筋萎縮性側索硬化症(ALS)について(症状、原因、予後、治療)

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筋萎縮性側索硬化症(ALS)とは

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位・下位運動ニューロンが変性し、徐々に全身の筋肉の萎縮が進行してしまう、原因不明の難病です。筋肉を動かすための神経が障害を受けるため、脳からの指令が届かずに手足が動かなくなり、痩せていきます。その一方で、内臓の機能や体の感覚、視力、聴力などの機能は保たれます。
有病率は10万人に2~7人で、根治療法は確率されていません。95%程度が孤発性であり、5%程度に家族性(遺伝的要素)がみられます。平均生存期間は3年~5年と言われています。

初期症状

筋萎縮性側索硬化症では、初期に片側上肢の遠位筋の筋力低下が起こる四肢型、舌や口が動きにくくなる球麻痺型、呼吸に支障がでる呼吸筋麻痺型があります。
四肢型の場合、特に指先、手首などの細かな運動が難しくなり、次第に肘の曲げ伸ばしができなくなり、次第に体幹部に近い筋群が萎縮を起こします。
初期の状態では、頚椎症などの整形外科的な疾患や末梢神経疾患、筋疾患との誤診が多く、正しい診断を受けるまでかなりの時間がかかることもあります。

代表的な症状

片側上肢の遠位筋の筋力低下から始まり、次第に全身の筋萎縮が起こります。関節を動かすような骨格筋だけでなく、呼吸筋や嚥下に関わる筋肉も萎縮します。発声が困難になる構音障害や、飲み込みの問題である嚥下障害などにつながります。
症状は筋萎縮によって起こるものが中心で、通常は視力や聴力、体の感覚などに問題はなく、眼球運動障害や排尿・排便障害もありません。

予後や経過

筋萎縮性側索硬化症は進行性の難病で、症状が軽くなったり、治癒したりすることはないのが現場です。筋萎縮は全身に及び、、最後は呼吸筋の低下によって呼吸不全で亡くなる方が大半です。
経過に関しては個人差があり、1年近くで呼吸筋の萎縮まで起こる方もいれば、10年ほどの長期に渡って緩徐に筋萎縮が進行する方もいます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の診断

筋萎縮性側索硬化症は、血液検査などで発見・診断する方法がまだありません。発病率が稀な疾患であることからも、簡易的な健康診断などで発覚することが難しく、初期症状が見逃され、治療が遅れることが多くあります。
手足などの麻痺が1ヶ月程度経っても良くならないようであれば、神経内科に相談することが推奨されます。
日本では1995年の厚生省の診断基準があります。

神経所見

神経所見のうち、2つ以上当てはまる場合には筋萎縮性側索硬化症の可能性が高まると考えられます。

  • 球症状:舌の麻痺・萎縮・線維束性収縮、構音障害、嚥下障害
  • 上位ニューロン兆候:痙縮、腱反射亢進、病的反射
  • 下位ニューロン兆候:線維束性収縮、筋萎縮、筋力低下

臨床検査所見

針筋電図で下位ニューロン障害の有無を調べます。

鑑別診断

下記の項目に当てはまる場合、筋萎縮性側索硬化症とは違う疾患の可能性も高くなります。

  • 下位または上位ニューロン障害のみを示す神経変性疾患
  • 脳腫瘍、多発性硬化症など脳幹病変
  • 頚椎症、後縦靭帯骨化症など脊髄病変
  • 末梢神経障害

診断の判定

  • 成人発症である。
  • 経過は進行性である。
  • 神経所見で上記3つのうち2つ以上を認める。
  • 筋電図所見をみとめる。
  • 鑑別診断のいずれでもない。

これらの条件が満たされることで、筋萎縮性側索硬化症の診断が下されます。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の原因

明確な原因は不明

筋萎縮性側索硬化症は明確な原因がわかっていません。神経の老化との関連があるといわれ、興奮性アミノ酸の代謝異常、フリーラジカルとの関係を指摘する説もありますが、決定的な根拠はありません。

わずかに遺伝的要因あり

筋萎縮性側索硬化症の発症者の5%程度に、家族歴があることがわかっています。この場合、家族性ALSと呼ばれ、スーパーオキシド・ジムターゼ( SOD1)の遺伝子異常が原因だと考えられています。

筋萎縮性側索硬化症(ALS)の治療

筋萎縮性側索硬化症の治療法として、現在は根治する方法がありません。薬物療法と対症療法によって進行を緩徐にしたり、症状を軽減させたりすることで、QOLを維持します。

薬物療法

リルゾール

日本で唯一認可された治療薬で、筋萎縮性側索硬化症の症状を遅らせるといった科学的根拠があります。リルゾールはグルタミン酸の興奮毒素を抑える効果があり、服用することで気管切開や人工呼吸器を2ヶ月、3ヶ月ほど遅らせることができます。

エダラボン

筋萎縮性側索硬化症の初期に進行を抑える効果が認められています。腎臓の機能が低下していると使用できないこともあるため、適応を判断して使われます。

リハビリテーション

筋萎縮性側索硬化症による筋肉や関節の痛みに対しては、毎日のリハビリテーションが重要です。体の疲労や筋低下を防ぎ、運動療法などで筋力の維持をはかります。

QOL向上を目指して

筋萎縮性側索硬化症による精神的な落ち込みや不安、また引き起こされる萎縮や痛みによって、罹患者のQOLは大きく低下してしまいます。罹患者の半数前後が痛みを経験し、この要因としては有痛性筋痙攣、痙縮、拘縮、不動や圧迫、精神的要因など、複合的に起こります。それぞれの痛みに対し、薬物療法や関節運動、体位変換などを行い緩和をはかり、QOLの向上を目指します。

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