【足三里】胃の調子を整え、全身の元気にもつながる経穴(ツボ)の紹介

経穴(ツボ)
松尾芭蕉がお灸をしたことで有名な「足三里」は、足の疲れをとるだけでなく、胃腸の働きを整えることで全身の元気を回復する経穴(ツボ)です。また、予防医学の観点からも、足三里へのお灸が免疫力を向上することから、ワクチン接種が難しい地域にお灸を勧める活動をしている団体があるほどです。

 

今回は、【足三里(あしさんり)】というツボについて、場所や、刺激することで期待できる効果などをまとめていきます。

足三里は、かの松尾芭蕉が旅の疲れを癒すためにお灸を据えていたとも言われる、有名なツボですね。

  • 足の疲れをとる
  • 全身を元気にする
  • 胃の働きを整える

足三里は重要なツボで、認められている働きがたくさんあります。その中でも、代表的なものをまとめていきます。

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足三里(あしさんり)の位置や所属経絡

足三里というツボの位置や、所属している経絡についてご紹介します。

足三里の位置

下腿前面、犢鼻と解渓を結ぶ線上、犢鼻の下方3寸。

新版経絡経穴概論

足三里はすねの骨の外側、膝のお皿の3寸下にあるツボです。胃の経絡は、すねの外側を通って足首に伸びていきます。

膝を軽く曲げた時、膝のお皿の骨の下、外側にできるくぼみに「犢鼻(とくび)」というツボがあります。足三里は、そこから3寸(指の幅4本分)下にあります。

足三里の所属経絡と特徴

足三里は足の陽明胃経に所属するツボです。胃経は顔面から始まり、足の指先まで伸びる長い経絡です。このことからも、足三里への刺激が頭から足先まで効果があることがわかります。

  • 胃の下合穴

足三里は胃の下合穴で、胃の経絡の中でも気が集まり、胃の不調を改善するツボです。

  • 四総穴

体に作用するツボを四つに分類すると、合谷・列欠・足三里・委中があります。その中でも、足三里は肚腹(おなか)に効くツボと考えられています。

  • 合谷:面目を治す
  • 列欠:頭項を治す
  • 足三里:肚腹を治す
  • 委中:背腰を治す

すねの胃経ラインと消化器

胃経の中でも足三里の近く、すねを通るラインには上巨虚・下巨虚というツボがあります。

上巨虚は足三里の3寸下、下巨虚は6寸下と、3寸間隔で並びます。それぞれのツボの特徴をまとめると下記の通りです。

  • 足三里:胃の下合穴
  • 上巨虚:大腸の下合穴
  • 下巨虚:小腸の下合穴

下合穴は臓腑の中でも腑の働きに関わる重要なツボです。消化・吸収の問題は、すね沿いを刺激すると効果があると言えます。

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消化器、免疫、認知症にも。足三里の治療効果まとめ

足三里を刺激することで期待できる治療効果をまとめます。すねにあるツボなので、お灸もやりやすい場所です。指で揉んだり、押すのも効果的です。

消化器の不調

足三里の代表的な効果として、消化器の不調の治療があります。

胃の経絡の重要なツボである足三里なので、胃の消化を助けます。その他にも、便秘や下痢など、消化器全般に効果があると考えられます。

体力回復・病気予防

足三里には回復・予防の働きもあります。

これは東洋医学的に、消化器の働きを良くすることで、食べ物からの栄養吸収が促進されるからだと言われます。僕たちの体は両親から受け継ぐ「先天の精」と、飲食物から得る「後天の精」を生命力の源として活動しています。「後天の精」の補充に、足三里が効果的ということになります。

認知症・片麻痺

お腹の問題だけでなく、足三里は脳内の不調にも使われるツボです。

近年、認知症に対する鍼灸治療の研究が行われています。また、脳血管障害に対する鍼灸治療(醒脳開竅法)においても、足三里を刺激することがあります。もちろん足三里だけの刺激ではなく、様々なツボを症状に合わせて組み合わせて治療を行います。しかし、足三里は組み合わせの中に入ることが多いツボです。

東洋医学的な症状と足三里

足三里を用いる東洋医学的な症状をご紹介します。

  • 気虚:気の不足
  • 血虚:血の不足
  • 胃熱:食欲の過剰、胃酸過多など

moxAfrica(モクサアフリカ)のご紹介と足三里

moxAfrica(モクサアフリカ)は後進国を中心に、セルフでの直接灸を指導することで感染症予防や健康増進をサポートするチャリティ団体です。

直に火をつけるお灸を、足三里にしている様子がホームページにも掲載されています。当団体のベースには、お灸による免疫力向上による結核治療を提唱した原志免太郎博士の論文があります。

原志免太郎博士について

1882年生まれの原志免太郎は独学で医師国家試験に合格、早くからお灸への関心が高く、お灸を日常の医療活動に生かす研究を進め、お灸の免疫力の研究で日本で始めての「お灸博士」となりました。自身も毎日足三里へのお灸を欠かさず、104才まで現役のお医者さんとして活動、残された26万枚に及ぶお灸による治療のカルテは今、解明が進められています。

せんねん灸「モクサアフリカ」ページ

ザックリとまとめるも、満足な医療施設や住環境がないアフリカのような地域に起こる感染症を、足三里などへのお灸で防ぐ活動です。

足三里へのお灸は自分でもお手軽にできる上、効果が高いため、世界各国で取り入れられているようです。

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足三里と合わせて刺激したいツボ【中脘】

足三里と合わせて刺激をすると良いツボをご紹介します。今回は、胃経のツボとしての足三里に対して、同じく胃の重要なツボ「中脘(ちゅうかん)」です。

中脘(ちゅうかん)

上腹部、前正中線上、臍中央の上方4寸。

新版経絡経穴概論

中脘はおへそとみぞおちの真ん中くらいにあるツボです。

  • 胃の募穴

中脘は胃に関する重要なツボです。構造的にもちょうど胃のあるあたりの、体表にあるツボです。

足三里と中脘を一緒に刺激することで、胃の不調をより効果的に改善することができます。鍼灸治療の手法の一つ、募穴と合穴をあわせた「募合配穴」と言います。

  • 足三里は亢進、中脘は鎮静

ラットに対する研究で、足三里(下腿)と中脘(腹部)への刺激が胃の運動にどのような反応を起こすかを調べたものがあります。

その結果、下記の通りの反応が起こったようです。

  • 足三里 → 胃の運動亢進
  • 中脘 → 胃の運動鎮静

つまり、足への刺激では胃の運動が活発になり、お腹への刺激では胃の運動が抑えられることになります。

例えば、食欲の亢進や、逆流性食道炎などの炎症、口臭やげっぷなど、東洋医学的にみたところの熱症状においては、胃の運動は過活動状況です。足三里には、胃の働きを(亢進/鎮静問わず)整える働きがありますが、ラットの研究を考慮すれば、足三里のみ刺激をして胃の運動を活性化してしまうと、逆効果になる恐れもあります。

胃の運動が活発なことによる症状がある場合には、あわせて中脘も刺激するようにしてみてください。

参考:高橋徳「鍼の胃運動に及ぼす影響と作用機序」

ちなみに、胃の運動が過剰に活発な状態を、東洋医学では「胃熱(いねつ)」と言います。

 

おわりに

今回は、腹部消化器の不調から全身の体調や免疫に関わる「足三里」についてまとめました。

セルフケアにも取り入れやすいツボなので、ふとした不調がある時に、とりあえず刺激してみるのにぴったりです。

 

大丈夫、大丈夫。

鍼灸指圧治療院あたしんち

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