今回は、【膻中(だんちゅう)】というツボについて、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。
膻中は胸にあり、心(臓)・ココロを整えるツボだと言われます。心疾患の場合には、病院にいくことをお勧めしますが、ココロが乱れた時には特に刺激すると良いツボです。
膻中は他に、気に関する特効穴でもあります。ココロと、気によって動くカラダは密接な関係があり、膻中のツボはそのどちらにも効果的です。
目次
膻中(だんちゅう)の位置や所属経絡
膻中というツボの位置や、所属する経絡の特徴について確認します。
膻中の位置
前胸部、前正中線上、第4肋間と同じ高さ。
膻中は胸部の真ん中にあるツボです。第4肋間というと少し難しいですが、乳首と同じ高さだと思ってください。左右の乳首のちょうど間に膻中はあります。
膻中の所属経絡と特徴
膻中は任脈に所属するツボです。任脈は体の前面の正中線上を通る経絡です。任脈は体の全ての陰を統率するため、「陰脈の海」とも呼ばれます。
膻中は別名で「上気海」や「上丹田」と言います。下腹部にある気海というツボや丹田のように、上半身の気の巡りに特にかかわることからこの別名がついたようです。
- 心包(しんぽう)の募穴
膻中は心包の募穴という特性を持ちます。
「心包」と聞いてピンとくる人は少ないと思います。
心包は五臓の心(心臓)を守るように覆う、しかし実在はしない臓器だとみなされています。心包の働きは、主に心と同じで、心臓のポンプとしての役割、精神活動の取りまとめがあります。
心の働きに関して詳しくは下記のページをご覧ください。
膻中はそのような心包の気が多く集まるツボです。
- 気会(きえ)
膻中は八会穴(はちえけつ)の「気会」という特性も持ちます。
膻中は気の取りまとめとしての働きが強いツボでもあります。気に関する不調(気虚・気滞など)を改善する特効穴です。


膻中のツボの治療効果まとめ
膻中を刺激することで期待できる効果をご紹介します。膻中は胸にあるので、温灸も押圧もしやすいツボです。
精神疾患に
膻中は心包の募穴なので、心包を治療する効果が高いツボです。
先述した通り、心包は五臓の心を包むように存在する(とされている)臓です。心は精神活動や思考・意識の取りまとめの働きがあるため、膻中を刺激することで、心包・心を整えることができます。
心臓の疾患にも
動悸、心胸痛、不整脈など、あらゆる心臓に関する疾患にも膻中は効果があると言われます。しかし、これらの症状がある場合は、ツボ押しよりもまず病院に行きましょう。
あくまで、セルフケアの一環です。血圧の調整作用もあるので、病院の考えプラスアルファの養生と捉えて、自分の体調に合わせて取り入れてみてください。
気の不調に
膻中は気会の特性があるので、気に関する不調を改善するために組み合わせることが多いツボです。気の不足である「気虚(ききょ)」や、気の滞りである「気滞(きたい)」などを改善します。
私たちは気の働きによって活動しています。日常生活や運動においても重要ですが、内臓や意識・思考も気の働きによって行います。
胸をトンと叩いて自分に喝を入れる、それが膻中のイメージです。


膻中とあわせて刺激したいツボ
膻中とあわせて刺激をすることで、より効果が高まるツボをご紹介します。
内関(ないかん)
前腕前面、長掌筋腱と橈側手根屈筋腱の間、手関節掌側横紋の上方2寸。
内関は前腕(肘から手首)の掌側、指を握り込んでグーを作った時に浮き出る腱の間にあります。手首のシワの2寸肘寄りです。
- ヒステリーなど精神疾患に
内関は心包の経絡に所属するツボです。膻中と一緒に刺激をすることで、経絡や臓腑を通して効果を発揮します。
五臓の心には精神活動を取りまとめる役割があります。その心に付随する心包にもその役割はあり、精神活動などの不調は心の経絡よりも心包の経絡のツボを用いることが多くあります。
おわりに
今回は膻中というツボについてまとめてみました。膻中は五臓の心の働きをサポートし、私たちの精神活動を支えてくれます。
また、気に関する重要なツボなので、何となく元気が出なかったり、気の巡りが悪かったりする時はオススメのツボです。
心疾患に対しての効果もあるとされますが、こちらはまずは病院に受診しましょう。ツボ刺激は、あくまでプラスアルファのセルフケアです。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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