五臓六腑の治療に役立てたい経穴(ツボ)の組み合わせ

経穴(ツボ)
僕たちの体には経絡に所属する361個の経穴(ツボ)と、所属しない奇穴があり、それぞれが治療効果を持ちます。しかし、それらのツボを組み合わせることで、治療効果をより高めることができます。特に体の調子を左右する五臓六腑には、五臓の治療効果を高める「兪原配穴」と、六腑の治療効果を高める「募合配穴」があります。

 

鍼灸治療では、五臓六腑それぞれに効果の高い経穴(ツボ)を選んで刺激をします。

そうしたツボも、一穴で良い場合もあれば、複数のツボを組み合わせた方が良い場合もあります。治療家の考え方で様々な組み合わせがありますが、今回はその基本である、【五臓六腑に効果の高いツボの組み合わせ】をご紹介します。

背中にあるツボなど、刺激するのが難しい部分もあると思います。その近辺に温かいシャワーを当てるだけでも良いでしょう。頼める人がいれば、押してもらってみてください。

スポンサーリンク

五臓の不調に「兪原」のツボの組み合わせ

五臓(肝・心・脾・肺・腎)の不調を治療する際、「兪原配穴(ゆげんはいけつ)」が良いと言われています。

これは、兪穴(ゆけつ)と原穴(げんけつ)の組み合わせという意味です。

  • 兪穴:膀胱の経絡にあり、五臓六腑の働きが、特に体表(背中側)に現れるツボです。陰(臓)の病に用いられます。
  • 原穴:各臓腑の経絡にあり、原気が通過したり、留まったりする経穴。古典には「五臓の病を原穴に求める」とあり、臓の病に効果が高いことがわかります。

兪穴、原穴どちらも、五臓への影響力の高いツボです。この二つのツボを合わせて刺激することで、治療効果が上がります。

背中の兪穴のみ、先にまとめて紹介しておきます。

背中の兪穴まとめ

スポンサーリンク

肝には太衝・肝兪

肝の不調によって起こる下記の症状がある場合は、「太衝(たいしょう)」と「肝兪(かんゆ)」を刺激してください。

  • イライラ、ストレス
  • 目の疲れ
  • 気血の巡り
  • 筋のつり  など

肝の原穴:太衝(たいしょう)

足の甲にあるツボです。

足の親指と人差し指の間を足首になぞっていくと、指が止まるところがあります。具体的には、第1中足骨と第2中足骨のぶつかるところと言います。

肝の兪穴:肝兪(かんゆ)

背中にあるツボです。

背骨の脇の筋肉が盛り上がるところにあります。9番目と10番目の胸椎の間の高さにあります。

わかりにくいので、肩甲骨の下端の、もう少し下の高さ、くらいで大丈夫です。

↑肝兪の位置を画像で確認

心には神門・心兪

心の不調によって起こる下記の症状がある場合、「神門(しんもん)」と「心兪(しんゆ)」を刺激してください。

  • 不眠、夢を多くみる
  • 寝汗をかく
  • 動悸
  • 物忘れ  など

心の原穴:神門(しんもん)

神門

手首のシワの小指側にあるツボです。

心の兪穴:心兪(しんゆ)

背骨の脇の筋肉が盛り上がるところにあります。5番目と6番目の胸椎の間の高さにあります。

肩甲骨の間の、少し下のあたり、くらいで大丈夫です。

↑心兪の位置を画像で確認

脾には太白・脾兪

脾の不調によって起こる下記の症状がある場合、「太白(たいはく)」と「脾兪(ひゆ)」を刺激してください。

  • 消化不良
  • 下痢
  • むくみ
  • 胃下垂  など

脾の原穴:太白(たいはく)

太白

太白は足の親指の付け根の、内側にあるツボです。

脾の兪穴:脾兪(ひゆ)

背骨の脇の筋肉が盛り上がるところにあります。11番目と12番目の胸椎の間の高さにあります。

背骨を数えるのが大変ですよね。脾兪は背中と腰の間の弯曲の辺りのツボです。

↑脾兪の位置を画像で確認

肺には太淵・肺兪

肺の不調によって起こる下記の症状がある場合、「太淵(たいえん)」と「肺兪(はいゆ)」を刺激してください。

  • 喘息持ち
  • 鼻炎
  • 風邪症状
  • 皮膚症状  など

肺の原穴:太淵(たいえん)

太淵

太淵は手首のシワの親指側にあるツボです。

肺の兪穴:肺兪(はいゆ)

背骨の脇の筋肉が盛り上がるところにあります。3番目と4番目の胸椎の間の高さにあります。

肩甲骨の間の、少し高い位置にあります。

↑肺兪の位置を画像で確認

腎には太渓・腎兪

腎の不調によって起こる下記の症状がある場合、「太渓(たいけい)」と「腎兪(じんゆ)」を刺激してください。

  • 発育不良
  • 老化現象
  • 歯や骨が弱い
  • 白髪、抜け毛
  • 物忘れ
  • 耳が遠い  など

腎の原穴:太渓(たいけい)

太渓はアキレス腱と内くるぶしの間にあるツボです。

腎の兪穴:腎兪(じんゆ)

背中の下の方の、背骨の脇の筋肉が盛り上がるところにあります。2番目と3番目の腰椎の間の高さにあります。

骨盤の上端と、肋骨の下端の間の辺りにあります。

↑腎兪の位置を画像で確認

スポンサーリンク

六腑の不調に「募合」のツボの組み合わせ

六腑(胆・小腸・胃・大腸・膀胱)の不調を治療する際、「募合配穴(ぼごうはいけつ)」が良いと言われています。

これは、募穴(ぼけつ)と合穴(ごうけつ)の組み合わせという意味です。(専門的な話になりますが、ここでいう合穴は下合穴を使っています)

  • 募穴:臓腑の気が集まり、体表(おなか側)に現れるツボです。陽(腑)の病に用いられます。
  • 合穴:六腑の病症を診察したり、治療するために用いるツボです。

募穴のまとめ

スポンサーリンク

胆には日月・陽陵泉

  • 胆の募穴:日月(じつげつ)
  • 胆の合穴:陽陵泉(ようりょうせん)

肝と表裏関係にある腑、胆。胆の働きが低下すると、黄疸が出たり、胆汁による口苦を感じることもあります。また、決断力の低下も胆の不調が絡みます。

胆の募穴:日月(じつげつ)

日月はお腹からわき腹に差し掛かるあたりにあるツボです。第7・第8肋骨の間にあります。

↑日月の位置を画像で確認

胆の合穴:陽陵泉(ようりょうせん)

陽陵泉

陽陵泉は下腿(膝下)の外側にあるツボです。膝の外下方、骨の下すぐ(腓骨頭)のところです。

小腸には関元・下巨虚

心と表裏関係にある小腸は、消化吸収にも関わるため、腹痛や下痢と関係があります。また、熱をためこむと血尿、排尿痛などのトラブルにつながることもあります。

小腸の募穴:関元(かんげん)

関元はおへそから、指の幅4本分下にあるツボです。

↑関元の位置を画像で確認

小腸の合穴:下巨虚(げこきょ)

下巨虚

下巨虚はすねにあるツボです。膝のお皿の下と外くるぶしの間より、少し(1寸)下にあります。

胃には中脘・足三里

胃は消化を行う腑なので、下記のような消化に関わる不調がある場合、募穴と合穴を刺激してみてください。

  • 食欲の異常(胃熱)
  • 消化不良
  • 胃の不快感・胸焼け
  • 吐き気

胃の募穴:中脘(ちゅうかん)

中極はお腹にあるツボです。おへそとみぞおちの、ちょうど間にあるツボです。

↑中脘の位置を画像で確認

胃の合穴:足三里(あしさんり)

足三里はすねの前側にあるツボです。膝のお皿の指4本分下、すねの骨の外側にあります。

大腸には天枢・上巨虚

大腸の不調は便秘などの便に関わる症状の他、皮膚の症状にも関係します。

大腸の募穴:天枢(てんすう)

天枢はおへその両脇にあるツボです。おへそから、指の幅3本分外にあります。

↑天枢の位置を画像で確認

大腸の合穴:上巨虚(じょうこきょ)

上巨虚

上巨虚は下巨虚や足三里と同様に、すねにあるツボです。足三里の指4本分下にある、すねの外側のツボです。

消化器に関わるツボがすねに集まっているのがわかります。

  • 足三里:膝の指幅4本分下(膝下3寸)
  • 上巨虚:足三里の指幅4本分下(膝下6寸)
  • 下巨虚:上巨虚の指幅4本分下(膝下9寸)

膀胱には中極・委中

尿漏れや頻尿など、泌尿器のトラブルは膀胱の治療で改善します。

膀胱の募穴:中極(ちゅうきょく)

中極はおへその下にあるツボです。先述した関元の少し(一寸)下にあります。

↑中極の位置を画像で確認

膀胱の合穴:委中(いちゅう)

委中は膝の裏のど真ん中にあるツボです。

スポンサーリンク

ツボを組み合わせて刺激する

兪原配穴、募合配穴を紹介しましたが、どちらの配穴も「ツボを同時に刺激しなければいけない」訳ではありません。

手足のツボを刺激して、その後に背中やお腹のツボを刺激する、といったように順番で刺激しても問題ありません。

僕たち鍼灸師も、あくまで一回の治療の中で、ツボを組み合わせて使います。同時に刺激するって、結構大変ですからね。

 

まとめ

鍼灸治療の際の、ツボの組み合わせで代表的なものをご紹介しました。一箇所でも効果はありますが、数カ所あわせて刺激をすることで治療効果を高めることができるのは、鍼灸治療の強みです。

特に背中やお腹には、大切なツボがたくさんあります。こうしてみると、体がしんどい時にお腹や背中をさすると楽になるのも納得ですね。

 

大丈夫、大丈夫。

鍼灸指圧治療院あたしんち

コメント