今回は腸腰筋をトレーニングする方法の一つとして、セラバンド・チューブを使った方法を紹介します。
セラバンド・チューブを使ったトレーニングをすることで、下記のメリットがあります。
- 低負荷なため、対象とする筋肉(ここでは腸腰筋)を意識しやすい。
- 体力・筋力に関係なく取り入れやすいため、高齢者や子ども、怪我から復帰のためのリハビリにも有効。
特に腸腰筋はお腹の奥の方にあり、実際に収縮を目視・触診で確認することが難しい筋肉です。セラバンドやチューブを使うことで、トレーニングをしたい筋肉にしっかりと刺激を与えることができます。また、1回1回の負荷は軽いため、年齢や怪我の有無などに関わらず取り入れやすいのもセラバンドやチューブを使ったトレーニングのメリットです。
目次
腸腰筋の位置と作用の確認
腸腰筋の基本的な構造から確認していきましょう。
腸腰筋の位置
腸腰筋は体幹部の深くにあり、股関節を通って大腿骨(ふともも)に伸びる筋肉です。体表から目視で確認することはできません。お腹の奥に触れることができる筋肉ですが、実際に触って収縮を感じるにはコツが必要です。
腰椎(腰の骨)から伸びる筋肉を大腰筋、骨盤の内側から伸びる筋肉を腸骨筋と言い、その2つを合わせて大腰筋と呼んでいます。
腸腰筋の働き
腸腰筋の働きをまとめると下記の通りです。
- 股関節の屈曲。
- 股関節の外旋。
腸腰筋が収縮することで、太ももが上がるように動きます(股関節屈曲)。また、あぐらをかくように膝を外に向ける動きにも腸腰筋が関与します(股関節外旋)。
腸腰筋の働きから考えると、足を高くあげる運動など腸腰筋を収縮させるトレーニング方法はいくつかあります。今回はその中でも、セラバンドやチューブを使って、腸腰筋の軽度な抵抗運動をトレーニングとして行う方法を紹介します。
セラバンド・チューブを使った腸腰筋のトレーニング方法
今回は1種類の方法のみを紹介します。立位で行うため、片足での立位でバランスがうまくとれない人は、壁などに手をついて安全に行ってください。
セラバンド・チューブを使った腸腰筋トレーニング方法
1. セラバンド・チューブを固定し、片方の足にかける
重く、動かないものにセラバンド・チューブを固定しましょう。低めの位置にかけるとやりやすいです。
腸腰筋のトレーニングをしたい側(画像では左側)の足にセラバンド・チューブをかけます。足首の少し上あたりにかけると安定感があります。
2. セラバンド・チューブがたわまないような位置で立つ
セラバンド・チューブにある程度の張力を持たせる位置をスタートポジションにします。この時、動かす側の足(画像左足)をやや後ろ目にスタートすると効果的です。
この時点で、足がややチューブに引っ張られているような感覚があればベストです。
3. 「後ろから前」のイメージで動かす
実際にセラバンド・チューブの張力に反して動かしていきます。軸足が動かぬよう注意しましょう。
セラバンド・チューブであれば、1回1回の負荷は少なくなります。20回から30回ほど繰り返し動かしましょう。
4. 戻す時はセラバンド・チューブに引っ張られるイメージ
足が後ろに引き戻される時には力を抜き、セラバンド・チューブの張力によって後ろ側に戻るイメージを持ちましょう。
チューブに引き戻される力によって、体の軸がぶれないように注意しましょう。
腸腰筋トレーニング時の注意点
腸腰筋の位置や働きを踏まえ、トレーニングする際の注意点をまとめます。
背中が丸くならない。
背中を丸めてしまうと、腸腰筋にうまく力が入らずに、腸腰筋ではない他の筋肉の収縮が起こってしまいます。特に腰椎(腰の骨)が後弯するように丸まってしまうと、腸腰筋を動かすことが難しくなります。
回数や大きな動きにとらわれず、正しい姿勢で、しっかりと腸腰筋に負荷をかけましょう。
「足は自分の体より後ろ」を意識する。
腸腰筋の働きとして、股関節の屈曲がありますが、曲げる方にばかり意識をしてしまうと十分なトレーニングになりません。立位のスタートポジションから、やや後ろに足を置いた状態をスタートにすることで、腸腰筋の収縮を大きくしましょう。
太ももやスネなど、足の前側に力を入れない。
股関節を屈曲させる筋肉は、腸腰筋の他に大腿部の筋肉など、いくつかあります。また、足を前に出す意識が強まると、下腿のスネなどに力が入ってしまうこともあります。
太ももの前側、スネなど、足の前側に力が入りすぎず、あくまで股関節の奥、腸腰筋を収縮させることで足を動かすイメージをつけましょう。
腸腰筋の収縮をしっかりイメージする
セラバンド・チューブを使ったトレーニングは、負荷が少なく、容易に行うことができます。しかし容易なだけに、回数を重ねるごとに姿勢が崩れたり、力を発揮する筋肉が変わってしまったりすることもあります。
しっかりと腸腰筋の収縮によって足が前後に動いていることを確認しながら行いましょう。
おわりに
今回は腸腰筋のトレーニング方法の一つとして、セラバンドやチューブを用いた方法を紹介しました。負荷の小さなセラバンドやチューブを利用することで、鍛えたい筋肉をより意識してトレーニングを行うことができます。
腸腰筋は特にお腹の奥の方にあり、体表からは確認できず、普段は意識をすることが少ない筋肉です。セラバンドやチューブを使うことで、ジワっと腸腰筋に刺激が入るよう、トレーニングをしてみてください。
鍼灸指圧治療院あたしんち
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