鍼灸治療や指圧治療でポイントとなる、経穴(ツボ)。たくさんある中から、どのツボが自分に合うか、必要かを選ぶのは、少し大変だと思います。
ここでは、実際の治療においても常用し、効果も得やすいツボを10穴にしぼってご紹介します。セルフケアには難しいツボもありますが、押圧や温灸だけでなく、シャワーやドライヤーなどで温めるだけでも十分な効果を得ることができます。
とりあえず知っておいて欲しい10のツボ
【百会】緊張を解きリラックスを促すツボ
「百会(ひゃくえ)」は頭のてっぺんにあり、刺激をすることで「下にさがる」症状を改善する効果があるツボです。また、頭部・顔面部の緊張を解き、リラックスするのにも効果的なツボです。
- 下にさがる症状:痔、内臓下垂、肌のたるみ、鼻水など。
- 過緊張による症状:不眠、抑うつ、頭痛など。
【風池】目、鼻、のどの不調を改善するツボ
「風池(ふうち)」は刺激をする角度によって、様々な治療効果が期待できるツボです。
- 目の症状:充血、目のかゆみ、かすみ、眼精疲労や派生した頭痛など。
- 鼻の症状:鼻水、鼻づまり、副鼻腔炎など。
- のどの症状:風邪による炎症、のどの違和感(梅核気)など。
【大椎】冷えを改善し免疫を上げるツボ
「大椎(だいつい)」は全身を温め、冷えによる症状を改善するツボです。手足の冷えを和らげるだけでなく、体温を上げ免疫力も向上します。
- 冷え症状:末端冷え性、冷え性、冷えからくる下痢など。
【関元】丹田にあたり生命力を高めるツボ
「臍下丹田に力を入れて」という「丹田(たんでん)」のあたりには、「関元(かんげん)」というツボがあります。生命力の源である「精」は関元のあたりから「気」に変わり、全身に行き渡ります。
- 生殖器・泌尿器疾患:尿漏れ、尿閉、月経不順、インポテンツなど。
- 加齢による症状:足腰のだるさ、倦怠感、いわゆる老化現象など。
【天枢】腸内環境を整え便通を改善するツボ
「天枢(てんすう)」は大腸に働きかけ、腸内環境を整えます。最近では腸内環境と免疫の関係性が明らかになり、注目されるようになりました。便秘や下痢などの便通の異常は、全身の不調の原因になります。天枢を刺激し、日々の腸内環境を整えていきましょう。
【合谷】便秘、肌荒れから肩や首のコリも改善する万能なツボ
「合谷(ごうこく)」は誰もが一度は聞いたことがある有名なツボです。顔面部に起こる不調に広く効果的な他、便通を整える整腸作用もあります。
- 顔面部の不調:にきび、肌荒れ、鼻の不調、目の不調、歯の不調など。
- 便通の不調:便秘、下痢、腹部の張りなど。
- お肌の不調:乾燥肌、肌荒れ、できものなど。
【内関】自律神経の乱れによる不調を改善するツボ
「内関(ないかん)」は自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスを整えるツボです。気候の変動によって体調が変化する「気象病」の予防・改善にも効果的とされるツボです。
【足三里】胃腸を強くして元気を作り出すツボ
「足三里(あしさんり)」は松尾芭蕉が長旅の途中でお灸をすえたことで有名なツボです。胃腸を強くして、食べ物の消化・吸収を助け、そこから元気を作り出します。
- 消化器の不調:食欲不振、消化不良、胃もたれ、胃痛など。
- 元気の源:免疫の向上、病気の予防など。
【三陰交】婦人科疾患全般に効果的なツボ
「三陰交(さんいんこう)」は婦人科疾患の特効穴として重宝されるツボです。肝・腎・脾の3つの臓に働きかけ、下半身の冷えやむくみを改善します。
- 婦人科疾患:月経不順、不妊、更年期障害など。
- 消化器の不調:食欲不振、下痢、軟便など。
【太衝】ストレスを解消し気の巡りを良くするツボ
「太衝(たいしょう)」は気や血の巡りを改善し、ストレスを解消する効果の高いツボです。ストレスの多い昨今、精神面・情緒面の安定を助ける重要なツボだと言えます。
症状に合わせたツボの組み合わせ(配穴・選穴)
ツボにはそれぞれの単体としての効果の他に、組み合わせて刺激をすることでより効果を高めるものもあります。そうしたツボの組み合わせや選び方を、「配穴(はいけつ)」や「選穴(せんけつ)」と言います。
症状ごとに代表的なツボの組み合わせを紹介しています。ご自身の体調・体質に該当するものをチェックしてみてください。