美容鍼・美顔鍼の仕組みと効果、内出血に対する考えなどのまとめ

美容鍼 東洋医学

美容鍼・美顔鍼をきっかけに、鍼灸治療にデビューする人がいるほど、美容鍼が浸透してきました。テレビなどで有名人が美容鍼を受けているのが流れ、ここ最近の美容鍼・美顔鍼の流行は鍼灸師である私も驚くほどです。

せっかくなので、今回は美容鍼・美顔鍼に関する考え方や、使用する鍼、その効果などについてまとめていきます。

ちなみに私は患者さんに、「少し食事に気をつけて、あとは笑顔を忘れなければ、ありのままで良いのでは?」とアドバイスしています。こうした意見は見事にスルーされて、美容鍼の準備をするんですけどね。

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筋肉にうつの?ツボにうつの?美容鍼の概要をご紹介

美容鍼で狙うのは、筋肉でもあり、経穴(ツボ)でもあります。また、そうしたポイントを狙う側面だけでなく、鍼によってお肌をあえて傷つけることにも意味があります。

顔の筋肉への刺激

説明をして初めて知る人もいますが、私たちの顔面部にはたくさんの筋肉があります。

表情筋イメージ

顔の筋肉の特徴として、顔面部の骨から筋膜や皮膚に付着するという点があります。

  • 顔の筋肉:骨から筋膜、皮膚に付着する。
  • 体の筋肉:骨から骨に付着する。

体にある筋肉は、関節を動かすことが主な目的です。そのため、関節をまたぐように骨と骨に付着しています。

一方、顔の筋肉は、骨から筋膜や皮膚に付着します。顔の筋肉を動かすということは、顔の皮膚を動かすことにつながり、それによって表情が変わります。そのため、顔の筋肉は「表情筋」とも言われています。

怒ったり、笑ったりする時、表情筋が皮膚や筋膜を引っ張り、豊かな表情が現れます。筋肉なので、動かない部位は固く弱くなり、表情筋としての働きを果たせません。その結果、シワやたるみにつながります。

そういった動かなくなった筋肉に鍼で刺激をいれ、再び動くようにして、皮膚に張りを戻すのが、美容鍼の目的の一つです。

経穴(ツボ)への刺激

顔には筋肉だけでなく、経穴(ツボ)もあります。正式に認定されているツボでも、画像のようにたくさんあります。

こうした顔にあるツボは、いくつかの経絡(けいらく)といわれるツボの線路に所属しています。顔面部には、下記の5つの経絡が通っています。

  • 大腸の経絡
  • 胃の経絡
  • 小腸の経絡
  • 膀胱の経絡
  • 三焦の経絡
  • 胆の経絡

ツボを刺激することで、それぞれの経絡のつまりや、滞りを解消し、気血の巡りを良くすることで美容につながります。

鍼で皮膚に組織損傷を起こす

皮膚に鍼を刺し、微小な損傷を与えることでターンオーバー(皮膚の新陳代謝)を早める効果が期待できます。

ターンオーバーは一般的に28日前後の周期ですが、加齢やストレスなどの要因で遅れることがあります。代謝されずに残った古い皮膚が、シワやたるみにつながります。そんなターンオーバーが遅れている場所に鍼を刺すことで、その組織がわずかに傷つきます。その傷を治そうと、血流が良くなったり、コラーゲンなどの生成を早めたりします。

結果、ターンオーバーの周期が28日前後に整い、新鮮な肌でいる期間が安定します。

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美容鍼の効果について

美容鍼・美顔鍼で期待できる効果をまとめてみます。

皮下の筋肉の弾性アップによる効果

顔面部にある筋肉に鍼で刺激を入れることで、下記のようなメリットがあります。

  • リフトアップ
  • ほうれい線
  • しわ、たるみ
  • 小顔

顔にできるシワやたるみは、皮下にある筋肉が原因であることが多いです。皮下の筋肉を鍼で刺激することで、筋肉に張りが戻り、内側から皮膚を押し戻して皮膚の張りが出ます。

筋肉への刺激は即効性はあるものの、持続はイマイチ

鍼による直接的な刺激が入るため、筋肉の反応としては素早く弾力性を取り戻し、肌にハリが出ます。

しかしこれは筋肉の問題なので、肩がこるのと同じで持続性に関してはイマイチだと言えます。同じような生活習慣を送れば、同じように顔の筋肉もこっていき、再びシワやたるみは起こります。顔の筋肉を適度に動かす必要もあります。

ターンオーバーの促進による効果

美容鍼はシワやたるみだけでなく、しみ・そばかす・にきび・できものなどにも効果的です。これは、実際にそうした皮膚の変異のある部分に鍼を刺すのではなく、その周囲に鍼を刺すことで、ターンオーバーを早めます。

特ににきびやできものは、ピンポイントで鍼を刺すと傷が広がってしまいます。その周囲に鍼を刺し、炎症を抑えていく印象です。

ターンオーバーの促進は気長に待とう

シミやにきびに対しては、範囲や大きさによって変わりますが、短期間に数回の刺激を入れる方が効果的な印象です。そのため、即効性としてはイマイチですが、長期的に見ると綺麗になくなります。

皮膚のターンオーバーは、鍼で変化をもたらす以外の、食生活や睡眠などの生活習慣による影響が大きいです。美容鍼も効果的ですが、その効果をより高めるためには、やはり普段の生活が重要です。

 

 

美容鍼・美顔鍼に使う鍼の紹介

美容鍼・美顔鍼には、画像のような細く短い鍼を使います。

通常、体に刺す鍼は0.2mm前後の太さで刺入するのも2cm〜4cmくらいです。美容鍼で用いられる鍼は、一般的に太さおよそ0.1mmで、長さは1.5cmです。10円硬貨の直径よりも短い鍼です。

顔は毛細血管が豊富なため、出血や内出血のリスクがあります。そうした出血を防ぐためにも、鍼を刺す痛みを緩和するためにも、なるべく細い鍼を使います。

美容鍼による出血・内出血に対する考え

鍼灸治療で使う鍼は、先端が丸く加工してあります。そのため、通常であれば血管を突き破ることはなく、鍼が当たっても血管の弾力で避けてくれます。

しかし、血流の悪い毛細血管は弾力も低下していて、まれにそうした血管を傷つけて出血・内出血が起こります。ちゃんと出血すれば、跡が残ることはありませんし、血流改善につながりその後のターンオーバー促進も見込めます。美容整形などでは、細かい鍼であえて出血させる方法を取り入れているところもあるみたいです。

内出血の場合、跡が消えるまでに数日から、長ければ数週間かかります。結婚式などのイベント前に美容鍼を考える人は、一応こうしたリスクを理解しておいてください。

 

顔だけじゃなく、体にも鍼をうつ美容鍼の仕組み

美容鍼だからといって、鍼をうつのは顔だけではありません。

「美容」のイメージが先行し、とにかく顔に施術をするものだと思いがちですが、鍼灸治療のベースはあくまで東洋医学です。東洋医学的に「美容」を考えると、顔だけではなく体の全体を治療する必要があります。

 

東洋医学の望診の考え

「望診」とは、見た目での診察を表します。特に顔面部は、色々な臓器の状態を表します。「顔色が悪いけど、体調悪いの?」と聞くほど、顔の状態と体の中の状態は関係あります。

例えば、眉間は肺の状態を、鼻は脾の状態を表します。眉間のシワが気になるなら肺の働きを取り戻し、鼻の毛穴や小鼻が気になるなら脾の働きを整えます。こうした五臓の働きを取り戻すためには、体にあるツボへの刺激が重要になります。

こちらは短期的な変化だけではなく、長い目で見た美容への取り組みになります。

腸内環境や呼吸、ストレスの改善

皮膚・お肌のトラブルの元とされる腸内環境や呼吸の改善、ストレスの解消なども、顔面部以外の体のツボを用いた方が効果的です。

東洋医学では、目で見える部位に変化が起こる時、必ず体の内面にも変化が起こっていると考えます。そのため、表面を治療するためには、内面の治療が必須です。

顔以外の部位への鍼の効果

顔以外の部位も、筋肉への刺激なのか、体調を整えるための鍼なのかで即効性と持続性は異なります。

例えば頭や首、肩への鍼で周辺の筋肉が緩めば、顔まわりのリンパの流れが改善され、顔のむくみは減少、小顔効果などが期待できます。また、頭や首肩の筋肉は顔の筋肉との関係もあるため、そうした筋肉への刺激は比較的すぐに顔面部の筋肉の改善につながります。

もっと内面である五臓六腑を整えるようなツボへの刺激は、少し時間が経ってから効果を発揮していきます。しかしそのためにも、五臓六腑に負担のかからない生活、養生が重要になります。

美容鍼・美顔鍼は効果的ですが、まずは食事・睡眠・運動

例えば顔にできるニキビや、肌の乾燥などの状態を東洋医学的に見てみると、

  • ニキビやできもの
    • 体の熱が原因
    • 熱を生むような生活
      • ストレス
      • 飲食の乱れ
  • 乾燥
    • 体の津液(水)や血の不足
      • 陰液の不足

上記のように、現れる症状には必ず原因があります。その原因の多くは、日常生活レベルの食事・睡眠・運動にあります。

例えば、「甘いものをたくさん食べて、夜更かしもして、運動をいっさいしない」人が、美容鍼をしても著しい効果は得られません。

あくまで美容鍼は、普段の生活のサポートとして、健康・美容を後押しするレベルです。「美容鍼は、」としましたが、肩こりやその他の疾患も同じです。鍼灸治療や東洋医学が大切にしているのは、あくまで日々の養生です。

 

おわりに

テレビなどで取り上げられ、一躍有名になった美容鍼ですが、「うったらすぐに効果が出て、ずっと美しい」なんて魔法のようなことはありません。

一番大切なのは、普段の生活の食事・睡眠・運動です。美容と健康は、表裏一体です。健康にいれば美しく、美しい人は健康です。鍼灸は、あくまでそのサポートにすぎません。

 

鍼灸指圧治療院あたしんち

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