートフォン操作を控える
スマートフォンを片手で持ち、親指だけで操作するような動きは、親指にかかる負担が大きくなります。
画像のように親指を動かすと、短母指伸筋と長母指外転筋を過剰に働かせてしまいます。できれば、反対の手で操作するなどして、親指の負担を軽減しましょう。
ドケルバン病に効果的な経穴(ツボ)
ドケルバン病に効果的なツボを紹介します。鍼灸治療では、腱鞘炎のような炎症部分にもお灸治療をします。熱を持っている部分に熱を加えるというと、痛みが増すように思う人が多くいますが、お灸には炎症を抑える効果もあります。
列欠(れっけつ)
列欠のツボの正確な位置を確認してみましょう。
前腕橈側、長母指外転筋腱と短母指伸筋腱の間、手関節掌側横紋の上方1寸5分。
まさにドケルバン病を起こす腱のあたりに、列欠というツボはあります。
おわりに
腱鞘炎のような、いわゆる生活の中での使いすぎ・過負荷によって起こる症状は、長引き慢性化することが多々あります。その中でもドケルバン病は、スマートフォン操作を控えることで改善することが多くあります。そういった意味では、現代病の一つとも言える疾患です。
お仕事でパソコンのキーボード入力をして、自分の時間でスマートフォンをいじるとなると、今回のドケルバン病だけでなく体への負担は大きくなります。体をしっかり休める時間を作ることが、一番の対策です。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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